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〚第十二話:リスと賢者、あるいは非モテの王都潜入〛



「………オ」


「………マリオ」


 目を覚ますと。お腹の上にリスがいた。


「マリオ。ようやく起きたか!」


 ぼくは寝ぼけてると思い2度寝する


「おやすみ………」


「おやすみ……ではない!!! マリオ! 起きぬか! ワシじゃ! フレイじゃ!」


「起きたか? どうじゃ? この姿はw」


「フレイ……リスになったんだね………」


「リスになったんだね………ではない! ほれ! ほれ!」


 そう言ってリスは体を左右に動かす。


「なにかあるじゃろ? ほれ! ほれ!」


「だから……リスになったんだね………」


「この愛くるしい姿を見て何も思わんのか! ばかもの!」


 自分で「愛くるしい」とか言ってるよ……めんどくさい……。そう思いながら目が覚める。


「フレイ……どうしたの? その姿は……」


「ちがーう! その前になにかあるじゃろうが!」


「本気でわかんないんだけど………………」


「あーもう!!! マリオ! ヌシは一生童貞確定じゃ! モテぬはずじゃ!」


 朝っぱらからリスに童貞を煽られる。……なんてシュールな異世界生活だろう。


 フレイは怒りながら言った。


「このつぶらな瞳、ふさふさの尻尾を見てあるじゃろうが!!! 『かわいい』とか」


「あーうん……かわいい。かわいいよ」


「そこ! そこを丁寧にしないのが非モテなのじゃ。 たわけ!」


「ごめんね。わかったよ。学ぶよ。……でどうしたの?」


「ぬふふw ワシは学んだのじゃ。ジュウゾウのときにな……」


 フレイは得意げに続けた。


「いつものワシのあの姿は魔力消費が激しい。あれを半日維持するのは爆裂魔法1発にも相当するんじゃ」


「爆裂魔法!? エクスプロージョン!ってやつ?」


「そうじゃ。 えくすぷろーじょん!ってやつじゃ」


「そこでワシは考えた。死んだばかりの生き物に微弱な蘇生魔法をかける。生き物の自我が目覚めない程度のものをな」


「そうすることにより弱い魔力でずっと思いのままってわけじゃ。つまり体だけワシが操るというわけじゃ」


「理屈はよくわかんないけど、高度なテクニックなんだね。さすが天才魔法少女フレイちゃん」


「ぐふふふふふふふw やればできるではないか。マリオよ♪」


 チョロい。よかった……とりあえず機嫌は直ったみたいだ。


 しかし……確かにフレイの言う通りではある。ぼくの立ち回りは非モテそのものだ。褒める語彙力もない。


 このままでは一生童貞確定なのは当たってる。


 本屋に行ってみよう。恋愛初心者のためのHow to本があるかもしれない


「フレイちゃん……今日は本屋に行かない?」


「おお! いい案じゃ! では世界一の蔵書数を誇る王立図書館にでも行くか♪」


 王立図書館にHow to本があるのかな? でも……いろいろこの世界についても調べたいしフレイについて行ってみよう。


 〜フレイはリスの姿のまま先導する〜


 歩きながらフレイはこの街の案内をしてくれた……。


 ぼく達が住んでいるイナンナの街は城下町だ。


 隣接地域に王都エリドゥーシュがあり、ここには様々な行政機関がある。


 そして王族、貴族など身分の高い人たちが住む地域でもある。


 ぼくが……ロジャーと共に深夜馬車に乗って大きな屋敷に行ったのも恐らくここだ。


 2時間ほど歩いたとき、王都エリドゥーシュに入った。


 堅牢な城壁、そして門のところには複数人の門兵がいる。前後左右各方向に目が行き届くよう配置されている


「スゴいね………警備も半端ないね」


「あまりキョロキョロするでない……不審者に思われると厄介じゃ……」


 リスに先導されている……ぼくが不審じゃないんだろうか………………?


 そう思うとフレイは体を駆け上がり、ぼくの肩に乗ってきた。


「ヌシの思っておることはわかると言っておるに!」


 リスは肩の上で囁いた


「いいか? 曲芸師のように振る舞え。リス使いのように思わせるのじゃ!」


「ほれ! 腕をまっすぐ前に伸ばしてみい」


 ぼくが腕を伸ばすとフレイは肩から腕、そして手首の上にと器用に行ったり来たりする。


 衛兵や通行人の表情が少し緩む。大成功のようだ。


 そうして辿り着いたのは、世界一の蔵書数を誇る『王立図書館』。


「ちょうどよいわ。ワシはちょいと調べ物があるでな。マリオも思うがままに研鑽するがよい」


「うん。じゃあまた後でね」


 

 フレイと別れ、ぼくは広大な書庫の海へと足を踏み入れた。


目指すは『モテるための会話術』……いや、せっかくこれだけの本があるんだ。


 この世界の仕組み、魔法の基礎、そして――フレイが守ろうとしているこの世界の「正体」を、もっと知るべきかもしれない。


 ぼくは、古びた羊皮紙の匂いが漂う書棚に向かって、一歩を踏み出した。

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