外伝(1) ~ アンデットのお食事
特に本編に関係ないかもです。そして、すごく短いです。
「なあ、デル」
異世界生活、夜が明けて二日目。夜が明けると言っても、時間的にその程度経過したというだけで、結界の中は闇を好む魔族の嗜好を反映して、永遠の夜を造り出している。
「はい、どうしました?」
「アンデットって、何食べてるの?」
それは、実に素朴な疑問。
「はあ、基本的にはあんまり。私どもゾンビを例にするなら、襲った生物の肉なんかを適当に食べたりとか」
「……ふ、人間の食生活とはほど遠いということか」
寝室からだぶだぶのローブをまとって現れたタイキの言葉に、デルフェールはただでさえ灰色がかった顔色から顔色を無くした。
「あっ、タ、タイキ、まさか食事が!?」
言葉尻を震わせるデルフェールに対し、若干ふらつきながら渇いた笑みを浮かべているタイキは、デルフォールに視線を合わせないままつぶやいた。
「そこらへんは人間仕様のままなようで……お腹すいたってホロウフレアに言ってみたら、虫とか、草とか、泥とか……いろいろ持ってきて……ふふ、さすがにヤバイ」
「そういうことは私にすぐに相談してください! ああ、どうしましょう……表の森で、ビーストたちに頼んで木の実とか山菜とか採ってきてもらいましょうねっ」
「うう、料理って、ここできるっけ?」
「キッチンありますから……ああ、でも私レシピ知りません……」
「適当な材料あれば、俺が作るから……とりあえず、もうちょっと寝てる……」
「すぐに採ってきますねー!!?」
前後不覚なまま、寝室へと戻っていった小さなリーダーを見送る暇もなく、デルフェールは館を飛び出していった。