第一章:リアム
青みがかった峰々の向こう側に太陽が隠れるにつれ、気温が急激に下がり始めた。地面からは、青白く、それでいて灰色がかった霧が立ち上っている。先ほどまで陽光を浴びていた花々は、今は冷気に耐えるように固く蕾を閉じ、身を縮めていた。
辺りには凍てつくようなオーラが漂い、毛皮の裏地がついたマントに身を包んでいるにもかかわらず、リアムとアエフレドの吐息は白く染まっている。青い月光に照らされた森は、昼間の輝きを失い、鮮やかだった葉は憂鬱な灰色へと姿を変えた。
太陽を隠した山々は、ついにその名の通りの姿を現した。リアムが村を離れてから初めての満月の夜だ。西の地の北端を囲むその山脈は「碧の頂」と呼ばれていた。山頂の多くが白く、氷河もそれほど多くないため、多くの者にとってその名は奇妙に感じられていた。だが、雲ひとつない月夜にその姿を見た者は納得する。月光が氷河に反射し、白い雪に透き通るような青を灯すのだ。それは隣り合う「白の頂」よりも、遥かに鮮やかで神秘的な輝きだった。
かつて日傘のように道を覆っていた色とりどりの梢は、今や古く曲がりくねった山道をさらに険しくするだけの障害物でしかない。闇の中で唯一はっきりと見えるのは、青年が掲げる古いランタンの灯りだけだ。微かな炎に照らされたリアムと旅の仲間の姿は、ただの黒いシルエットに過ぎない。二人が雨風を凌げる場所を探すたび、オーク色の革ブーツのそばで黒いマントが揺れた。
小さなエルフであるアエフレドは、リアムの白いウールシャツのポケットに潜り込み、頭だけをちょこんと出していた。
道端の低い草木には、すでに白く湿った霜が降り始めている。この植民地地方の秋は長く、そして非常に厳しいことで知られていた。この時期に島々の村へ向かう旅人は稀で、精々が北東の地や「爪」へ向かう前に補給に寄る商人くらいのものだ。島々と本土の間には道も橋もなく、植民地という名ばかりで、定住している人間は一人もいなかった。
「アエフレド、もう少し耐えられるか? すぐに風露を凌げる場所を見つけるから」
リアムはポケットの中で震える仲間に問いかけた。
「……もちろんだわ。また木の上で寝るなんてことにならないといいけど。暖かい場所を探して、目覚めたら体中が葉っぱと虫だらけなんて生活、もう四日も続いてるんだから」
小さなエルフは、透明な自分の羽を体に巻き付けながら答えた。
「不思議なんだが、なぜエルフは服を着ないんだ? 明らかに寒がっているじゃないか」
「あたしたちは、あなたたち人間みたいに股の間や胸を恥ずかしがったりしないのよ――」
その時、凍てつくような突風が二人を襲った。リアムはマントを盾にし、ランタンを体に寄せた。風はまるで剃刀の雨のようだ。アエフレドはあまりの寒さにガタガタと震え、言葉を続けられなくなった。
「それに……ふ、冬の時期や、その前後の季節には旅をしないの。移動するのは夏の間だけよ」
「それなら、あの滝の後ろでお前を見つけたのは幸運だったな」
「幸運なんかじゃないわ。放っておいても自力でどうにかできたもの。少し時間がかかっただけよ」
「ああ、そうだろうな」
リアムは明らかな皮肉を込めて言った。スカーフで顔の下半分が隠れていたが、その目は笑っていた。そのワイン色のウールスカーフは、西へ旅立つ二日前、エリザベスから誕生日プレゼントとして贈られたものだ。
「好きなだけ馬鹿にすればいいわ、人間。あたしたちエルフは、ただの冬よりもずっと酷いことを生き抜いてきたんだから。『解放』以来、あなたたちが続けている狩りだってそうよ。それでもあたしたちは生き残っているわ」
「その『解放』についてはよく知らないんだ。昔話には興味がなくてね」
「知らないはずがないわ……」
アエフレドが言いかけた声を、リアムはポケットごと彼女を抱え込むようにして遮った。春先の氷河から滴る水のように冷たい汗が、彼の顎を伝う。古いランタンが震え、金属とガラスが擦れる低い音を立てた。アエフレドは温かいウールの中で抵抗し、リアムの手が緩んだ隙に体を引き出した。
「なによ、もうっ!」
小さなエルフが叫ぼうとしたが、再び青年に制止された。
「しっ。……誰かいる」
彼は口元を覆いながら囁いた。
辺りは耳が痛くなるほどの静寂に包まれた。右側の急斜面に張り付いた木々の間を風が通り抜ける音だけが聞こえる。左側は古い樫の木ほどの高さがある岩壁になっていた。
その静寂を破ったのは、前方の岩壁に何かが衝突したような衝撃音だった。暗闇で原因は分からなかったが、ランタンの微かな光の届く範囲に、四つの小さな石が転がってきた。
アエフレドは再びポケットの奥へ身を隠し、白いウールを掴む手と瞳だけを覗かせた。リアムは使い込まれた革の鞘から狩猟刀を引き抜き、右手に構えて慎重に歩き出した。
一歩進むたびに、前方から音が増えていく。岩や枯れ葉を踏む無数の軽い足音。まるで数十匹のノームが、地面から壁、そして枝へと飛び跳ねているかのようだった。
母親が語ったノームの童話を思い出しながら、十六歳のリアムは否定しつつも緊張を隠せなかった。
さらに進むと、風向きが変わるたびに奇妙な羽音が聞こえ始めた。リアムは岩壁から離れ、道の真ん中を選んで歩いた。
十四歩目、あるいは十五歩目。
その音は突如として止まった。リアムも足を止める。足は震え、心臓は激しく脈打っていた。再び強風が吹き抜け、左側からあの羽音がはっきりと響いた。
そこには、大人の男一人がようやく通れるほどの、稲妻に裂かれたような岩の隙間があった。ランタンの光では奥までは見えない。
(まさか、あの中に?……いや、危険だ。狭すぎる。入り口を岩か枝で塞ぐべきか?)
迷うリアムの思考は、スカーフを引く力によって中断された。
「……中にいるわ。洞窟のずっと奥に」
「どうして分かる?」
アエフレドは答えなかった。彼女は何かに怯えるように、一点を見つめている。
「アエフレド?」
「……え、ええ?」
「どうして奥にいるって分かるんだ?」
「説明できないけど、分かるの。低い音のような、何かを感じるわ」
「……分かった」
リアムは真剣な表情でランタンを地面に置き、アエフレドを平らな岩の上に乗せた。そして、自分の大切なワイン色のスカーフを彼女の体に丁寧に巻き付けた。
「これなら寒くないだろう。ここで待っててくれ。すぐ戻る」
「正体も分からないのに入るつもり? 入り口を塞いで先へ進みましょうよ」
「分からないからこそ、見ておく必要があるんだ。道は二つに一つ。もしあいつらが俺たちの匂いを追ってきたら厄介だ。イェーアマンの飼い犬みたいに、数日前の足跡を追ってくる連中だっているんだからな」
アエフレドは心配そうに黙り込んだが、最後には小さく頷いた。震える彼女をもう一度スカーフで包み込み、リアムは言った。
「何かあったら叫べ。すぐに戻る。いいな?」
「……ええ」
ザラついた岩の隙間に体をねじ込み、彼は中へと踏み入った。右手には狩猟刀、左手にはランタン。奥へ進むにつれ、強烈な悪臭が鼻を突き、目が痛むほど涙が溢れてきた。リアムは咳き込みながら、ハンカチをマスク代わりに口元に縛った。それは一年前、エリザベスから貰った上質なハンカチだった。
洞窟の中は、微細な黒い粉に覆われていた。壁には茶色の湿った粉の筋が走り、乾燥した石筍もすべてその粉を被っている。空気の流れは一切なかった。
奥へ進むと、聞いたこともないような唸り声が大きくなっていった。そして、炎がその「音の主」を照らし出した時、リアムは目を見開いた。
石筍に、毛玉のような塊がいくつもへばり付いていた。小さな翼を羽ばたかせ、中心にある「何か」に群がっている。足元にはどす黒い液体が滴っていた。
(コウモリ……か? だが、あいつらは暗闇で物にぶつかるはずがない)
肉を引き裂く音が響き、一匹のコウモリがリアムを凝視した。
「キィィィィィィッ!!」
鼓膜を突き刺すような悲鳴が響き渡る。一匹がリアムの喉元を目掛けて飛びかかってきたが、銀色の刃がそれを一閃した。コウモリは真っ二つになり、血が壁を汚した。
それを合図に、群れ全体が青年に襲いかかった。リアムは必死に剣を振り回し、舞い上がる粉塵の中で数匹を叩き落とした。
その時だった。
激しい乱闘の中で、剣の先が岩壁を叩いた。硬い金属音が響き、火花が散った瞬間――空中に充満していた粒子が連鎖的に発火し、猛烈な光が溢れた。
「――っ!?」
爆風がリアムを数メートルほど吹き飛ばした。地面の枯れ葉は燃え上がり、視界は煙で霞み、耳鳴りが止まらない。しかし、その朦朧とする意識の中でも、はっきりと聞こえる声があった。
「リアム! リアム! 起きて、しっかりして!」
金色の髪がリアムの視界を覆っていた。アエフレドが顔を真っ赤にして叫んでいる。
「……アエフレド」
「生きてるの!?」
「額から降りてくれ……。お前、見た目より重いんだぞ」
次の瞬間、リアムの鼻のすぐ上に鋭い衝撃が走った。アエフレドの蹴りだ。
「レディに体重の話をしないって教わらなかったの!? このバカ!」
(レディ? 普段はガキみたいな癖に、この蹴りは馬鹿力だな……)
リアムは頭を押さえながら起き上がった。幸い剣は無事だったが、ランタンは無惨に壊れていた。
洞窟の奥では、粉塵を燃料にして炎が生き物のように燃え広がっている。空気が悪くなる前に、二人は外へ脱出した。
空を覆っていた雲が切れ、満月が姿を現した。紫色の星空の下、遠くの「碧の頂」がその名の通り青く輝いている。
「……中に何がいたの?」
アエフレドがリアムのスカーフを抱えながら尋ねた。
「ただのコウモリだ。……多分な」
「コウモリが爆発するなんて聞いたことないわよ」
「俺だって知らないさ。剣が壁に当たって火花が出た瞬間、空中で爆発が起きたんだ」
リアムはバックパックを背負い直し、スカーフを再び首に巻いた。
「まあ、とにかく落ち着いたみたいだ。行こう、アエフレド。早く寝るための木を見つけないと」
アエフレドはいつものようにポケットへと飛び込んだ。
「ええ、行きましょう。でも次は、松明に火をつける前に気をつけてよね。ふふっ」
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作者からの注記
こんにちは。正直なところ、この注記をどのように書き始めればよいのか分かりませんが、ここでは普段どおりの話し方で述べさせていただきます。
まずは、私の作品にご興味を持っていただき、誠にありがとうございます。
私の名前からお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、私は日本人ではなく、西洋にルーツを持っています。そのため、日本語にはあまり慣れていません。
本作の内容は、日本語を十分に扱えないため、人工知能の助けを借りて翻訳されたものです。翻訳の際に生じた誤りにつきましては、あらかじめお詫び申し上げます。




