〚第十一話:賢者の仮面、あるいは寂しがりのマッチポンプ〛
フレイと友になったぼく……。
1つ2つ気になることがあった。
まず、どうしてこれだけ街の人たちに恐怖の存在とされているのか?
また今回の依頼を受けた時に逆鱗に触れて帰ってこなかった人がいるというもの。
まだ絆は始まったばかりだ。1つ目のことを聞くのはまだ早いと、ぼくでも思った……。
そこで2つ目を聞いてみることにした。
だって、無償で街の人を守るフレイがどう考えても怒って殺害するだなんて思えない。
「フレイちょっと質問してもいい?」
「なんじゃ?」
「ぼくが今回の依頼を受けた時に闇市の男にフレイの逆鱗に触れて帰ってこなかった人がいるって聞いてさ」
「フレイがどう考えても街の人を害すると思えないんだ。その人たちはどうなったの?」
「ヌシと同じことしただけだが?」
「え?」
「ワシの祠に来た者たちが門の扉を開けようとした時に開けてやったのじゃ」
フレイは続けた。
「するとな……畏怖からくるものなのか……恐れおののいて逃げるのじゃ」
「そして混乱してたんじゃろの……結界の外に出よった……」
「ワシが助けてやろうと向かった時には魔物に襲われた後じゃった」
「すると、その人たちはパニックになって結界の外に行き命を落としたの?」
「残念ながらそうじゃ。ワシの大事な竹とんぼ放りだしよって……」
「じゃ、じゃああの竹とんぼは?」
「ん? ワシが闇ギルドにこっそり返しに行ったが?」
ぼくは耳を疑った。
「はぁ??? え? じゃあフレイは竹とんぼ受け取っていたの?」
「……間接的にはそういうことじゃな」
「なんで? そのまま受け取っとけば終わってたんだよね???」
「だって……寂しいんじゃもん………………………」
フレイは頬を赤らめ、指先をいじりながら消え入るような声で言った。
「依頼があればワシに会いに来る奴がいるじゃろ?」
(こ、このメンヘラがあああああああああああああ!)
「誰がメンヘラじゃ! ワシはヌシが考えてることなど全部わかるぞ!」
「……フレイのその『かまってちゃん』のせいで、何人か亡くなってるんだよ!?」
「女の子を一人ぼっちにする街の連中が悪いんじゃ! ワシはなーんも悪くない。ふーんだ!」
……幼女だ……中身は10歳の女の子だ……。
「じゃ、じゃあ竹とんぼ届けた時に少し顔を曇らせたのは???」
「ん? あぁ……もうこれ以降誰も来なくなるんじゃな……思って寂しくなったんじゃが?」
「は・つ・こ・いの人! その人への思いじゃなかったの?」
「ジュウゾウか? あやつはさっさと『ないすばでぃ』のおねえちゃんと結婚しよったぞ」
フレイは少し拗ねたように言った。
「いつまでも待ってる……なんぞ言いよったくせにな。ワシが大人になったらもっと『せくしー』だったのにじゃ!」
「男なぞそんなもんじゃ! マリオ! ヌシもワシを置いてさっさと結婚するんじゃろの!」
ダメだ……幼女だ。幼女に接するんだ。
「フレイちゃん。ごめんね。でも今日も世界一かわいいね」
「ん?w おやぁ?www わかっておるではないかマリオよwww」
「フレイちゃん。ぼくが傍に居てあげるからメンヘラ抑えようね」
「わかった! じゃあ毎日ワシを褒めるんじゃぞ!」
伝説の賢者様を「ちゃん」付けで手懐ける日々がはじまってしまった。
……明日、街で「女性の褒め方」という本でも探そう。この世界にそんな便利なもの、あるのか分からないけど。




