第05話 「年上の男」
この世界に来て3日目が始まった。今日も冒険者ギルドに行き、いくつか依頼を請けてお金を稼ごうと思う。昨日の魔物の買取でちょっとは余裕ができたが、まだまだ必要なものはある。というか、冒険者登録の費用を返したらまた無くなってしまうからな。
冒険者ギルドに行くと奥にロングさんの姿が見えた。相変わらず暇そうな彼の元へと歩く。
「おはようございます、ロングさん。」
「あ、エルさん。おはようございます。聞きましたよ。昨日は派手に手品を披露したとか」
それは昨日の買取のことだろう。
俺は小さな袋からじゃんじゃん魔物を取り出すことで、目的だったイケメン職員をびびらせるという事には成功したのだが、意外と周りもざわついてしまい、その袋は一体何なのかと詰め寄られたりと、ちょっとした騒ぎになってしまった。
ファンタジーな世界だから、こういう魔法の袋もあるのではと思っていたが、周囲の反応を見るにどうやらないらしい。
そこで俺は、手品です、の一点張りで通したのだ。周りの反応を見るに、どうやら手品で押し通せそうではある。件のイケメン職員は、んなわきゃねーだろ! と言わんばかりの表情だったが、ギルド職員という立場からか、あまり追求はしてこなかった。
「ええ、ちょっと驚かそうと思いまして……まあ、そんなことより、登録費用の返済をしたいんですが」
「返済ですか。早いですね。それだけエルさんが優秀ということでしょうか。では、12,000円の支払いをお願いします」
昨日の買取で得た丸い金貨を1枚と四角い銀貨を2枚差し出す。
「確かに。これで返済は完了ですね。
今日も採取の依頼を請けていきますか?」
「いや、今日は壁の依頼書をちょっと見てみようかと思います」
言葉通り、壁へと向かいざっと眺めると、結構な人が依頼書を見ている。空いている一角があったのでそちらを見ると雑用依頼のコーナーだった。雑用依頼というのは主に戦闘とかの危険が無い街中での雑用的な仕事らしい。昨日ちょっと派手なことをしてしまったので、今日は地味にこっちで攻めてみようと思い、雑用依頼を探すことにした。
いくつか見てみると、ちょうど良さそうな依頼を見つけた。
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依頼内容:引越しの手伝い
ランク制限:なし
契約金:なし
期限:6月22日まで
報酬:5,000円
依頼主:フェルメルト・メークレンガー
-詳細-
アトリエが手狭になったので引っ越したい。
場所は南区の……
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依頼人の名前からして芸術家の匂いがするな。面白そうだからこれにしよう。でもちょっと期限が気になるな。今日が何日なのか分からない。
依頼書を剥がし、ロングさんの下へと持っていった。
「ロングさん、今日って何日でしたっけ?」
「今日ですか? 今日は18日ですよ」
「そうだ、18日でした。じゃあ、この依頼をお願いします」
「あ、これはそろそろ期限が切れそうだったので、ありがたいですね」
そう言っていつもの手続きを行い、登録が完了すると、1枚の紙を渡してきた。
「これが依頼達成証明書です。依頼が完了したら、これに依頼人のサインを貰ってきてください」
「あー、そういう仕組みなんですね。了解です」
冒険者ギルドを後にし、目的地に向かう。場所はいつも通りロングさんに聞いてある。
目的地に着き、アトリエのドアをノックすると、中から長身の男が現れた。
「どちら様ですかな? このアトリエに何か御用でも?」
見事なチョビ髭に、肩までかかる手入れの届いた黒い髪は、その口調にピッタリだ。
「あ、冒険者ギルドから来ました。エルザム・ラインフォードです」
身分の証明に、冒険者カードを提示する。
「ほお、卿のような少年が冒険者とは……。ふむ、まあいいか。
私がフェルメルト・メークレンガーだ。画家として帝国中にその名を轟かす……予定だ。
ところで、作業は力仕事になるが大丈夫なのかね?」
「大丈夫です。問題ありません」
「そうか。ではこちらへ来てくれたまえ。御覧の通り荷物の整理は終わっているんだよ」
そこには沢山の木箱が所狭しと置かれている。
「これらを新しいアトリエに運んでいただきたい」
「分かりました。ただ、私はまだこの街に来て日が浅いので、出来れば1度、新しいアトリエに案内していただけると有難いのですが」
「ああ、そのつもりだ。では早速案内しようか」
芸術家はみな気難しいというイメージは間違っていたようで、メークレンガーさんは凄く気さくな人だった。
最近ランドベック伯に絵を気に入られ、支援してもらえたらしい。それで引越しをするそうだ。
「ここが新しいアトリエだよ。どうだい? なかなか立派だろう。さあ、とりあえず中に入ろう」
約20分かけて着いたアトリエは、先程のアトリエより2まわりは大きく新しい。ランドベック氏には随分と気に入られたのではないだろうか。
「荷物はこの部屋に運んでもらいたい。ちょっと距離があるから大変だと思うが頑張ってくれたまえ。では、戻ろうか」
この距離を重い荷物を持ち何度も往復するのは流石に嫌なので、待ったをかける。
「あ、ちょっと待ってください。あっという間に終わらせる方法があるので、ちょっとこの部屋の外にいてもらえますか?」
「うん? なんだか分からないが、まあいいだろう」
訝しみながらも、部屋を出て行ったメークレンガーさんを見届け、さっきのアトリエへと転移する。
荷物である大量の木箱に魔法をかけて新しいアトリエへと転送し、その後自らも転移した。その間僅か5秒程の事である。
戻ってきてすぐに、部屋の外に行き、待っていたメークレンガーさんに声をかける。
「あ、終わりましたよ」
「卿は何を言ってるんだ? 冗談にしては些かユーモアが足りないな」
当然のように信じていないメークレンガーさんの背を押し、部屋の中へと押し込む。
するとメークレンガーさんは目を見開き、口を全開にして驚いた。
我に返ると木箱へ駆け寄り、中身を確認しだした。
「おお! これは私の絵だ。 これも! こっちのも! これは私の愛用の筆!
す、素晴しい! 卿は何をしたんだね!? こんな一瞬で!」
興奮した様子で俺の両肩を揺さぶり問い詰めてきた。
「手品です」
「手品! まさか! しかし、そんなことはどうでもいいことか。これもまさに一種の芸術!
真に素晴しい! 私は卿が気に入った。私の事はフェルメルトと呼んでくれたまえ」
「あ、はい。分かりました。ではフェルメルトさん、この証明書にサインをお願いします」
「おお、そうであったな。どれ……よし。これで完了だ。本当にありがとう」
「いえいえ、また何かありましたら冒険者ギルドをよろしくお願いします」
「うん、うん! そうだ! 素晴しいものを見せてくれたお礼に、卿にはあの絵を差し上げよう! 半年ほど前に描いたものなのだが、私の自信作だよ!」
そういって1枚の絵を木箱から取り出し、渡してきた。
流石に絵は高いのではと遠慮したが、謙虚なところがまた気に入ったとかで強引にプレゼントされてしまった。
冒険者ギルドに戻り、完了報告をしようと、いつものようにロングさんへと声をかけ依頼達成証明書を提出する。
「おや、随分と早いですね。んー……なるほど、ちゃんと達成されてますね。では……」
いつものように完了登録を終え、報酬を受け取った後、気になったことを聞いてみた。
「今回の依頼で依頼主から絵を貰ったんですが、報酬以外にこういったものを貰うのは、特に問題は無いんですか?」
「ええ、何の問題ありませんよ。ちなみにどういった絵ですか? ちょっと興味がありますね」
腰の袋から、ニュッと大きな絵を取り出してロングさんに見せる。
「おお! ……こ、これが手品ですか。みな吃驚する訳ですね。
しかし、この絵もなかなか素晴しい。いや、絵の事はあまり詳しくはありませんが、素直に美しいと思える。
私も1枚、家に飾ってみたいですな」
「依頼主のフェルメルトさんの作品で、まだ有名ではないそうですから、今のうちに買ってみたらどうですか?」
フェルメルトさんは<絵画Lv2>という凄い才能を持っていた。おそらく大成するだろう。
「そうでしたか。ちょっと妻と相談してみましょう」
え! 結婚してたのかよ、この禿おやじ。……まあ、いい人ではあるからな。許そう。
予想以上に早く依頼が終わったので時間はまだ10時ちょっと過ぎである。昼前にはもう1件いけるかと思い、次の依頼を探すことにした。
次もまた雑用依頼を請けた。倉庫の荷物の移動なので、今度もチート魔法で手早く片付けた。
これで報酬は6,000円である。半日で11,000円だ。魔法のおかげとはいえ、楽な商売だと調子に乗ってしまいそうである。
いや、実は調子に乗って昼食を後回しにして、また次の雑用依頼を請けたのだ。
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依頼内容:新メニューの開発
ランク制限:なし
契約金:なし
期限:なし
報酬:10,000円
依頼主:夢幻の冠亭 フリードル・シャンダック
-詳細-
ウチの宿のメニューに新しい品を加えたい。
何か斬新なアイディアを募集する。
場所は……
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そう。お世話になっている宿である。これはやるしかないと思い、さっそく依頼を請けて夢幻の冠亭へと向かった。
「お。お帰り。今日は早いな」
「ただいま。じゃなくて、依頼の件で来たんですよ」
「依頼? ……ああ! 大分前に冒険者ギルドに依頼したアレか! 誰も来ないからすっかり忘れてたよ。
で、料理のことなんか分かるのか?」
「ええ、多少は。斬新なって言われると困りますが、とりあえず話を聞いてみようと思いまして」
「そうか! そいつはありがたい! じゃあ早速厨房に行こう」
いつになくテンションが上がった様子のご主人に厨房まで着いて行くと、ご主人は誰かを呼んだようだ。
「なんだいシャンさん。今昼時で忙しいんだよ」
「すまないな、スザンヌさん。新メニューの件だったんだが……そうだ、こいつに昼飯を出してやってくれ。食べ終わる頃には、落ち着くだろう。勿論おごりだ」
「新メニューかい! わかったよ。そうときたら、ほら、エルちゃん、こっちだよ」
スザンヌという可愛らしい名前のあの元気なおばちゃんに着いて行き、昼食をご馳走になった。
「さて、新メニューの件だが、何かあるのか? できれば肉料理がいいんだが」
シャンさんことご主人は直球で聞いてきたが、それでは流石に困る。
「何かと言われても、何があって何がないのか分からないので、ちょっと困りますね。
うーん、じゃあ、ここでは肉ってどうやって料理してますか?」
「ウチでは大体、焼いたり煮たり、蒸したりとかだね。肉は牛、豚、鶏がほとんどだよ」
スザンヌさんの答えに頭を悩ませ、さらに質問を続けた。
「調理前に肉に対して何か加工したりとかは?」
「加工ねぇ? 切ったり、叩いてのばしたり位じゃないかねぇ……」
うーん、切ったり……叩いたり……そうだ! そういえばこの世界でまだ見てない肉があったな。
「あのー、ひき肉って使ってますか?」
「ひきにく? そりゃ何の肉だい?」
え? まさか、ひき肉自体がないの?
「ひき肉っていうのは、牛でも豚でも鶏でもいいんですが、細かく切ったり、すり潰したりした肉です」
「それじゃグチャグチャになっちゃうじゃないか。勿体無いよ」
そんなバカな! どんな世界だよ。食に対してもっと興味持とうよ!
「いや、その潰した肉を捏ねたりして形を作り、焼いたり茹でたりすればいいんです」
「……なるほどな。試してみる価値はあるかもしれん」
あるかもしれん。ってかっこよく言ってるけど、ダメだろう。
ひき肉の歴史なんか知らないからハッキリとは言えないが、ここまで文化が発展してるなら普通誰かやってるだろうに。
「そうですね。ひき肉を使った代表的な料理でハンバーグっていうのが故郷にはありましたよ」
「ほお。じゃあそのハンバーグとやらを作ってみるか! エル、指示をだしてくれ!」
いつの間にかシャンさんに呼び捨てにされていたが、テンションが上がってるようなので気にせず、逆にこの機に乗じて距離を詰めてみることにした。
「わかりました。シャンさん。じゃあまず……」
細かく指示をだし、みんなで一丸となりハンバーグの完成を目指した。そこで判明したがパン粉も知られていなかった。道理で揚げ物を見無いはずだ。
試行錯誤して出来上がったハンバーグは、記憶にあるハンバーグと差異はない。さっそくみんなで食べてみた。
「これはうまい! おい、エル! でかしたぞ!」
「ほんとだよ! エルちゃん。こんなに美味しくなるなんて思ってもみなかったわよ」
コック達も絶賛している。さっそく今日の夕食で出してみるそうだ。
「喜んでいただけて良かったです。今回はトマトベースのソースでしたが、ソースも色々と工夫してみるといいですよ。
あと、薄めに焼いてパンに挟むハンバーガーというのもあります。これも美味しいので試してみてください。
料理は日々進化させていくもの! このひき肉を使って是非色々な料理を創り出してください!」
もっと色々教えても良かったが面倒くさいので、かっこよさげな演説もどきで締めて、丸投げすることにした。
するとみんな感動したのか拍手が巻き起こり、ちょっと恥ずかしくなってしまった。
冒険者ギルドで報酬を受け取った頃には、日も暮れ始めていた。
今日の仕事で多少お金ができたので服を買いにボリッシュさんの店へと向かった。
普段着として布の服を5着買い、すっかり暗くなった街をそそくさと駆けて行く。
「そこの少年! 止まりなさい」
突然かけられた声に、まわりを確認するが、大人しか居ない。自分のことだと思い、素直にその場に止まった。
「よーし、いい子だ。そのままゆっくり振り返るんだ」
指示に従いゆっくり振り返ると、そこには指を差して笑い出したルッチさんがいた。
「おい! 何してくれてんだよ! マジで焦っただろうが!」
流石に頭にきて勢い良く詰め寄るが、ルッチさんは気にしたそぶりも無く笑い続けている。
「はっはっは! いやーピタッと止まってくれてありがとう。見事だったよ」
「全くふざけやがって! 子供か!? もうお前は年上でも呼び捨てにしてやる。ルッチだルッチ!」
「おう、好きに呼べって言っただろ。好きにしろ」
「はあ……で、何なんだよ。急に呼び止めて」
「ああ、見かけたから声かけただけだ。そうだ、飯でも行くか?」
「あんま腹へってないけど、奢りだろ?」
その後、どこに行くかという話になり、夢幻の冠亭に行くことになった。
今日なら珍しいものが食べられると教えたからだ。
そのまま2人で宿へと戻ると、シャンさんに熱く出迎えられた。
「おお! エル! おかえり。例のハンバーグだがな、凄い好評だよ。この分なら噂を聞いた客が増えそうだ! ありがとよ」
「いえ、仕事ですので。それにいつもお世話になってますし。
あ、でもすぐに真似されちゃうと思いますので、色々と考えたほうがいいと思いますよ」
「あ! それもそうか。そんなに難しい料理でもなかったしな……そうだ! エル、宿の料金をただにするかわりに、定期的になんかアイディアをくれないか? しばらくこの街にいるんだろ?」
お! それはありがたい。この宿の不満は料理がシンプルで普通ってことだけだったし、それは俺がなんかアイディアを出せば改善するだろう。
「いいんですか? お言葉に甘えちゃいますよ?」
「甘えろ!甘えろ! じゃあこれからもよろしくな」
「はい、お世話になります」
大繁盛している宿を思い浮かべているのだろう、緩んだ笑顔のシャンさんにお礼を言い、すっかり取り残されたルッチさんと共に食堂へと向かった。
食堂はいつもよりも騒がしく、あちらこちらから絶賛の声が上がっていた。
適当に空いてる席に座り、ハンバーグのセットを注文した。
「なんか凄い期待できそうじゃねーか。例のハンバーグってやつは。
それにしても、うまいことやってるみたいだな、エル。ちょっとは心配してたんだが」
「ああ、なんとかやってるよ。住む所も確保できたし、この調子なら飢える事も無さそうだよ」
「そりゃ良かった。冒険者ってのは無茶をしがちだからな。お前も気をつけろよ」
「うん。まあ、しばらくは安全な依頼しか請けないつもりだから大丈夫だと思うよ。
そういえばちょっと聞きたいことがあったんだけど、魔法ってどんなものがあるの? 魔法得意でしょ?」
「え?」
「え?」
互いに顔を見合わせ、沈黙が降りた。
「……俺が魔法なんて使えるわけねーだろ。おい、なんで俺が魔法使えると思った?」
「え、あ、いや、なんとなく魔力を感じたっていうか……」
「嘘だな。いや、確かに一流の魔法使いなら他人の魔力を感じることが出来るって話は聞いた事がある。が、そんなやつがさっきの質問をするのはおかしいだろ。
なあ、正直に言えよ。楽になるぞ」
「ぐぅ……無駄に鋭い奴だ」
「お前が迂闊すぎるんだよ」
「ハンバーグセットお待ち!」
俺が盛大に墓穴を掘った所で、スザンヌおばちゃんが元気な声と共にハンバーグセットを持ってきた。
「おや、ダルちゃんじゃないか! 久しぶりだね。あんまエルちゃんをいじめるんじゃないよ!」
スザンヌおばちゃんは豪快にルッチさんの背を叩き颯爽と去っていった。
「相変わらずだな。あの人は。それにしてもいい匂いだなコレ。見た目がちょっと怪しいが」
見慣れぬハンバーグを警戒しながらフォークで突付いているルッチさんを横目に、俺はパクパクと口へ運ぶ。
それを見てルッチさんも安心したのか、口へと運んだ。
「うまい! なんだこれは? 肉か? こんなに柔らかいとは。
んで、さっきの話の続きは?」
ルッチさんは口をもぐもぐさせながら続きを促す。
「覚えてたか。はぁ、誰にも言うなよ。……俺は人の才能みたいなのが見えるんだよ」
「はぁ? なんだそりゃ」
「信じてねーな。じゃあ……ルッチさんは興奮すると目の色変わるだろ?」
「げっ! なんで……ってそれも見えるのか?」
口からパンをこぼしたルッチさんに呆れながら答える。
「まあね。そんで、ルッチさんは魔法が使えると思ったわけだ。ちなみに属性は水ね」
「本当か?! うーん、今度勉強してみるか。
あ、この前の瞳孔開いて気持ち悪かったときだな?」
「そうだけど、気持ち悪いは余計だ。見るとああなるんだよ。
あと、ルッチさんは剣も得意なんじゃない?」
「ああ、剣は得意だな。って、それも分かるって事は、いよいよ本当くさいな。いやあ、良い事を聞いたな」
「内緒だからな」
「わかってるよ。それにしてもこのハンバーグってやつはうまいな!」
その後おかわりをしてハンバーグを3皿も食べたルッチさんは満足そうに帰っていき、俺は自室へと引き上げた。
この部屋にはしばらく居ることになったので、貰った絵を飾ろうと思い袋から取り出す。
改めてみるが、やはり綺麗な絵だ。ロングさん同様、芸術のことはよく分からないが、見ていると心が優しくなれる感じがする。やはり癒しは大切なようだ。
よし、心も洗われたし、明日に備えてシャワー浴びて寝るかな!
絵に癒された俺は、窓際で牛乳を飲む女性を残し、浴室へと向かった。