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さよなら  作者: ゆり
27/29

27、絵里→いい想い出にしたい

今日はボーっとしている内に時間が過ぎていった。

卒業式に出ても、結香と話しても、頭の中はケンの事でモヤモヤ・・・。


最近けっこう吹っ切れたつもりだったけど、いざケンが地元を離れるとなると動揺してしまう。


今までは逢いたければ逢える距離。

でも明日からは、違う。


人がたくさんいる道や駅やデパートに行っても、ケンには絶対逢えない。 電話してもすぐになんて逢えない。

ケンは遠くに行ってしまうんだ・・・。


茜の言葉が頭の中に響いてくる。


『これでいいの?』

『後悔しないの??』


―――いつも絵里は逃げてばかりで後悔ばかりだった。

ケンからはもう四回も逃げている。


最初に別れた時。

茜の事で気まずくて強引にケンから離れた時。

妊娠した時。

そして、流産した時。


ケンのせいで流産して、恨んだ気持ちもあった。

でも・・・

本当は少し安心したの。

私が殺さないで済んだ―――。

それ認めると自分が最低な気がしたから、ケンに罪を擦り付けた。

ケンが殺したと思いたかった。

自分が楽になった分、ケンにその罪の苦しさがまわってしまったのに。

絵里は自分の罪から逃げた・・・。


ケンは絵里が流産した直後から、毎月両親にお金を送ってきた。

絵里の手術と入院費・・・。

そして絵里に対しても謝り続け、水子の供養をしてるお寺やお墓を探してくれた。

絵里はそこまで考えてなかったのに、ケンはできる限りの事を子供と絵里にしている。


そして、絵里を大切に思ってくれている。

最後くらい、逢わなきゃいけない・・・。


茜に会い、その足でケンの所へ向かおう。



12時の少し前、絵里はティアラについた。 深夜なのにティアラのまわりは若い人たちでごった返している。

そしてよく見ると、若い人たちの中に夏くんや絵里の知っている人がいた。

目が合ったので軽く会釈をすると

『あ!絵里ちゃん!

来たんだねー。

あいつ喜ぶよ!早く入りなよー。』

夏くんは絵里の所へ来て、ティアラのドアを開く。


―――ドアの向こうには、懐かしい笑顔があった。


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