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●第3話

-- アニョマ亭 --

宿舎の裏手の人通りのない路地を少し行くと、工房を備えている店舗があった。

「ミチェ、アリアおはようにゃ。いらっしゃいませ、アニョマ亭の店主のスズですにゃ。」

丸眼鏡に三毛の猫耳の女店主が迎える。混血の人が居るとは聞いたことがあった。

混血は異端とされ、数も少なく森の中で暮らしているとも。

「初めまして、わたしボニです。」

「猫耳は初めて見るのかにゃ?尻尾も生えているにゃ。」

くるっと回り背中を見せるとお尻を振って、腰のあたりから生えている2本の茶色いもふもふをフリフリする。

アリアとミチェは常連なのか草編みの籠に、商品を自分で探して入れていく。

「ん?疑問かにゃ?引っ掻かないから何でも聞いてにゃ。」

「人目に付かないところに店舗があるのが不思議だなって。」

「ええと、混血を嫌う人多いにゃ。

でも、前に冒険者をしていたこともあって、この場所には知り合いも多いにゃ。

それに、工房で煮たり焼いたりすると臭いがでるし、爆発もするからにゃあ。」

「スズさんは、魔法使えますか?わたし魔法を教えて欲しいのです。」

「魔法は使えるけど、売り物じゃ無いにゃ。

そうにゃぁ……特別な依頼を受けて頂けるなら、一つ教えるにゃ。

魔法は『コールドシールド』にゃ。軽くて硬い氷の盾は魔法使いの冒険者に最適にゃ。

依頼の詳細はここでは話難いので、こちらへどうぞにゃ。」


案内され奥の部屋へ入ると、大きめのソファーにミチェ、僕、アリアの順、対面の椅子にはスズが座る。

周りには薬草を取り分けておく小さな引き出しが沢山ついた棚に、

すり鉢や試験管などの調合器具、色とりどりポーション、瓶詰めの花や虫が所狭しと並ぶ。

天井からはドライフラワーが吊るされており仄かに安らぎの香りが漂う。

「猫の鼻は普通の人より感度が良くて、特にフェロモンに関しては良く利くのにゃ。

先ほどから、くんくん……どうも雄の匂いがするのにゃ。

私じゃなくても、きっと隠しきれないにゃ。」

スズさんの切り出しに目をまともに見ることが出来なくなる僕。

「と、言うことで、この新作の女体化薬を試してほしいにゃ。

まだ試作中で自分で飲んでも、10日の間、胸が大きくなるだけで効果が不鮮明なのにゃ。

あるお方に収穫祭の仮装パーティーで使いたいと言われてるにゃ。

魔法『コールドシールド』に加えて、20万ylも謝礼とするにゃ。」

棚から1本のオレンジ色の液体が入った小瓶を取ると、手渡される。

「20万ylも?!」

ミチェが驚いた声を出す。

「効果が確認できればあのお方にお売りできるし、

一般化出来れば爆売れ間違いなし、元は取れるはずにゃ。

表通りで売りにくいものにも需要はあるのにゃ。」

「はにょ~~ん、さっそくバレたぁ……。」

アリアは小さくため息をつく。

「アリアがまた永久脱毛剤を籠に入れたのも知ってるにゃ。前にお買い上げしたはずなのにゃ。

白百合の航路は乙女のためのパーティーだって聞いたにゃ。

今の中途半端な状態だと、ボロが出た時にボニが持たないにゃ。」

3人の目が僕に集中する。

流されてはダメ。自分で考えて自分で答えを……。

初めての依頼。新しい魔法。申し分ない謝礼。どれも欲しいものばかり。

「分かりました。ご依頼を受けます。」

「ありがとうございますにゃ。では、飲むにゃ。」

僕は小瓶の蓋を開け、一気に飲み干す。

ハッカの効いたオレンジジュースみたいで後味はスッキリ。

「10分ほど掛けて徐々に効果が表れるはずにゃ。推移を見守るから衣類を脱ぐにゃ。」

その言葉か薬の効果か分からないが、僕の体は火照り始める。

「早くするにゃ。効果が分からなくなるにゃ。」

立ち上がって渋々と衣類を脱ぎ始める。

「ブラもパンツも脱ぐにゃ。」

躊躇っていると、スズさんに素早い動きで全裸に剥かれる。

「脱いだら、ソファーにもたれてリラックスするにゃ。」

ソファーに押し倒されると背もたれに寄りかかるが、リラックスは出来そうもない。

アリアは口元を抑え恥ずかし気に横目で、ミチェは冷ややかな目で見つめる。

スズさんは椅子に座り直して面白いショーをみる目で直視する。

胸が疼くとゆったりと膨らむ。お臍の下も疼く。全身の火照りが疼く。

「手で隠しちゃ見えないにゃ。」

効果を確認するのは分かっていたはず。僕は覆っていた手を両脇に降ろす。

「失敗かもしれないにゃ。凄く大きくなってるにゃ。」

スズは椅子から立ち上がり、近づいてくるとまじまじと観察する。

「中に不要なモノが溜まっているのかもしれないにゃ。」

僕の開かれた膝の間に入り込むと、ペロペロと舐め始める。

ザラザラとした舌がくすぐったい。

「暴れちゃダメにゃ。2人とも押さえつけるにゃ。」

アリアとミチェに両側から腕を取られる。3人の視線が集中して熱く熱くなる。

まともに見ることが出来ずに目を閉じる。スズは咥えこむと、ちゅぱちゅぱと音を出して扱く。

「はぁんんっ!」

感覚が集中して僕は限界に達し果ててしまう。

終わった。スズが離れていくのをぼんやりとした薄目で確認する。

僕のそれはスルスルと縮んでいくと、知らぬ間に作られた割れ目の中へと消えていく。

「見込んた効果は確認できたけど、改良は必要そうにゃ。」

ゴクリッと飲み込むと頷きながらスズは満足げな顔をした。

そして思い出したかのように割れ目を押し広げると中の確認も行い、更に頷く。


「変化は終わったようだから、服を着ていいにゃ。感じていることを言葉にするにゃ。」

僕の身体に用は無くなったらしく、ノートをとるスズ。

「全体的に薄っすらと脂肪が付き丸みを帯びた感じ。

最初寄りは収まったけど、身体はまだ火照っている。」

余りの衝撃的な出来事で放心状態で喋る僕に、アリアが下着を着せてくれる。

「パッド必要無くなっちゃったねっ。むしろブラの方が小さいかも……。」

「くふっ……。胸は少し触れただけで、声が出ちゃうくらいくすぐったい。」

「ボニがくすぐったいの胸だけかな?」

アリアが二の腕や首筋を指先でなぞる。

「ふわぁっありあっ。ダメッダメッ全部くすぐったいっ。」

「いい反応するね。本当に女子になってる。何処までくすぐったいか確かめてみようか。」

ミチェも耳元で囁きながら、一緒になって鎖骨や脇腹や内腿にも手を這わせる。笑いが止まらなくなる。

「あっあっあんんっ!」

自分の意志とは別に声が出て身体が何度も跳ね上がり、頭が真っ白になる。

「可愛いっ。でも、やり過ぎちゃったかもっ。」

アリアが冷静さを取り戻して手を止めるも、もうぐったり。

「いいデータが取れたにゃ。詳細まで記録したにゃ。」

スズの非情な声が耳に届く。


衣類を身に着け休憩した後で、小切手で謝礼を受け取り、魔法『コールドシールド』を教えてもらう。

魔法の伝授は口頭での説明と実践。

コールドシールドは左腕の甲に円形の氷の盾を作る魔法。

なので左腕を胸の前に出して、右手で詠唱位置を定めて円を描き詠唱を行う。

強度や大きさ、軽さ、持続時間、詠唱速度、自動誘導の的確さや速度などは熟練度に応じる。

実戦は詠唱者の実演時に触れていることで、マナの流れの制御を学ぶ。

詠唱動作が少ないことからスズの左腕を触った状態で詠唱してもらった。

その後、同じように僕の左腕にスズが触った状態で練習。

3回ほど唱えて指摘通りにすると、クリエイトウォーターと似ている感覚から使えそうな形にまでなった。

「形が出来るまで5日は掛かると思ってたのに、習得が早いにゃ。細かい制御は練習、練習、練習にゃ。」

「教えて頂きありがとうございます。他にどんな魔法を知っているのですか?」

「残りは錬金術の精製関連ばかりにゃので、弟子に入らない限り秘密にゃ。」

「わたし冒険者になりたくてここまで来たので、弟子は無理かな。」

「そうにゃあ。気が向いたら来るにゃ。ボニなら歓迎するにゃ。

魔法を教えてくれるかは分からないけど、魔法使いが住んでいるところを知っているにゃ。

場所はピカッザ山のキオロ湖の畔にある村落にゃ。行くなら湖の魚も取ってきて欲しいにゃ。」

「遠征だとアリアとミチェに確認しないと。」

ソファーで雑談をしている2人を振り返ると、聞き耳を立てていたようで直ぐにOKが出る。

「詳細な地図や魚種はギルドに出す指名依頼に載せておくにゃ。」

「成りたてで指名依頼なんてボニは凄いな。」

「ほんと凄いことなんだよっ。私まだ貰ったことないもの。」

ミチェとアリアに褒められて、ここに来てこの依頼を受けて良かったと舞い上がる。

「先にも言ったんだけど、効果は10日間にゃ。

改良した薬の試飲も頼みたいから、また来てほしいにゃ。

勿論、謝礼もまた出すから安心してにゃ。」

「はいっもちろんお受けしますっ。」

軽く答えてから疑問符が浮かぶ。本当に受けて大丈夫?


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