表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さよなら  作者: ゆり
5/29

5、絵里→再会

絵里はケンに電話をした後、結香と別れた。 そして駅前のロータリーに向かう。

ロータリーに向かう最中も頭の中はグチャグチャだった。

茜にバレてしまった。

本人の口から言うより、他人から聞いた茜のショックは想像できる。

ケンと待ち合わせしているロータリーは、一ヵ月半前に茜と二人でケンを待った場所だった。 もう茜と二人、楽しく過ごす日は来ないだろう。

あの日と同じようにケンの黒い車が近付き、窓を開けケンの顔が見えた。

助手席に乗り、ケンを抱き締めた。

『どうしたんだよ?』

ケンは少し驚いて、絵里を背中をさする。

また涙が出る。

「ケン、逢いたかったぁ・・・」

『俺も。

でもさ、後ろに車つまってるから、後にしよーぜ』

後ろの車からクラクションを鳴らされ、二人で笑う。

車はケンの家に向かい、車内にはおだやかな空気が流れていた。

ケンがポツリポツリと話しだす。

『俺さぁ・・・。

絵里と離れてからまた登校拒否児になっちゃってたよ。で、毎晩酒、酒、酒って感じ』

ケンは苦笑いをする。

「絵里も、5キロやせた」

『だよな?俺も3キロやせた。

半月くらい会わないだけでこれだけ痩せるのすごくねーか?』

二人で顔を見合わせ笑ってしまう。

「確かに!

一番のダイエット法はストレスかもね」

そんな会話をしていると、あっとゆうまにケンの家についた。

部屋に入るとケンが絵里を抱き締め、二人は抱き合いながらソファーに座る。

そして数えきれない位のキス・・・

久々にしたキスは、ケンの煙草の匂いがした。

絵里はケンの両足の間に座り、ケンに後ろから抱き締めてもらう。

「あー。おちつく」

『俺もー』

二人はこの幸せな時間を壊したくなかった。 茜の話題を自然とさける。

その時、ケンの携帯が鳴った。

『あ。優さんだ。

あれから連絡なかったんだよな・・・』

ケンはとまどいながら、電話に出た。

『・・・はい』

『おー。ケンか?

久々だなぁ。この前は茜って子にやりすぎちゃって悪かったなぁ!』

優さんの声は大きく、近くにいた絵里にも聞こえた。

怒りで体が震えた・・・。

『悪かったじゃないですよ!!俺の女のツレなんですよ!!』

『でもアイツ、ヤリマンで有名じゃん?

今も噂がすげーよ。』

『なんですか、それ・・・』

絵里とケンは顔を見合わせた。

『俺の友達、クラブの店員多いだろ?

クラブでネタ食ってヤリまくりらしーぞ』

『・・・』

ケンも黙る。

『また拉致っちゃおっかなぁーとか思うだろ?!

顔かわいいし。』

くやしかった。

絵里はケンの携帯を奪い、優にどなった。

「あんたのせいでしょ!!あんたたちがあんな事するから茜がおかしくなったんじゃない!!

茜、自殺未遂繰り返して大変だったんだから!!

あんたなんか・・・

あんたなんか、殺してやりたいくらい!!」

『絵里!やめろ!!』

ケンに携帯を取り返される。

絵里は悔しくて、涙が溢れた。 こんな野獣みたいな男に大事な友達が・・・。

絵里は床に座り込み、頭を床につけて声をあげて泣いた・・・。

『すいません、絵里が・・・』

ケンが優に謝る。 優は地元では有名な男で、誰も逆らえなかった。

ケンも本当は謝りたくない。 でも、絵里や自分の事を考えると謝るしかなかった。

『茜が一緒にいるサヤカとかその周りはみんなジャンキー(麻薬中毒)でヤバいから、彼女の大事なツレなら早く離した方がいいぞ。』

優は最後にケンに言った。

ケンが電話を切っても絵里は泣き続けていた。

ケンは絵里を抱き締めて、『もう大丈夫だから』と頭をなで続けた。

その日以来、絵里は茜に毎日電話をした。

やっぱり茜を見捨てられない。 嫌われてるのはわかるけど、茜にはクスリからも今の友達からも離れてほしい。

それから一ヵ月が経った。

十二月に入り、風も冷たさを増してくる。

絵里はケンと時間があれば会い、逢瀬を重ねた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ