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第2話『変形』のゴーレム 2

「ねぇねぇ。ギンタ殿はどんな魔物がタイプ? やっぱり同じゴーレム? 村長わぁ、エンシェントドラゴンかなぁ。魔法も使えるし人間以上に賢いしぃ」

 

(俺まだこっちの世界に来たばかりだからどんな魔物いるか知らないんだ)

 

「知らないって」 


 答えた少年の目は虚ろだ。


「じゃあー、魔王は? オレオレ系だとやっぱり惹かれちゃう?」


(この世界に魔王っているんだ。でも魔王って怖いイメージがあるし、会いたいくもないかな)


「知らないって」


 少年、それさっきと同じ答えだけど。


「それとも勇者派? キャー! 魔物と勇者の禁断のロマンス?」


 俺を発掘した冒険者も、勇者がどうのこうのって言ってたな。討伐されたら嫌だし会いたくないかな。


「知らないって」


「王子。本当にギンタ殿はそう言ってるんですか? 真面目に通訳してくれないと困ります」


「言ってる」

 

 少年は眠そうに瞼を擦っている。俺は村長さんを見ながら、うんうんと頷いてみせた。


「おお、ギンタ殿が頷いとる! なら、信じるしかありませんな」


 かれこれ何時間たったんだろう。村長さんの俺への興味はまったく尽きない。

 

 来たときは夕方だったけど、もうすっかり夜も更けて、空には2つの三日月が寄り添うように浮かんでいた。


 月の女神は双子で、赤い月がルージュ、青い月はドレと呼ばれている。


 妹のドレは姉のルージュの事が大好きで、どこに行くにしても後ろを付いていき姉を真似る。姉が満月になれば遅れて妹も満月に、三日月になれば遅れて三日月になる。ちなみにデウス神は青い月のデレに片想いをしているという逸話もある。


 夜中にデートに来たリア充参拝者がそんなことを言ってたのを思い出した。


「ギンタ殿? 聞いてましたか?」


(ごめん。聞いてなかった)


「…………」


 少年はもう夢の中だ。流石に村長も少年を起こしてまで答えを聞こうとしなかった。


「今日はもう遅くなってしまった。王子は私の部屋で休んで頂くとして、ギンタ殿はどうなさいますか?」


 遅くなったのは村長のせいだけどな。


 優しい目で王子を見つめる村長。王子の事も知っていたみたいだし、2人とも仲が良さげだった。もしかして知り合いだったのか?


 ここで見張りでもしてようかな。それに体にくっついていた石が剥がれて少し小さくなったけど、まだ3メートルはあるし。村の中で休んだら邪魔になりそうだし。


 俺は翼で自分の足元を指して、ここで良いと目で訴えてみた。


「わかりました。ギンタ殿の心遣い感謝いたします」


 おお、通じた。

 

 少年抱いて家に帰る村長を見送る。


 索敵レーダーを起動。


『索敵レーダー起動』


『索敵レーダーを起動しながら機体とシステムをスリープモードへ移行出来ます。移行しますか?』


 頭の中の声が告げる。だから、そんな事が出来るなら早く教えてよ。


『機体の再起動・司令官の再登録・保護殻の破棄により、システムが復帰しています』


『自己再生を停止中の為、復帰出来ないシステムを確認』


『スリープモード中の自己修復で補填可能』


 なんか急にお喋りになったな。頭の中の声の人。

 

 スリープと言うこと寝る事ができるのか。動けるようになってからは良いことだらけだ。


 そう言えば、ここの村に王子が見て欲しい物があるって言ってたな。明日にでも見せてくれるんだろう。


 スリープモードに移行。

 

 ブンと音がすると視界が暗くなる。


『スリープモード移行します』


『おやすみなさい。ギンタ』




 

 レーダーが少年がこちらに向かっている事を感知すると、スリープモードから起動モードに勝手に移行された。


 辺りはもうすっかり明るくなっており、多くの家から朝餉の煙が登っていた。


 人間だった頃の寝るのとは、ちょっと違った感覚ではあったけど、寝てたと言えば寝てたのかな。


 目覚めすっきり! とか、まだ寝てたい……とかそんな感じではなく、閉じた目を開けたら時間が経っていたみたいな。


 遠くにいる少年の姿を確認すると、胸に何かを抱えてるようだ。何だあれ?


 意識を集中すると目の前に半透明な画面が浮かび上がり、少年が持っている物が拡大されてに表示された。こんな機能も使えるようになったのか。


 あれは鳥の人形? いや石像か。


 三頭身で太ったペンギンのような体型。顔はオカメインコに似ているが、無駄に凛々しい目のせいか、可愛いというよりマヌケな印象だ。


 翼は身体の割には小さめで、今にも羽ばたこうとしている姿なのだが、飛べそうに思えない。


 まてよ? 鳥の……石像……だと?


 俺の前まで来ると、少年は満面の笑顔で石像を置いた。


「昨日はギンタにこのデウス神像を見て欲しかったんだ」


 やっぱり俺か……。石像だった時はこんな姿だったのか。流石に神様だし、もう少し格好いいと思ってたんだけどな。


 そうなると今の見た目ってどうなってるんだ? 顔はまだオカメインコなのか? どうなんだ少年?


「オカメインコ? 良くわからないけど、今はすごく格好いいよ」


 ゼウス神像の姿に軽くショックを受けたが、少年の言葉を信じることにして気持ちをなんとか立て直す。


「この神像はね、10年くらい昔にギンタがいた遺跡とは違う所から冒険者が持ち帰って、この村の祠で祭られていたんだ」


(そんなの事、良く知ってたな)


「教会に管理を任せてはいるけど、王家はデウス神像の保管場所についてだけは把握してる。それに村長は去年まで僕の勉強の先生だったし、その時に村の観光スポットだって言ってたよ」


(へぇー。やっぱり村長さんとは知り合いだったんだ。そんな貴重な神像、持って来ちゃて大丈夫なのか?)


「なんなら持ち帰ってくれると嬉しいって言ってた」


(えっ? なんで!? 神様だよ! 平和と繁栄を司ってるだよ?)


「遺跡から出てくるデウス神像って、見た目が面白いから人気はあるんだけど、飽きられるのも早くて。この大きさだと沢山あるし今じゃ誰もお参りにも来ないんだって。だから新作のデウス神像を作ったのはいいけど、処分に困ってたっから丁度良かったって村長が…………。あっ、僕はこの遺跡産のゼウス神像は大好きだよ! ほら可愛いし!」


 …………少年ありがとう。


 くそ、新作のデウスめ!

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