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剣の鬼

 砕ける鉄と、舌打ちの音。

 積み上げられた剣の丘には、都市運営に使われる全魔道具運用一年分の魔力が込められている。


「カーッ! この下手さ加減で霧切を使っていたとは片腹痛しであるなあ!」


「何よ、こんな…………弱い剣が悪いわ。生身より弱いんだもの…………」


 「モノのせいにするな! 儂の作った武器は全てが一級品。適切な魔力の流し方さえすれば一撃で大陸さえ切り裂ける代物もあるのであるぞ!」


「じゃあ私が下手糞だって言うの!?」


「おう」


「うぅ…………」



 口先をとがらせて不満を存分に晒しながら、シフィーは大の字で倒れ込んだ。




「コツ…………」


「ん? 何か言ったか?」


「だから、コツ! コツとか無いのかって聞いているのよっ!」


「コツであるか…………そうだな、見ていろ」



 言うと、フェーローが剣を持って魔力を流した。

 だがそれは強化などとは呼べない脆弱。

 意識を凝らせば何とか認識出来る程の魔力量だ。


 

「魔力の操作が滑らかになれば許容魔力量も増える。逆に操作がお前さんの様に糞でも、魔力量が少なければ多少は耐えよう。まさか、出力下限の出力までも出来ないとは言わないであろう?」


「や、やってみるわ…………」



 蟻を踏み殺してしまわぬ様警戒するのと同量の集中を。


 少量の魔力は多いより操作も容易であり、少しずつ感覚を掴んだシフィーは訓練三日目に剣の魔力限界点見極めに成功。

 

 そこからは魔力操作の質向上と、まったく別質の武器にそれぞれ魔力を注ぐ訓練の第二段階へと入った。




 ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘




 城の屋根に座って空を見るジュエリー。

 そこに上って来たエルドラは、どこか退屈気だ。


 

「何をしている?」


「見張りじゃよ。いつフリートが現れるか分からん。暇じゃったし」


「他のに任せるつもりはないか」


「空間魔法の起こりを見極めるなら儂かテメェさんしかあるまいて」


「ま、そうだな――――だが安心していいぞ。一年は確実に来ない」


「…………は?」



 思わず声を漏らした。

 いつもその瞬間に現れたとておかしくないと意識を張り巡らせていた相手が一年以上現れないと言われれば、誰だってこうなろう。



「どういう事じゃ、説明せいっ!!! テメェさん勘など言ったらぶち殺すぞ!」


「勘だ」


「よし殺そう! 儂が竜殺し二つ目の例じゃ!」


「嘘だ嘘。ちゃんと仕込んだ」


「仕込んだ?」


「ああ。向こうから戻る前に、フリートの心臓へ我の魔力を残量の半分程ぶち込んできた。暫くは心臓機能も停止するだろうし魔力運用も無理。身体強化ぐらいなら兎も角として空間に穴開くなど不可能だ」


「何故それを早く言わなんだ…………!」


「聞かれていないからな」


「これだから竜は嫌いじゃ」



 大きなため息を吐き出すと、空間に穴を開く。

 その先はミレニアム――――最近では復興も進んでおり、徐々に日常を取り戻しつつある。



「何をするつもりだ?」


「時間が出来た。他の戦力も補充出来よう」



 そう言って消えたジュエリーは、この日より世界を渡った。

 ミレニアムのブルーノ、アトランティスのソロモン、放浪中のアドミニストレータ、その他冠級冒険者や実力者の元を巡っては一年後に控える戦いへの助力を取り付け。

 必要とあらば茶化し撃破し、説得をした。


 その最中、ヤマト近隣の土地にてジュエリーはため息を漏らした。

 古い遺跡にて、向き合う相手はカイエン。


 既に抜かれたオンボロ刀は、乱暴に流し込まれる魔力にて刃元がぐらついている。



「そうじゃったなあ、テメェさんはそういう奴じゃ」


「機会があるなら俺ァいつでもアンタを斬りてえんだ。忘れるなんざ馬鹿だぜ」



 カイエンは参戦に際しての条件として、サシでジュエリーがカイエンに勝利した場合認めると言った。

 決して善人でなく、剣を振るいたいだけの亡者だ。

 このような流れになるのは当たり前であろう。



「行くぜ、ジュエリー・ラフェーリアッ! 俺を満足させてみろ!!!」



 叫び、刃を振り上げ飛び掛かる。

 開戦の一撃は空振り、歴史的価値の大きな遺跡へ新たな歴史の痕を刻み付けた。

読んでくださりありがとうございます!

もし面白いと思ってくださった方は、レビューや感想、ブクマなどもらえると嬉しいです!


(更新状況とか)

@QkVI9tm2r3NG9we(作者Twitter)

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