24、月日は流れ…
あれから数日で絵里は退院し、両親とささやかな新年を迎えた。
そして茜はお正月を健吾の実家で過ごし、健吾の母に同棲する事を話した。
健吾の母はスナックを経営しているだけあって、年令よりも若く見える。 そして若い二人の気持ちを理解してくれた。
それから茜と健吾は茜の家に行き、茜の両親に挨拶をした。
始めは『結婚前に一緒に住むなんて許さない』と父に反対をされたが、茜が健吾に出会って変わっていく姿を見ていた母は賛成してくれた。 そして一月の末には父も母に説得され、結婚する事を前提に許してくれた。
時はあっとゆうまに流れて、三月になっている。
桜の開花情報が毎日のニュースで流れ、春の気配が訪れていた。
絵里は遅刻もせずに必死に勉強を頑張って、なんとか三年生に進学できる目処がたった。
冬生まれの絵里と茜は17歳になっている。
相変わらず一緒にお茶をしたり買い物へ行ったり仲が良かった。
茜と健吾も変わらずティアラで働いていて、ケンカもあるけど仲良く暮らしている。
そして、ケンは地元を離れる時が近づいていた。
絵里の流産以来、連絡はどんどん減っていった。 お互いに会いづらく、あれ以来会っていない。
ケンは絵里を今も愛している。
・・・もちろん絵里も。
でも、二人の間にはこの冬に埋められない程の溝ができてしまった。
そして二人はお互いに自分の気持ちを伝えないままに時が流れてゆく―――