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さよなら  作者: ゆり
13/29

13、茜→真実

あれからもう三日。

今日は月曜だからティアラに行かなくちゃいけない。 でも健吾と顔を合わせると思うと、気が重い。

悩んだ結果、今日は病欠することにした。

あれから健吾からは2、3時間おきに電話やメールがくる。 心配しているという内容、またクスリに手をだしてるのかと不安になるという内容。

そして、会いたいという内容・・・。

妹と言われてしまった今、会える訳がない。 会えばもっと好きになる。

そんなのつらすぎるよ。

どうして私はムリな恋ばかりしちゃうんだろぅね・・・。


そして時間ばかりがすぎて夜の十時すぎた頃、絵里が遊びにきた。 気晴らしにケンと三人でどこかドライブに行こうと誘われていた。

もうケンに未練はなく、友達に戻った。 髪をととのえて絵里とケンの車に乗る。

「じゃあ、茜の失恋にとことん付き合ってくださいね!!

まずは腹ごしらえにデニーズお願いします!!」

茜の言葉に二人は爆笑していた。

ムリにでも明るくしないと健吾のことを考えてつらい。 今日はとことん食べて、飲んでやる!

そしてその作戦通り、茜はデニーズで自分のパスタだけではなく、絵里やケンの食事もつまみ食い。 あげくのはてにはパフェを二つも食べた。

満腹になると心が満たされるとゆう言葉は本当だ。 なんとなく重苦しかった心がすこし軽くなった気がして、楽しくなってきた。


それからカラオケに行き、喉が枯れるまで歌い、お酒を飲んだ。

絵里たちも茜に気を使ってくれたのか、アニメソングを面白く歌ったり、似てない物真似で歌ったりしてくれた。


そして気付けばすでに二時をまわっていた。 絵里とケンは学生だから明日も学校がある。

『寝ないで行くから朝まで平気』と二人は言っていた。 でも、もう十分楽しませてもらった。 茜は二人にもう解散しようと言い、三人で外へ出た。

携帯を見ると、さっきも健吾から着信があった。

ケンの車で送られている最中、ティアラの近くを通った。

今日は健吾は一人で働いてるのかな・・・

酔っているのもあって、健吾のことを考えているうちにまた会いたくなってしまった。

『そこの角まがるとティアラだよね』

絵里が茜の気持ちに気付いたように、一言いった。

ケンが車を脇に寄せてとめた。 そして

『茜はこのまま逃げるのか? 会わないで避ければ避ける程、好きなら会いづらいぞ。

俺たちここで待っててやるから、そんなにつらいなら気持ちだけ伝えてみれば?』

と、言った。

「そうだよね。

今は逃げてて楽だけど、このままじゃバイトも行けないよね。」

茜は健吾に会うことを決めた。

ケンと絵里が待っててくれるのは嬉しいし心強い。

『また振られたら、もう一度パフェのヤケ食いに付き合うよ!』

「次はフルーツパフェだから!」

そう話し、車を出てティアラに向かった。

ティアラに入ると、予想通り健吾が一人で何人もの客を相手にドタバタしていた。

そして茜を見つけ、サラダを渡す。

『遅ぇーよ!

はい、これを奥の席に持ってって!』

「ごめん・・・」

言われた通りにサラダを運び、溜まったグラスや食器を洗う。

絵里に

「忙しいから働かなきゃいけなくなった。ごめんね。」

と電話をして、また明日会う約束をした。

それから茜は今日サボってた分、いつもの倍は動いて働いていた。 そして、健吾と一緒に働くのはバイト初日の少しの時間以来だったと気付く。 二人で作業をすると祥さんとよりも息が合い、テキパキ仕事がはかどっていく。

あっとゆうまに閉店時間になった。

店内の清掃も終わり、今日のバイトは終わった。

健吾と並んでカウンターに座ってビールで乾杯する。

『昨日とおととい、どうしたんだよ?』

少し怒った顔の健吾に聞かれ、言葉につまる。

そしてケンや絵里の顔が浮かび、健吾に伝えた。

「失恋したから電話でたくなかった。」

『は?!ダレに?!

茜、好きなやついるの?』

健吾が驚いた顔をした。

「だから、妹なんでしょ?」

『え??

意味わかんねーよ?』

「にぶすぎ!!

健吾が好きなんじゃん!」

・・・言ってしまった。

お酒のせいじゃなく、顔が熱い。 たぶん真っ赤になってると思う。

健吾は茜のほうを見て、『うそだろ・・・』と呟いた。 健吾のとまどいは見てわかった。

「気にしないで!

これからはお兄ちゃんって思えるように頑張るし。

茜を振ったのを気にしないでほしいの。 同僚じゃん。 仲良くしたいし。」

口からペラペラと言葉が出てくる。 そして言うだけ言うと、逃げるように茜は立ち去ろうと立ち上がった。

その時、手首をギュッと掴まれた。

「大丈夫!

フォローいらないし!

じゃあまたね!!」

そう言っても健吾は手首を離さない。

そして健吾も立ち上がり、茜をいきなり抱き締めた・・・

頭の中が真っ白になった。

体中の血が顔に集まったみたいに顔が熱い。 胸の鼓動も心臓が壊れるんじゃないかってくらいに激しく鳴っている。

「ど・・・どうして?」

背が高い健吾の顔を下から覗き込むと、健吾の頬も少し赤かった。

『おまえ、いつも人の話を聞かないよな。

土曜だって話の途中なのに家に帰るし、バックレるし、今日も勝手に思いこんで話すし、一人で話して帰ろうとするし・・・。

茜は俺の可愛い妹分だし、俺がずっと傍に置きたい女なんだよ。

だからクスリも止めさせたし、同じバイトをさせたのがわかんねーの?』

抱き締める健吾の腕に力が入る。

『付き合おーよ』

「ほんと?!」

『ほんと!!!』

すっごい嬉しかった! 茜も健吾を強く抱き締め、思わずピョンピョン跳ねてしまった。

そして茜はこの時から健吾の妹分でもあり、彼女にもなった!

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