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短編大作選

Limit

「はい。あ、はい。そうですか」


「はい。では、失礼します」


私は、優しい微笑みを、振り撒いていた。


ホッとした感じだ。


『100歳』


そう告げられたから。


赤ちゃんが生まれたとき、神様から母に、寿命を告げてゆく。


それが、最近は増えた。


最初の人は、かなり驚いただろう。


告げられるのは人口の、3分の1ほどらしい。




私は母から、自分の寿命なんて聞いてない。


でも、告げられていて、言っていないだけかもしれない。


そりゃ、言えないか。


寿命なんて。




人生配分が決められる。


人生設計が立てやすい。


だから、いいと言う人もいる。


ただ、難点もある。


もしも告げられた運命を、誰かが意図的に変える。


そうすると、その変えた人が早く命を落とす。


そんな噂があるのだ。


ただし、知っている人に限るようだ。




最近、母がべたべたし始めた。


姉妹に何度も、間違えられたことのある母。


若々しい母だ。


べたべたといっても、粘着物質を出している訳ではない。


どこかの地域にいる、虫ではないから。


ハグしたり、ハグしたりということだ。




過度のスキンシップに、初産が関係している。


それはないだろう。


私に、寿命が近づいている。


そうとしか、考えられない。




1年前に、私は重病になった。


長期間の入院。


そこで母は、つきっきりで看病してくれた。


その優しさが、今でも心にある。


その病気が、最近のスキンシップの原因かもしれない。




他にも、違和感はいくつかある。


そのひとつは、母が自らの部屋を、最近、整理し始めたことだ。


私との、想い出を見つけようとしている。


そう、解釈することにした。

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