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アンデット・ターン!  作者: 空色レンズ
第一部:結界編
3/62

(3) ~ ネクロマンサー、お披露目!

ここからは、主人公の名前もカタカナ表記になります。


※ デルフェールが地の文で『デルフォール』『デル』になってました……慌てて修正; まだあったら教えてくださいorz

 ぱちん、と最後のボタンを留めて、タイキは小さく頷いた。振り返って、確認を取る。


「デル、こんな感じ?」

「似合ってますよ、ネクロマンサー! あと、こっちが手袋で、こっちがマントです。あったかいですから、ちゃんと着てくださいね」

「ありがと」


 にこにこと崩れかけの顔で笑うデルフェールに、未だ完全に慣れきってはいないタイキはなんとか引きつり笑顔を返すと、彼の手から受け取った品を素早く身につけた。

 混乱する中、ひとしきり涙を流して我に返ったタイキは、自分の身体が冷え切っていることに気付いた。もうゾンビや火の玉に怯えている暇はない―――彼らにも敵意はなかったことだし―――ということで、何か自分の身体に合う防寒具を要求した。夜だったとはいえ、元の世界は夏真っ盛り。タイキもそれに合わせて薄目のダメージジーンズにドクロのワンポイントが入った黒いTシャツ、スニーカーという出で立ちだったのだが、この永久墓地という場所は秋か、酷ければ初冬のような寒さだった。まあ、雪が積もっていなかった分だけマシだが。

 そんなこんなで、「まあなんかゴースト系統がいるところだから、望み薄かな。俺ここで凍死かな」とか考えていたタイキなのだが、意外や意外、この一軒家にはそこそこな種類の衣服が、いつでも着られる状態で保存されていた。


「ネクロマンサーはいろんな命を持つ者がなりますから、この永久墓地の気候に馴染む前にお亡くなりになってしまった方もいることですし、こういうことの備えはいっぱいしているのですよ~」


 衣服の収められた宝箱を抱えてきたデルフェールは、やっぱりにこにこしながら、宝箱からタイキのリクエストに応えられ、なおかつ彼に似合う意匠のものを探し出した。

 黒を基調とした、銀色ボタンのナポレオンコート。ちょっと薄目の青色をした厚手のジーンズらしきズボン。黒いなめし革のブーツ。足首まで覆うフード付のマントに、洒落た革手袋。

 どれもこれも無難なコーディネートで、タイキは一も二もなく飛びつこうとした。が、最初はやっぱり躊躇ってしまった。どう見ても、マント以外は彼の体格より二十センチくらい大きい男性が着るようなサイズのものばかりなのだ。せっかく選んでもらったのに、と項垂れるタイキだったが。


「ネクロマンサー、試しにこのブーツ履いてみてください」


 ぐいっと無理矢理差し出されたブーツへ、半ば投げやりに足を突っ込んでみるとアラ不思議、するするとブーツは縮んでいって、タイキの足にちょうど良くフィットするサイズになってしまったのだ。着脱もこれ以上ないほどスムーズに行える。他の衣服にも同じような細工が施されているとデルフェールに言われて、ようやっと、タイキは自信の身を寒さから守るものを手に入れることができたのだ。

 準備してもらったものを一通り装備して、タイキはひととき、ほこほことした気分を味わった。


「あったかー」

「それはよかったです、ネクロマンサー」

「……なあ、デル」

「なんでしょう、ネクロマンサー?」

「その、ネクロマンサーって言うのやめてくれない? タイキでいいよ。そっちの方が短いし」

「え、いいんですか?」

「うん、あとその敬語も。なんかゾンビの年齢とか分かんないけど、明らかに俺よりは年上だろ」

「ええと、年齢とは関係無しに、ネクロマンサーは私たちの上位個体なので、うーん、……個人的に敬語は勘弁していただきたいのですが、名前くらいなら、本当によいのなら」

「うん、いいよいいよ」


 タイキが笑って許可を出すと、デルフェールは一層嬉しげな表情を浮かべて「タイキ、タイキ」と連呼した。


「髪の毛も、まとめた方がいいですよね。なんだか動きづらそうでしたし」

「そうそう、なんでこんなに伸びたんだろ? ほんっとーにビックリした」


 前髪だけはなんとか無事だけど、と適当に一房つまみ上げたタイキは盛大なため息をついた。どこからともなく取り出された組み紐で、ホロウフレアたちが素早くタイキの髪をポニーテールにする中、タイキはぼそりとつぶやく。


「なあデル、これ切っちゃダメか?」

「ダメですよ! 髪の毛には力の何割かが宿るって言われているんですから、タイキは絶対に髪を切ったらダメです。もし誰かに……ああ、それはないですね」

「へ?」


 何かを言いかけ、途中で自己完結したデルフェールに、タイキは怪訝な表情を浮かべる。それに気付いたデルフェールは、何でもないですよと早口に言って、布を撒いたままの右手をタイキに差し出した。


「さて、じゃあお披露目に行きましょう、タイキ」

「え、ちょ、お披露目って?」

「新しいネクロマンサーがやってきてくれたって、ここにいるアンデットたちに知らしめるんです。大丈夫です、みんな貴方のことを待っていたんですよ。貴方に危害を加えようなんて輩、いたら私がやっつけてやります!」


 気合いの入った顔で、勢いよく左腕を天井に突き上げるデルフェール。つられるように周囲のホロウフレアも旋回する勢いを強めた。瞬間、べちゃ、と粘着質な音が響いて、デルフェールの肘から半ばがあり得ない方向に向けて折れ曲がってしまった。


「ありゃりゃ、こりゃ大変」


 状況と台詞のわりにあまり焦っていないような様子で、デルフェールは折れた左腕をぐちゃぐちゃといじる。やがて安定したのか、しっかり手の平まで動くのを確認して、デルフェールはにこっとタイキに笑いかけた。


「すみません、それじゃあ行きましょう!」

「は、はは、はー……うん」


 やっぱゾンビなんだなあ、とデルフェールのことを再認識しつつ、タイキは渇いた笑い声が自分の口から漏れ出すのを止めることができなかった。



 ※ ※ ※



 デルフェールやホロウフレアたちに囲まれて連れて行かれたそこは、タイキがこの永久墓地にやってきた墓穴の場所だった。ただ、タイキが目を覚ました墓穴は、畳二枚分くらいの面積をもつ石造りのステージで塞がれていて、その周囲を、明らかに人ならざる者達が取り囲んでいた。

 真っ黒な肌をして、とがった角と翼と牙を持つ白目のない少年は、悪魔。

 よく悪魔信仰などの絵で見る、巨大な鎌を抱えた山羊の頭をもつそれは、魔人。

 半透明な身体を震わせて、たまにぼこりと気泡を吐き出している謎物体は、スライム。

 他にも理科室にありそうな骨ホネたちの集団に、ぼんやりと人型のシルエットを揺らめかせているゴースト、デルフェールに似ているが彼よりも動きの遅いゾンビなどなど。あとは、先ほどのネクロマンサーの家からついてきたものよりも大量のホロウフレアたちが、そこら中を飛び回っていた。


「さあさ、ネクロマンサーのご登場ですよー!」

「ちょ、デル!?」


 いきなりの発表に驚いて身を固くしたタイキだったが、瞬間、何十何百という人外立ちの視線にサラされ、その場から一歩も動けなくなってしまった。

 がちんがちんに硬直してしまったタイキを見て、穴だらけの甲冑と話をしていた悪魔の少年が、かかかっと笑って近づいてきた。


「見た目はすっげぇ弱っちそうだけど、力の方は申し分なしだな! 美味そうな匂いだし……ほら、早く来いよ!」

「リジェラス、ネクロマンサーになんて口を!」

「いいだろ別に。俺とヴォーゴのおっちゃんはディアボロ様に忠誠を誓ってるんだからさ。ていうか、アンデットのほうがちょっとざっくりしすぎな気もするぜ? なんでネクロマンサー『様』ってつけねーんだよ」


 けらけら笑いながら、悪魔の少年リジェラスはタイキをステージの上へ引っ張り上げた。その後ろを、急いでデルフェールが追いかける。ステージの中央に立たされたタイキは、そのままぐるりと身体を半回転、こちらをじーっと見つめる人外たちを見下ろす形となった。


(わーっ、わーっ、わーっ!?)

「……おーい、どうした? 名前言って、これからは俺が主だーって言えばいいだけだって」

「ま、まあそんな感じですよ。頑張ってください。あ、なるべく大きめの声で」


 後ろからひそひそと指示を受けて、タイキは一旦深呼吸、息を吐ききり、吸い込んで、ぴたりと動作が止まった。しん、と張り詰めた沈黙が場を支配する。


「っタイキ・クマガイ! 十四歳の新米ネクロマンサーです! いろいろ分からないことだらけですがよろしくお願いしますっ」


 ずるべしゃ。

 腹の底から大声で宣言したタイキの背後で、リジェラスとデルフェールが同時にすっ転んだ。振り返ってそれに気付いたタイキは、青くなって両手をばたつかせる。


「え、え? 俺、俺なんかまずいこと言った!?」

「い、いや、まさか自分より格下の魔族によろしく言うとは思わなくて……」

「あははー、タイキらしくていいですね~。あ、そうだ、みんなーもう一つネクロマンサーのお言葉です。タイキって名前でお呼びして構わないそうですよ~!」


 なんとか復活したデルフェールは、壇上からヒラヒラと控えめに手を振りながら叫んだ。彼の言葉で、魔族立ちの間に戸惑うような空気が流れる。


「それじゃあ、タイキ。これが最後の仕事です。これに両手を乗っけてください」


 よいしょ、とステージの中心にあった取っ手を掴み、全身がバラバラになってしまうんじゃないかと思うほどに力を込めたデルフェールは、ゆっくりとそれを引き出した。ガコンガコンと二段階で引き出されたそれは、ちょっとした石柱で、タイキの身長よりも少し大きいくらい。そして、タイキの視線の目の前当たりに、つるつるに磨かれた丸いプレートのようなモノがはめ込まれていた。


「……ここ?」

「はい、多分タイキは初めてなので、手形がつくと思いますよ。こう、ぎゅーっとやってください」


 デルフェールに言われたとおり、タイキは適度に力を緩めて、プレートに両手を押しつけた。銀か何かのような気もしたのだが、それは粘土のようにぐにゃりと変形して、一センチほどタイキの手の平の形にへこんでしまった。手がそれ以上押しつけられなくなって、ここからどうすればいいのかとデルフェールの方を見ようとしたタイキだったが、足下から脳天から、とりあえず全身を渦巻く妙な感覚が、胸に集まり肩を通り手の平に伝わって、石柱に吸い込まれていくのを感じた。


(なんだ?)


 気持ち悪くはないが、なんともくすぐったいような奇妙な気分になって、タイキは顔をしかめた。すると、ステージの周りで魔族たちが口々に歓声を上げる。


「おお、おお!」

「素晴らしい……今代のネクロマンサーは素晴らしいぞ!」

「力がみなぎるー! ひゃっほう!」

「へ?」


 きょとんとして、手をプレートにくっつけたままステージの下を見てみると、狂喜乱舞している魔族たちがいた。……いや、あの山羊頭の魔人らしきものやリジェラスは平然と突っ立っている。どうやら、デルフェールのようなゾンビやスライム、ホロウフレアなどが妙な高揚感を味わっているようである。


「で、デル。これって一体?」

「おお~、さすがはタイキ、なんとも味わい深い力です」

「デル、聞いてる?」

「ああはい、今はそこの石柱を通して、私たちアンデットにタイキの力を分けてもらっているんですよ。あ、御気分が優れないようでしたら、もう離していいですよ」

「気持ち悪くはないけど、じゃあ、離す」


 プレートからタイキが手を離すと、おお、おお、と呻いていたアンデットたちは次第に冷静さを取り戻していった。先ほどよりも動きが素早くなっていたり、嬉しげだったりと、どうやら彼らに対してタイキの力というモノはかなりプラスに働いたようだ。


「……ねえデル、後ででいいんだけど、やっぱもうちょっとこのへんのことについてよく教えて。俺のことは着替えのときにちょっとしゃべっただろ」


 さらに小声で、タイキはデルフェールにささやいた。俺のこと、とは、タイキ自身がこことは全く違う世界から来たかもしれないという、いわゆる異世界トリップ説のことである。もしもタイキのいた世界で、たとえ西洋であったとしても、夜に現実でゾンビが徘徊するような地域があれば大パニックになっているはず。

 タイキの言葉に頷いたデルフェールは、大仰に手を振って一礼した。タイキから見ると、その動作はまるで喜劇に登場するピエロのようであった。


「では、これにて新たなリーダー、ネクロマンサーのタイキのお披露目を終わりたいと! 『供給』のあとですので、しばらくは館に押しかけないでくださいねー。じゃ、行きましょうタイキ」

「あ、うん」


 デルフェールに促され、タイキは思わず彼の手を……布の巻かれていない左手をつかんでしまった。デルフェールや近くにいたリジェラスは酷く驚いた表情を浮かべたが、タイキは革の手袋をはめているし、会ったばかりの時に比べデルフェールの身体はずいぶんと崩れにくくなっているようだったので、抵抗は少なかった。


「あー、ごめん、握っちゃダメだったか?」


 固まったデルフェールを見て、慌てて手を離そうとするタイキだったが、そう言った瞬間に素早く手を握り返されて、ほっと息を吐く。視界の端で「信じらんねー」とリジェラスがつぶやいたのが見えた。


「いいえ、いいえ。……では、帰りましょう、タイキ」


 デルフェールは、今までタイキが見ていた中で一番の笑顔を浮かべていた。



 ※ ※ ※



 デルフェールが魔族たちに『館』といった、タイキからしてみればちょっと天井高めの平屋にしか見えないネクロマンサーの住居に辿り着き、リビングの椅子に座ったタイキはばさりとマントを脱いだ。


「うわ、なんか部屋が暑い」

「暑いですか?」

「んー、でもこのコート脱ぐ程じゃないかな。なんかしてたの?」

「ここを出る間際に、タイキが過ごしやすい温度になるように仕掛けをいじっておきました。いくらでもいじれますから、快適な温度探します?」

「んーん、ごめん。あったかくてちょうどいい。これくらいならマント脱ぐくらいでまだちょうどいいかも……寝るときとかはもう少し、暖かい方がいいかな」

「本当に人間みたいな感覚をお持ちなんですねぇ」

「だからさー、言ってるだろ。俺は人間だって」

「うう、今はタイキも私たちと同じ魔族ですよ~。まあ、ちょっと驚きましたが、転生前が人間だって言うのも信じますけれど」

「…………ちょっと待て、デル、今転生って言った?」


 彼の口からぽろっとこぼれた単語に、激しく動揺するタイキ。タイキから受け取ったマントを壁のフックに引っかけたデルフェールは、何でもないように続けた。


「ええ、我々魔族の各種族のリーダーは、一度転生することでその役目を負う資格を持ちますから~」

「……そこらへんも、本当に、全部教えて」

「はい、じゃあまず座りましょう」


 最初にこの家に来たときと同じような配置に座り、周囲を泳ぐように浮かんでいるホロウフレアを気にしながらも、タイキはデルフェールが話すのを待った。


「えー、まずはこの世界のことを、私が教えられる限りに。この世界には、表とか地上とか呼ばれている場所に住んでいる人間と、裏とか結界とか呼ばれている場所に住む我々魔族に、おおよそ分かれていますね~」

「……神様とか、いちゃったりする?」

「一応いますけれど、神は人間に味方してるだけ、力を貸すだけで、自分で出しゃばってくることはないですね。たまに神の力を体に宿した存在だとかが現れて、私たちはビクビクものですけど」


 ちょっと肩をすくめるデルフェール。


「で、この永久墓地も、フォリアル王国っていう人間の国に入り口がある結界の中なんですよ。アンデット種族の魔族たちが生まれ集うところです」

「魔族って、種類があるわけ?」

「はい、私が知っている中でも四つには分けられます。一つは私たちアンデット、先ほど会ったリジェラスのようなデーモン、獣の姿をとるビースト、一番人間に近しい姿のヴァンパイアですね。そして、それぞれにリーダーである最上級魔族の死霊使い(ネクロマンサー)魔神(ディアボロ)戦獣王(バルバロイ)吸血貴族(ヴァンプ)がいます。それ以外の魔族は、力の強さで上級魔族と下級魔族に分けられます。下級魔族は、俗に人間に『魔物』と呼ばれたりもしますね」


 いきなりの情報量に翻弄されかけながらも、目をつむったタイキは指折り数えながら、デルフェールの言ったことを反芻した。


「えーと、魔族は四種族いて、アンデットとネクロマンサー、デーモンとディアボロ、ビーストとバルバロイ、ヴァンパイアにヴァンプ……こんなん?」

「はい、はい! 飲み込みが早いですね、さすがタイキです」


 自分のことのように嬉しがったデルフェールは、さらに話を続ける。


「では、各種族のリーダーの選定方法ですけれど、これは各種族の中でも力が強い者が選ばれるらしい、ということ以外は分からないんですよねー。リーダーになるかもしれないほどの力を持った者の中で、世界の意志と便宜上呼びますけど、そんなものに選ばれた者が転生を行ない、最上級魔族の地位と特殊能力を授かるんです」

「……はあ、特殊な能力ねえ。俺もなんか持ってんのかな」

「もちろん。あ、疑ってらっしゃるんなら、ほら、あの石柱を通じて同族の魔族に力を分け与えられるというのも、各リーダーの特殊能力の一つなんですよ。まあ、タイキ特有の能力は、タイキ自身が気付かない限り分かりませんけれど……」

「へえー、うん、そこらへんは気長にしておけばいいから……」


 一通りの話を聞き終えて、タイキはコートの前のボタンを全て外し、大きく伸びをした。息を吐いて、真剣な表情を浮かべてデルフェールを見つめる。


「じゃ、なんで俺がその世界の意志とやらに選ばれて、ネクロマンサーになったんだ? 全く違う世界の、しかも人間なのに」

「ううーん、私には答えかねますけれど、こちらの世界の人間とは違う点で、ネクロマンサーにふさわしい条件をお持ちだったのでは? それで、世界の意志はタイキをこちらの世界へ招き、その過程で転生を行なったと。こちらの世界で人間が魔族のリーダーになるなんて前代未聞ですけれど、異世界なら何でもありって感じしますしねー」

「いや、こっちの世界の方が何でもありだと思うんだけど……」


 苦笑を浮かべて言い返したタイキに、デルフェールは若干不安の色を滲ませて言った。


「まあ、タイキは見た目がそのまま人間ですしねー。あのお披露目で大体の人達はタイキのことをネクロマンサーだと認めてくれたはずですけれど、まだお一人で墓地を歩かないでくださいね」

「うん、ていうかホロウフレアがずーっとついてきてるから、あんま一人って気はしないけど」


 周囲をふわふわと漂っている青白い火の玉たちを指さすタイキだったが、デルフェールは残念そうにふるふると首を横に振った。


「ホロウフレアは、魔族相手だとちょっとした足止め程度にしかなりませんし、魔術を使われたら一発でやられてしまいます。今のところは私から離れないでくださいね」

「あの……リジェラスってヤツは?」

「ああ、先ほども言ったとおり、彼はデーモンですから。貴方の支配下にある魔族ではないので、二人で行動するのはせめてタイキに抵抗する能力があるかどうか分かってからか、それか彼の方が本当に貴方に危害を加えることがないとはっきりしてからですね~」

「同じ魔族なのに?」

「違う種族だからです。えっと、まあ魔族内での異種族間関係もおいおい教えます」


 ややこしいもんだ、と声に出さずに呟いて、タイキはもといた世界に思いを馳せた。だが、今どうしようもないことを考えてもしょうがない。

 この日から、熊谷大輝は異世界にて魔族のリーダーを務め始めることとなった。


イロイロ出てきました、人外w

とりあえず、初期の方でちょっとクールぶっていた主人公も、話が進むにつれてだんだん子どもっぽくなったり壊れたりしてきますが、それもまあ頑張って異世界に順応しようとしている結果だと……多分(汗)


では、読んでいただきありがとうございました~。


2013/03/11 修正。(魔法→魔術)(フォリアル永久墓地→永久墓地)

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