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アンデット・ターン!  作者: 空色レンズ
第二部:王宮編
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外伝(8) ~ 赤の記憶

……書いていて、だんだんわけがわからなくなってしまいました;

読み飛ばしていただいても構いません。

 デイジーは鎧姿でなく、動きやすい私服姿で、ぼんやりと窓辺に座っていた。窓から青空が見えるものの、その手前には物々しい鉄格子がはめられている。

 ゆっくりとした動作で振り返ってみれば、一人の騎士に与えられるにしては広すぎ、ベッドや机、椅子、クローゼットなど様々なものが置かれた部屋が目にうつる。が、その部屋にはなぜか、扉がなかった。四方、どこもかしこも壁なのだ。

 ここは、魔法で封じられた牢である。


(けれど、こんな内装にしてもらっているのは、陛下のご温情よね)


 心の中でつぶやいて、デイジーはため息をつく。

 先日の事件で、ネクロマンサーを封印の間から率先して連れ出したという情報が公開されてしまい、そして玉座の間でもネクロマンサーと親しげに話していたところを多くの人間に見られてしまっていたため、魔族に通じる者として彼女は処分されかかったのだ。

 だが、仲間の剣で討たれようとしていた彼女をかばったのは、他ならぬ国王で。


『彼女がいたからこそ、我らの首が繋がっているのだとまだわからぬか』


 デイジーがネクロマンサーと近づくことができたからこそ、ネクロマンサーの意に従って魔族達はあの場を引いてくれたのだと。そう主張する国王のおかげで、デイジーは死刑を免れたばかりか、一ヶ月の浄罪の儀(という名の軟禁生活)を行うだけで、騎士団に復帰できることになったのだ。


「……そういえば、みんなはなんで魔族が嫌いなんだっけ」


 言って、つまらないことをと思い唇を噛む。

 答えは簡単。魔族は、人を殺し、人を食らうからだ。

 だが、もしも魔族が人を殺さず、人を食わなくなったら、どうなるのだろう?


「そもそも、どうして魔族は人を食うんだっけ」


 また、質問。デイジーは首を大きく横に振ると、椅子から立ち上がって室内でできる基礎体力用の訓練を始めた。




※ ※ ※




「デイジー、何してるの?」

「ん、見てわかるでしょ、素振りよ」

「それはわかるけど……一体なぜ?」

「騎士様に、なりたいからっ!」

「……なぜ? 女の人で騎士になるって、とってもとっても大変って聞いたけれど?」

「うん、それでも私、騎士になりたい。騎士になって、そして」


「リコの、敵を討つんだ」


 思わずベッドから飛び起きた。少し、息が上がっている。


「……え?」


 デイジーは目を見開いたまま、格子窓の外を見上げる。

 美しい満月が浮かんだ夜空が、視界に飛び込んできた。




※ ※ ※




 デイジーは貴族の生まれではなく、一般市民から選出される試験を受けて騎士になったたたき上げである。

 そして、彼女が一般市民として、王都の市民権を獲得する前は、地方の村でも一番喧嘩の強い少女であった。そんな彼女が、よく駆け回っていた村近くの森で出会ったのが、リコ。

 彼女は貴族のように質の良い、たっぷりとした服をまとっていて、つややかな黒髪と赤茶色の瞳が印象的な美少女だった。どうしてこんな森にいるのかとデイジーが聞いても、彼女はころころ笑ってはぐらかす。

 けれど、女らしさとは無縁の生活で、同年代の少年達からは半ば恐れられていたデイジーにとって、彼女との森での会話はとても新鮮なものだった。


「デイジーは、本当に強いのねぇ。前より足が速くなったんじゃない?」

「もっともっと速くなってやるわ。ま、それでどうするかは、まだ考えてないけど」

「ふふっ、あなた、ひょっとしたら女傭兵になってるかもしれないわね。いえ、それとも、この国の騎士様かしら」


 騎士、という言葉を口にすると、リコは決まって表情を暗くさせた。なぜかはデイジーにも、わからなかった。

 そのときが来るまでは。



 「 違うの、私じゃないの ――― 」

 「 信じて、デイジー 」



 村が燃えていた。歩き慣れた道を、銀色の鎧をまとった屈強な男達が踏み荒らしていく。

 彼らが狙うのは、この村の近くにある森に潜んでいたという魔族……ヴァンパイア。

 彼らが魔族だと叫んで追いかける、その姿は。


「デイジー、ごめんなさい、さようなら」


 今まで隠してきた、長くとがった耳と鋭い牙、そして血のように赤い目に涙を浮かべて、燃えゆく村のなか呆然としていたデイジーに、リコはそういった。

 そして彼女は、いくらでもできただろう抵抗を一切せず、神力をまとった騎士の剣を受けて塵となった。それを確認した騎士達は、村の炎を消すと、本当にあっという間にいなくなった。

 あとになって調べると、村全体の火事はいたずらを仕掛けようとしていた村の少年達によるもので、リコがいったとおり……リコが、起こしたものではなかった。

 偶然リコの本当の姿を見て、驚いた村人が騒いだから。近くの村での魔族狩りをしてきた騎士達がこの村に補給に寄ったから。騒ぎが起こった夜に、村を巻き込む火事が起こったから。……彼女が魔族だったから。


「……リコ」


 朝日がまぶしい。目元をこすった右手が、ふと耳たぶに触れた。

 そこを彩る赤いピアスは、リコそのもの。リコが崩れた灰のなかから、デイジーが見つけた欠片。


「まあ、一人いれば、他にも変わり者はいるわよね」


 思い浮かぶは、黒髪の少年。人間から魔族になったと言っていた。ひょっとすると、彼女もそうだったのかもしれない。


「……ごめんね、悪いけど、敵はとれないわ。ここが、今私が生きる場所だから」


 身支度をすませる。制服の上に騎士の鎧をまとい、剣を装備する。格子窓越しの空も、これで終わる。

 デイジーは騎士としての顔で、浮かび上がった木製の扉と向き直った。

デイジーの過去。さらっと流していく感じですみません。

何と言いますか……人を襲わない魔族って、そういえば前にも会ったよなという記憶がでてきたというか。

あと、デイジーはあの後やっぱり何かしら人間側から受けただろうという?

……はい、これにておしまいです!(無理やり)

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