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アンデット・ターン!  作者: 空色レンズ
第一部:結界編
20/62

外伝(5) ~ タイキ視点の家族構成

ここで外伝。うっすらタイキの元の世界での家族構成も、出てきてる、かな?

まあ、箸休めみたいな感じです。

ほのぼのの境地……。


「そういや……デルって、お父さんみたいだよなぁ」


 突然のタイキの発言に、本日タイキの屋敷に集まっていた魔族の面々はピタリと同時に動きを止めた。そんな中で、最も早く硬化が解けた人物……デルフェールは、茶器を抱えたまま笑顔を浮かべる。


「ありがとうございます、タイキ。そんな風に思ってくださるなんて」

「うん、なんかさ、ここに来たときからずっと一緒にいるし……」

「ネクロマンサー、私は?」


 ふわりと音もなくタイキの肩にとまったホロが、黒くぱっちりとした目を潤ませてくる。


「…………ホロはペット。もう溺愛」

「あっありがとうございますー!」


 ふわもこきらめき光線を受けて、瞬間的にホロを抱え込み、抱きしめてその感触に頬をゆるませるタイキ。そこで、タイキの正面に座っていた美丈夫、ロスティスラフが慌てて自身のことも聞いてみた。


「タイキ、僕はどんな立ち位置にいるのだ?」

「え? あー、ロティは兄ちゃんかな。もともと兄ちゃんっていたけど、年が離れてたからか、すごい俺に優しかったし。いろんな遊びしてくれたしさ」

「ちょっとちょっとちょっとぉー! そんな新参者の吸血鬼なんてどうでもいいの! ねぇタイキぃ、私はどうなのよぅ」

「んー、ゼフィはなぁ。母さん……でもないし、お姉さん……うーん? やっぱおば」

「タ・イ・キ?」

「訂正しますゼフィお姉さんです」


 ゆっくりと首筋を這う指先の感触に、えも知れぬ恐怖感を抱いたタイキは即行で発言をすり替えた。


「んで、リジェとツェーザリは友だちだろ」

「うへっ!?」「おや」


「リッパーさんはおじさんかな。ものすごい元気なじいちゃんでもいいし」

「じ、じいちゃん……孫……タイキが孫……? ふぅむ」


「ヴォーゴさんは、あー、うん! いつの間にかそばにいて見守ってくれるおじさん! リッパーさんとは別タイプ!」

「…………ふ」


 どんどん魔族たちの、自分の中における立ち位置を決めていったところで、タイキに絡みついていたゼフィストリーが頬を膨らませて、ロスティスラフを指さした。


「ちょっとタイキ! ヴォーゴやリッパーがおじさんだっていうなら、こいつもじゅーぶんオジサン……いえおっさんよ!」

「ふ、ゼフィストリー、この僕に向けて『おっさん』呼ばわりとはいい度胸だ……!」

「なによ、年齢的にはヴォーゴとどっこい、リッパーより年上じゃない」

「え、そうなの!?」

「タイキ、こんなオバサンのいうことなんて、気にしなくてもいいのだよ。ほら、次はタイキがカードを捨てる番だ」

「あ、そかそか」

「ちょっっっっとぉおおおおお!!! 今オバサンって言いやがったわねぇ!?」


 彼女を無視してカードゲームを再開するロスティスラフたちに、ゼフィストリーの口が耳元まで裂ける。ロスティスラフの隣に座るツェーザリは顔を引きつらせ、そのさらに隣に座るリジェラスは「俺はなにも見ていない」とそっぽを向く。唯一、ゼフィストリーの本性が剥げかけているのを直視せずに済んでいるタイキは、きょとんとした表情で彼らを眺めていた。


「えっと、ゼフィ?」

「ドウシタノカシラ、たいき?」


 聞こえてくるゼフィストリーの声が、妙な響き方をしていることに気付いたタイキは、意を決して振り返る。そして彼女の顔の変わりように息を呑むと。


「ゼフィ! 美人、美人さんに戻って!」

「あらぁ」


 『美人』という言葉に気をよくしたゼフィストリーは、今まで睨みつけていたロスティスラフのことなどどうでもいいかのように、あっという間に顔を元に戻してタイキにすり寄った。

 ぴったりと互いの頬をくっつけて、ご満悦な表情のゼフィストリーと困惑顔のタイキを交互に眺め、手持ちのカードをテーブルに置いたロスティスラフは一拍置き。


「ふむ、ゼフィストリー、君に幼児および少年好きの気があったとはな。なんなら、ツェーザリまでとはいかずとも、見目麗しい幼体のヴァンパイアを寄こしてやろうか」


 とたん、ツェーザリの肩がびくりと跳ね上がり、ゼフィストリーの表情が凍った。あと、地味にタイキの動きも。


「ロスティスラフ様、そんなこと、わたくしが許しませんよ……それに、わたくしは幼体ではありませんと何度言ったら」

「少年のまま成長しないのだ、似たようなものだろう」

「いいえそこは断固否定させていただきます!!! わたくしは立派に成人していますので!!!」

「……こんの、無神経野郎が……私は、タイキだから、だっつーのに……」


 それぞれの言葉がテーブルを行き交い、周囲の魔族がこっそり距離を置こうとしたそのとき。


 バァンッッッッッ!!!!!


 …………一同そろって、目を向いた。


「た、タイキ?」

「ねえロティ」

「う、うむ」


 デルフェールの呼びかけにも答えず、ゼフィストリーの抱擁も振り払って立ち上がったタイキは、薄い笑みを浮かべてロスティスラフを見据えた。その視線の冷たさに、さしものロスティスラフも動揺する。


「幼児って、どういうことかな? 俺、そんなガキに見えるかなぁ?」

「……む、人間の寿命ならば、十歳か、それより下ではないのか?」


(((このヴァンプ空気読めよ!!!!!)))


 全員が抱いた、この思い。タイキ自身は自覚がまだないが、彼の最上級魔族としての能力はかなり高い。そして、魔族たちが基本的に能力発動のきっかけとするのは、闘争心や興奮など……もちろん、そこには『怒り』の感情も含まれるわけで。

 タイキと同じく最上級魔族であるが故に、そして普段のタイキの温厚さを知っていたがために、他の魔族よりも反応の遅れたロスティスラフ以外は全員が察した。

 ……タイキの地雷を。


「お、れ、は、もう十四だってーのぉ!!!」



 ※ ※ ※



 マッドハンドたちは、のんびりとタイキの屋敷の周辺で雑談をしていた。


「今夜はずいぶん来客が多かったな。ネクロマンサー大丈夫かね」

「まあ、今回はあのヴァンプもお目付役が来てるし。何よりネクロマンサー自身であの暴走ヴァンプ止められるんだろう?」

「やっぱり、今代のネクロマンサーはすごいよなぁ」


 そろってタイキを褒めそやしながら、彼らの会話はヒートアップしていく。

 だから、気付かなかった。

 タイキの屋敷の中から、とても、とても不穏な空気が漏れ出てきていることに。


 どっかん!!!


 ……そんな轟音と共に、マッドハンドたちは悲鳴と共に吹っ飛ばされ、タイキの屋敷の屋根が、一瞬浮かび上がりましたとさ。 



 ※ ※ ※



「…………………ゴメンナサイ」

「ああ、わかった。お前がキレるとどうなるか、よーくわかったから」

「大丈夫よタイキ。ほら、その変なポーズやめて……顔上げてってば」

「変なポーズじゃなくて、これは俺の国に代々伝わる最上級の謝罪のポーズ『土下座』です」

「謝罪なんていいですから。とにかく、タイキがこのまま暴走してしまわないでよかったです」

「ふむ、僕らにも大した怪我はなかったしな。せいぜい衝撃波で家具が粉々になったぐらい……」

「てめぇは黙れよ!」「ロスティスラフ様黙ってください」


「ほんっとゴメンナサイ! ……うう、魔族になってから、なんか俺短気になってないか?」

さて。(15)と連続させると、9000文字ちかいのではないでしょうか。

うわ、長。


最後に、特に明記していませんでしたが『第一部 アンデットの結界編』はこれにて終了です。

この次には人物紹介を入れます。

そのさらに次から、『第二部 王宮編』に突入って感じですか。

第二部は一気にほのぼのじゃなくなります。どシリアス連発ですね。


……いつ書けるかわかりませんがぁ!

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