I LOVE YOUを君へ
「ただいま、シフィーさん」
「おかえりなさい、ミリス」
「もう、こんなに泣いてしまって――――ほら拭いますわ。座り直して」
自分の上からシフィーを退けて、指で顔を拭ってやる。
助けられたミリス以上に感極まり涙の止まらない姿を見て、少し困った様に表情を綻ばせ。
シフィーの手を取った。
「シフィーさん、大事な話というをお聞かせ願えますか?」
「改めて…………? 少し、照れるわ」
「良いではありませんか。恥を忍んでくださいまし」
「急に意地悪だわ…………何の話かもう分かってるのでしょう?」
「でも言って欲しいんですのよ」
涙が止まったら今度は頬を赤らめ。
期待に満ちたミリスの表情を見ると引くに引けず、下唇を噛む。
手を引こうとするが掴まれたまま力を込められてしまい、逃げられず。
口を開けて何かを言おうとしては躊躇ってを繰り返す内に、ミリスの表情が不機嫌なものになり始め。
弱ったと漸く声を放つ。
「私は、きっと、一人で生きていける人間だわ…………」
思っていた第一声と違い、首を傾げるミリス。
だが続く言葉に耳を傾げる時間にはレストランのコースメニューを待つ様な至福を感じている。
「一人で街を歩いてぶらりと店を見て回るのは好きだし、静かな本を読む時間も好き。沢山の人達と居るのは楽しいけれど、少し疲れてしまったりもする」
「……………………」
「でも、最近思うの。同じ幸せなら、貴女と一緒がいいって――――きっとこの気持ちが、貴女の教えてくれた好きって事なのね」
挟む言葉はいらない。
今はただ、結末の分かるその言葉に聞き入る。
「ミリス、あの時の返事よ。遅くなってごめんなさい――――私は、貴女のことが好き。ずっと隣に居てほしいと思うわ」
いじらしく放たれた言葉に対しての返答は、絶句。
想定していた通りの言葉で想定以上の威力を――――困ったシフィーが少し待つも、意識がふわふわと飛んで行ってしまいそうだ。
「その…………何かしら返事が、欲しいのだけれど…………」
「ハッ! そうでしたわ、死ぬところでした。告白の返事だなんて、それはそれで緊張しますわね…………」
胸を押さえ深呼吸を。
慌てた状態から向き合うと、気を取り直して視線を合わせた。
「私、ミリス・ロロペチカ――――生涯をあなた様に捧げ、添い遂げると誓いますわ」
それは、貴族の女にとって伝統的な婚姻の誓い。
政略結婚などでは使われず、ただ本人の意思で選んだ相手と結ばれるときのみに許された誓いだ。
「ミリス、これからよろしくね」
「シフィーさんこそ、しっかり可愛がってくださいまし。釣った魚に水をやらないだなんて酷、許しませんから」
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