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●第4話

-- 裏路地 --

アニョマ亭を後にして入り組んだ裏路地を歩くアリアとミチェに付いて行く。

「遠征の依頼なんて受けて大丈夫だったの?」

「紅葉の季節の旅行は最高だよっ。しかも指名依頼でギルドポイント1.5倍。」

「キオロ湖だと徒歩で1泊2日の距離のはずだから、最初の冒険としては最適よ。

川沿いに進んで一泊、そこから山道も川沿いを進むから、釣り道具を忘れないようにな。」

「わたしも昔から釣りしてました。2人とも釣り好きなんですね。」

「硬くなったパンと干し肉よりは好きよっ。この辺は川が多いから必需品だよねっ。」

「野兎が狩れれば必要無いが、釣りの方が簡単だしな。」

ミチェが止まって手を上げると、前から明らかにガラの悪い2人組が塞ぐ。

「騒がずに持っているもの全部置いて行け。」

「きゃあっ!助けてっ!」

体格の良い男が短剣を抜こうとしながら言い終える前にアリアが叫ぶ。

ドサッと大きな音がして、後ろを振り向くとミチェがサーベルを振るった後で、

マチェットを持った男が血を流して倒れていた。

再びアリアの方を向くと、アリアの拳が喋っていた男の鳩尾に入り泡を吹いて倒れ込むところだった。

もう一人は慌てて逃げ出そうとするが、アリアに引きずり倒され、拳を入れられると動かなくなった。

「衛兵を呼んでくるよっ。」

アリアはそう言い残すと表通りへ消えていく。

「悪い。色々と教える前に実践になってしまったな。

3人組の強盗がこの辺りに出るとギルドで聞いていて、探りを入れようとしていたところなんだ。

左手開いて上げたらお喋りはお終いにして止まって警戒。

敵に気づかれていない場合、声を出さない方が都合がいい場合が多いからな。」


幾つかのハンドサインを教えて貰い数分が経った後、衛兵と共にアリアが戻ってきた。

「では、後処理はお任せします。懸賞金はギルド経由で受け取ります。」

連れてくる途中で事情は話し終えたようだった。

「この手の者は粗方潰したはずなのに、また服が汚れてしまった。

私は宿舎へ戻る。夕刻にギルドで会おう。」

返り血で染まった服をうんざりした顔で見ながら、ミチェは帰っていった。

裏路地を進むアリアに付いて行きながら問う。

「良くあるの?一瞬でわたし何が起きたか分からなかったよ。」

「女子だけで裏路地を歩くと稀に良くあるね。

一番前が雑魚で、逃げ出そうとしたのがリーダー。後ろのは雇入れの冒険者崩れってところ。

男の冒険者ってこんなのばっかり。冒険者になる事しか出来なかったのに、地道に依頼をこなす事も出来ないの。

私は格闘も出来るから雑魚だと分かったら拳でやるけど、ミチェはいつも剣を抜くの。

生きていれば満額、死体は7割。新顔には懸賞金は乗ってないけど、犯罪者は賞金でるからねっ。」

「一瞬で片が付くのに助けを呼ぼうと叫んだよね?」

「叫ばなかったら、どっちが襲われた方か分からなくなっちゃうからねっ。

それより、コールドシールド使ってあげなっ。もう一人いて襲われてたら危なかったよ?」

「わっ、わたし忘れてた。」

「これが実戦経験ってやつだから、次に生かそうねっ。

それより、どこか行きたい場所ある?」

「午前中なのにいっぱいあって疲れちゃった。甘いものが食べたいかな。」

「はにょ?甘いもの?いいねっ。私も気になってた喫茶店があるんだっ。

新作のパンプキンパフェとマロンクレープがあるのっ。」

アリアはスキップをしながら僕の手を引っ張る。

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