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アンデット・ターン!  作者: 空色レンズ
第三部:魔神編
41/62

(31) ~ ディアボロ

「ちょっちょちょ、フィーさん!?」


 押し倒すように抱きついてくる彼女を、なんとか押しとどめながらタイキは叫ぶ。目の前でにこにこしている彼女は、ぺろりと自分の唇を舐めてうふふと笑った。


「あーもーこういう反応もたまらない! 普通の人間とかだったら恐怖一色なんだけど、キミのは戸惑いと気恥ずかしさ、それにちょっぴりの恐怖。あっはーほっぺ赤いぞ可愛いな-!」

「キャラがもうわからない!!!?」


 フィーの右腕はがっちりとタイキの腰に回っており、左手は頬にあてがわれて、顔と顔の距離が近づく。くるっと首を横に向けられたタイキは、じょわっと首筋が泡立つのを感じたが、そこにフィーがぺったりと頬をくっつけてほおずりしてくる。


「あぁああああのゼフィストリーも絶賛する抱き心地ってこれかあ~、大納得!」

「ちょ、待、あの、フィーってか、あの!?」

「ふふ、フィーなんて侍女いないよ。ていうか侍女っていう存在自体、このデーモンの結界にはいやしないよ? 人間の世界にはいるけどね」


 少しタイキと距離をあけて、ぱちりとウィンクしてみせるフィーは、確実に別人といえるぐらいの変貌具合だった。あ然とするタイキの前で、嬉しそうに彼女は自己紹介をする。


「改めまして、こんにちは、そしてようこそタイキ! 僕はディアボロ、名前はシェル。気軽にシェルって呼んでくれると嬉しいなぁ」

「あ、はあ……」


 曖昧に頷いていると、とろりとフィーの輪郭が溶けた。

 ぎょっとするタイキだが、そんなことにはかまいもせず、溶けた存在は別の形を取り、やがて灰色の髪と真紅の瞳を持った美少年へ変化する。


「そっちが、ホントの姿?」

「んー、まあ利用することが多い姿はこれかなぁ。かっこいいでしょ」

「う、うん、確かに」


 戸惑いながらも素直に同意するタイキに、シェルはさらに笑みを深める。


「でも、なんでわざわざ演技したりしたの? 最初から言ってくれればよかったのに」

「んー、明らかに格下の相手に、どういう対応するのかなぁって思って。報告聞くところ、基本的に友好的な態度ばっかりみたいだけど、保護してくれる存在がそばにだーれもいない状況で、どうするのかなって」

「い、意地が悪い!」

「悪魔だも~ん。ふふ、でもほんっとに魔族らしくない態度。面白~い」


(この人が、ディアボロ。デーモンで一番強くて偉い人)


 ぷにぷにと頬をつつかれて、タイキもさすがにむっとする。なんとかシェルの手から逃れようと身をよじるが、シェルはタイキの右手首と左手首を交差させて、片手でソファに押しつけてしまう。のしかかられている形なので、足をばたつかせてもあまり意味はない。

 相変わらずとろけるような笑みを浮かべながら、自由な右手をふらふらさせているシェルに、にっちもさっちも動けなくなっているタイキ。

 たら、と妙な汗が首筋を伝った。


「……あの、そろそろ離れてくれない?」

「え、ヤダ☆」


 こつん、と額を合わせて、シェルはまた、ふふと笑った。

あれ、ブロ……ボロ?

ディア、ボロだよね?

「何血迷ってんのぉ?」


すいません!!!!

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