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クルス

「感覚は掴んだわ。もう腕は斬り落とさないで大丈夫ね」


「駄目だったら毎回斬り落とすつもりだったの?」


「ええ。冷静になると馬鹿な考えだったけれども…………」


「ふふっ、貴女本当に面白い子なのね」



 腕の断面同士を当て、若返りの魔法を浴びせる事で傷をなかった事に。

 治療が終わり次第、改めて体内に魔力を通してスムーズな流れを確認――――サレンの鍛錬も終了。


 それから十日ほどは魔力を流しながらの戦闘と基礎鍛錬を繰り返し、ジュエリーの帰りを待った。

 


「いやあ悪い、待たせたのう。仲間を増やすためあっちこっち帆走しとったんじゃよ」


「エルドラから経緯は聞いたわ――――もう仲間集めは終わったの?」


「いやまだじゃ。次の相手はテメェさんの鍛錬に丁度良いでな、連れて行こうと思う」

 

「へえ、どんな人? というかジュエリーは私に何を教えてくれるの?」


「相手は追い追い話すとして、そうじゃな――――儂はこれから、テメェさんに魔法を習得させる」




 ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘




「ねぇマルクス、誰か来るわ」


「大丈夫ですサーニャ、僕がついていますよ」



 とある廃協会にて、ドレスを着た銀髪赤目の美し女と、眼鏡をかけた修道騎士の男が。

 近づく足音に警戒し両足に一本ずつ装備する短剣を引き抜く。


 刺突双剣、ハンドクルス――――双方逆手で刀身同士がクロスするように構え、廊下の崎にある闇を睨んだ。



「そう警戒するな、儂じゃ」


「あらぁ? あららぁ? あららららぁ??? ねぇマルクス大丈夫よ! この声は大丈夫!」



 気づいたサーニャが嬉しそうに言う。

 闇の先より現れ出たジュエリーに喜び、駆け寄り抱き着いた。



「久しぶり、ママン! 百年くらいぶりね!」


「久しいのうサーニャ。息災であったか?」


「ええママン! そんな事より今日はどうしたの? また十年ぐらいお休み?」


「仕事の手伝いを頼みたくてのう。それと一つ指導も」



 ジュエリーが言うと、闇の中からシフィーが現れる。

 その姿を見た瞬間マルクスが襲い掛かった――――一瞬で迫り、シフィーの目の前から後ろへ手を伸ばし刺突剣で脊髄を狙う。


 躊躇いなく突き刺し。

 だが直撃とはいかず、赤い魔力の壁が間に入った。


 魔力形式(マジックフォーム )5th(フィフス)、最も簡単なNo(ナンバー)とはいえ完全詠唱破棄での発動だ。


 

「なんのつもりかしら?」


「サーニャの表情が曇った。ならば貴女は私の敵です」


「随分と潔いのね」



 剣を抑える防壁を破裂させ、均衡状態を破壊。

 牽制として魔力弾を一発放つと、それを刺突双剣の先端を重ねて受け止め。

 上手く上方へと弾き飛ばす。

 


 「止めんかッ!」



 ジュエリーが怒鳴ると、サーニャがピクリと驚き。

 それを見たマルクスの剣は、次いでジュエリーに向いた。


 だが攻撃態勢を取るより早く肩にジュエリーの手が添えられており、振り払おうとした瞬間に力を操られ膝から崩れ落ちる。



「サーニャ、こやつは誰じゃ?」


「私のダーリン。修道騎士で、五年前私を殺しに来たの」


「殺せ、そんな敵は」


「大丈夫よ。ダーリン私に一目惚れでゾッコンなんだ」



 立ち上がれぬマルクスの頭を抱き抱え、撫でながら言った。

 マルクスは嬉しそうに、健やかに目を瞑る。

 


「ごめんね、ママンのお仕事手伝いたいんだけど、今っちょっと忙しくって」


「何がある?」


「実は、峠のダンジョンでマルクスがクルスを盗まれたの。それを取り返さなきゃいけなくて…………」


 「ダンジョンか…………丁度良い、儂とシフィーが手伝ってやろう」


「いいの!?」


「無論じゃ――――じゃが一つ、シフィーの魔法習得をてつだってやってはくれぬか?」


「分かった! ふふ~ん、ママンとダンジョン。うれしいな~」



 上機嫌でジュエリーの周りを駆け回る彼女の名はサーニャ・ラフェーリア。

 種族も血も違うが、正真正銘ジュエリーの娘だ


 

読んでくださりありがとうございます!

もし面白いと思ってくださった方は、レビューや感想、ブクマなどもらえると嬉しいです!


(更新状況とか)

@QkVI9tm2r3NG9we(作者Twitter)

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