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さよなら  作者: ゆり
28/29

28、絵里→最後に…

久々に逢ったケンは、少し髪が伸びていた。

でも、変わらない笑顔・・・。

笑った時に小さくなる目が絵里は大好きだった。


懐かしさに胸が苦しくなる。


そしてケンは、絵里と夏くんの方を見た。


二人の間の時が止まる―――。


絵里はゆっくりとケンの方へ向かっていった。


「ケン。

今までありがとう。」

ケンは下を向いて唇を軽く噛んだ。

これは少し困った時や動揺しちゃった時の無意識の仕草だ。

絵里は続けて言う。

「もう、苦しまないでいいよ。ごめんね。

東京で頑張ってね。

あ。あとね、これ、お守りにして。」

クリスマスに渡す予定だった指輪をチェーンに通したネックレスを渡す。


ケンと目が合う。


涙が出そうだった。

まだ好きなのって伝えたくなった。


でも、胸の中に押し込む。

よりを戻したって、お互いツライだけってわかるから・・・。

もう、戻れない。

後はいい想い出にして終わらせる。


『絵里、俺はまだ――』

「じゃあ、またね!

頑張ってね!!」

ケンが何か言おうとした言葉を遮った。 何を言うのかわかったから・・・。


その言葉を聞いたら止まれない。

お互いツラくても、一緒にいたくなる。

ケンが東京へ行くことも許せなくなる・・・。


ケンの幸せを願いたい。

東京で頑張る事を応援したい。

・・・その為には戻れない。


ケンは少し黙った後、いつもの笑顔で『これ、ありがとな』と言ってネックレスを付けた。

絵里はケンに背をむけて歩いた。 そしてドアを開ける。


外に出た瞬間、目の前がぼやけた。

そして頬を涙が伝っていく。


「頑張ったじゃん」

そう自分に言いたかった。




翌日、ケンは地元を離れていった。

胸には絵里が渡した指輪がキラキラ光っていた。

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