表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/10

第4章:トルテとの邂逅

「この依頼、行くしかないでしょ」


澪はギルドから受け取った案件報告書を見つめながら決意を固めた。


依頼内容: “北部の街リシュタリアにて、労働搾取・強制勤務が横行。魔王軍関係者による統治の疑いあり”


シンプルに言えば――ブラック企業が街を占拠しているという話だった。


「これは……行かなきゃ、社畜魂が許さん!」


リシュタリアの街に入ると、すぐに異様な空気に気付く。


人々は皆、目に光を宿さず、機械のように働いていた。


広場には「ノルマ達成万歳」「休憩は敗北」などの不気味なスローガンが垂れ下がる。


「ホラー映画かここは……!」


潜入調査を始めた澪は、街の外れにある旧教会跡で、ひとりの青年と出会う。


「そこから先は入るな。ここは元・勇者研修施設の廃墟だ」


金髪に風で揺れる赤いマント、そして何より――その疲れ切った瞳。


彼の名は、トルテ。

かつて魔王討伐のために“勇者育成プログラム”に参加していたというが――


「ブラック研修で心が死んだ。俺は勇者失格だ」


真っ直ぐな理想を持ちながら、理不尽な指導と無茶な任務に挫折し、すべてを投げ出していた。


しかし――


「だったら……その無茶を、今度はこっちがぶっ壊す番でしょ?」


澪の言葉が、トルテの心に火を灯す。


その夜、ふたりはギルド式の簡易結界を張って作戦会議を開いた。


澪は黒魔法で記録した街の勤務映像を見せながら言う。


「このシステム、旧・魔王軍時代の“強制従属呪式”が応用されてる。


つまり、魔法で企業風にリニューアルされた洗脳よ」


「……そんなもの、勇者としてじゃなくても許せない」


静かに拳を握るトルテ。

その眼には、かつて失ったはずの闘志が戻っていた。


「俺、もう一度戦いたい。今度は“仲間”として」


「うん、ようこそ! ブラックに立ち向かう同志よ!」


こうして、新たな仲間を得た澪は、初めての“チーム戦”に挑む。


目的はひとつ。

ブラック企業が牛耳る街に、“ホワイト”な朝を取り戻すこと!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ