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第0話 『プロローグ』

 何も無い。


 暑くも寒くも無い。


 痛くも心地良くも無い。


 此処はどこだ?


 前に進もうとしたが足が無い。まるで初めから足などなかったように感覚すら無い。


 腕を動かしてみようとしたが腕も無い。いや腕や足だけじゃない。全身の感覚が無いのだ。

 

 寝ているのか起きているのか、それすら解らない。

 

 闇と静寂の世界に自分という意識だけが存在していた。


 ふと、此処に来る前の事を思い出してみる。


 確か銃に撃たれそうになった少年の盾になったんだっけ。


 反社会的組織の抗争なのか、テロなのかは知らないが、突然、目の前の男が銃を構えた。


 だから反射的に隣にいた少年を庇った。


 乾いた銃声が数発と、幾人かの疳高い悲鳴が聞こえた気がした。背中と首元に熱い痛みを感じながら俺はそのまま倒れたんだと思う。


 そして今はこの状態だ。


 此処が天国や地獄と呼ばれる所であるのなら良いのだか、もし生きて病院にいるのだとしら……。

 

 想像するのも怖い。現実の俺はきっとヤバいことになってるのだろう。


 あれからどれだけの時間が過ぎたんだのだろうか?

 

 数秒? もしかして数年?


 あの少年は無事だろうか? 心配だが俺には確認する方法も手段も無い。


 俺が生きてたとしても、話すことも動くことも出来ずに一生ベッドの上かもしれない。そう考えると死んでた方が良いような気もする。


 どうせ俺が死んでも悲しむ人なんていない。俺みたいな奴の世話をする看護師が可哀想だ。

 

 そんな事を考えていると、自分の意識がゆっくりと確実に、闇に混ざりながら溶け込んでいる事に気が付いた。

  

 ああ、これから本当に死ぬんだなと思った。

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