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さよなら  作者: ゆり
12/29

12、茜→告白

駅前にはたくさんの人がいた。

《駅の東口改札にいるね》

と健吾にメールをすると、健吾からすぐに返信がきた。

《俺、今、駅の東口入り口にいるよ》

茜も東口入り口の近くにいたから人を掻き分け、健吾の元に急いだ。

そして、健吾の顔が見える。

たった一週間ちょっと会わなかっただけなのに、懐かしい気がした。

「健吾ーっ!」

走って健吾の元へ向かう。

『おー。久々だなぁ。』

健吾がいつものように茜の頭をクシャっと撫でた。 涙が出そうな位に幸せで嬉しい。

健吾が好きと確信してから会ったのは初めてだったから、少し緊張しながら駅前を歩く。

『初めてデートするよなぁ。 いつも俺のマンションかクラブだったし。

バーベキューも、みんないただろ?』

健吾もなんとなくソワソワしていた。

二人共、少しお腹が空いていたから近くのカフェに入り、一息つく。

時間が経つにつれ、茜もいつものペースで会話できるようになってきて、二人の会話は弾んだ。

カフェを出てゲームセンターに行き、キャーキャー騒ぎながらゲームをした。 健吾はUFOキャッチャーで、プーさんのぬいぐるみを取ってくれた。

楽しい時間はあっとゆうまに過ぎ、日が暮れてくる。 健吾は今晩、夏くんや祥さんや迷惑をかけた人に謝りに行くから、そろそろ茜は健吾と別れなくてはいけない。

プーさんのぬいぐるみを抱き締め、イルミネーションが点灯している駅前の通りを健吾と歩く。 お互いに口数が少なくなり、どちらからともなく自然に手をつないで歩いた。

『そろそろ行かなきゃな。

ゆっくりできなくて、ごめんな。』

健吾が言った。

そして、健吾の車が停めてある駐車場に向かう。

健吾が茜を家まで送ると言い、二人は車に乗った。

今言わないと・・・。

茜は緊張してしまい、健吾に話し掛けられてもうわの空の返答ばかり。

そのうち健吾も話さなくなり、無言のまま車は茜の家についた。

そして、茜は勇気を振り絞り、口を開いた。

「この前は茜の為にありがとう」


健吾は少し照れながら、気にすんなよって言った。

ことばが続かなくなる・・・。

こんなに緊張したのは、小学校の歌の発表会以来じゃないかな・・・。

『茜は・・・』

健吾が口を開く。 そして、茜は思いがけない言葉を聞いた。

『俺にとって、かわいい妹みたいな存在だよ。』

「・・・」

かわいい妹・・・。

健吾以外の人に言われたら、とても嬉しい言葉。

でも、健吾には絶対言われたくない言葉・・・。

「妹を何度も抱くなんて、近親相姦じゃん」

顔だけ笑って言った。

『そうだよな』

健吾も笑った。

茜は健吾の車を降り、小走りで家の玄関のドアを開いた。

家に入ると急いでドアを閉める。 閉めた途端、涙がポロッとこぼれた・・・

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