1話・妹の夢
初投稿です。
「あ、こんな小説あったな。読もう」という感じで読んでいただくと幸いです。
お前らさ、寝てる時は夢を見るだろ?
アニメみたいな夢、理想が叶ったりする夢、自分が死ぬ夢、なんかもう訳分からん夢。
まあほとんど訳分からん夢だろうけど。
お前らにとっては夢って誰にも邪魔されない幸せな時間だと思ってるだろ?
ところがそうとは限らないんだよ。
実は俺は生まれつき人の夢を自由自在に見ることが出来る。
マジで。
つまりお前らが見てる夢は俺がいつでも見れるって訳。
怖いだろ?じゃあ俺に夢を見られないように努力するんだな。
まあ、無理だろうけど。
さてと、自慢はいいから主人公の紹介しとかないとな。
俺の名前は夢宮カゲト(ユメミヤカゲト)。15歳で高1だ。
つまり15年間人の夢を見てるってこと。
まあまあ賢い白国高校に通ってる。
さて、今日も、また人の夢でも見るか。
最近妹の夢が面白いし、また見るか。
全国のロリコン達よ、羨ましいだろ。
フハハハハハハハハハ!!
何言ってんだろ、俺。
深夜0時、家族は皆寝ている。もちろん、妹も寝ている。
妹の部屋に入る。
イビキをかいているその姿は小6の女とは思えない。
ゆっくりと起こさない様に進む。
妹の前髪をめくり、額に手を添え、目をつぶる。
真っ暗だった景色が段々光に包まれていく。
しばらく経ち、光が止み終わる。
居たのは自分の家だ。昼だ。
真っ先に目がいったのは、リビングで父と母が夫婦喧嘩をしていた。
リビングの端で妹と俺はそれを見ていた。
もうお気付きでしょうか?
この夢を見る能力は単に見るだけではなく、夢の中の登場人物になれるのだ。
つまり、俺次第で夢の内容が変わることもあるのだ。
話は戻って、父と母の怒りはヒートアップする。
「俺は大反対だからな」
「何よ!安いしいいじゃないの!」
「だいたいさぁ、いつから欲しかったんだよ?」
「一週間前に切れたの!」
もうこの時点で犬じゃないな、と気づいた。
「一週間前って、前からあったって事じゃん!」
「そうよ!今やどの家庭にもあるわ!」
「マジで!?いや、お前……日本の常識知らねえだろ!」
「何よ!そんなの日本の常識に決まってるじゃない!」
もう訳分からん。
「常識って………それって外国から伝わったものだろ?」
「そうよ!今や日本どころか世界規模のものでしょ!」
「んな訳ねえだろ!この非常識者!」
「学生時代偏差値40の人に言われたくありませんね!」
「お前、もう完全に怒ったぞ!」
「勝手に激おこプンプン丸の更に上を目指しときなさい」
俺は言った。
「待てよ。2人とも。落ち着け」
「どうしたんだよ、カゲト」
「話のつじつまが合ってなくないか?母さんは一体何を欲しがっているんだ?」
少し間が開いて、
母は「ティーバッグ」
父は「ティーバック」
ついでに妹が「犬」
曖昧さ回避のため説明しておきます。
母が言ったティーバッグはお茶の方、父が言ったティーバックは下着の方です。
赤面する2人。
「さあ、食い違いも踏まえて、もう一度話し合えよ」
「………………」
沈黙が続く。
「は、はははは。そういう事だったのか。
俺は、母さんが下着の方買いたい、しかも前から穿いてたって、
そりゃおかしい話になるよな。よくよく考えりゃ、お茶の方に決まってるじゃん。
毎日お茶飲んでるのにな。……俺が馬鹿だった。ゴメン」
「………………私こそ、ゴメンなさい」
「…………ゴメンなさいのチュウは?」
「分かったわよ。」
唇が重なった。
うちの親は年をとってもラブラブだから恥ずかしい。
子供の前なのになんてもの見せんだよ。
40代のキスを誰が見たいのだろうか。
そこで妹が言った。
「え?母さんティーバック穿きたかったの!?ええーーー!!」
全く、俺はなんて天然な妹を持ってしまったんだろうか。
説明するのも面倒くさい。
また妹は言った。
「実は、私もティーバック穿きたかったんだ。恥ずかしくて言いにくかったんだけど、今言う。」
何急に赤裸々な告白してんだよ!
展開凄いわ!
母さんはどういうのだろうか。
母は言った。
「もちろんよ。今度買いに行きましょう!」
いや何で断らないんだよ!
そもそも、心の移り変わり速すぎだなぁおい!
そんな急展開で夢は終わった。
この夢で勇気を貰ったのか、次の日、ティーバックを買いに行ったとか。