第二十八話 上司ってすげぇ
結局のところ勘違いだった。能力の消滅。それは常識を崩すようなものだと思っていたが崩すことが悪い事って訳ではないんだと、バレルとデルマの話を聞いてわかった。世の中には能力に苦しまれている人もいるんだな
ユラ「…なるほどな。というかバレルって乗り移る能力だったんだよな?」
バレル「せやで」
ユラ「…話し方とかはなんで?」
1番気になっていた。乗り移ってるのに話し方が変わってない。
バレル「こりゃ仕方ないんや。なんや能力自体が上手く機能しない時があるんだ。自分の魂の方が薄れてしまうんや。まぁ仕方ない事なんや。元々赤色の部分を上から塗っているようなもんやから元の色も出るわな。」
やっぱ能力って呪いみたいだな…
その時、茂みから音がした。
そこには…
ーーーーー
ライ「あーもう!どんだけ奥まで来れば良いの!?」
僕達メクルチームは珍しく4人での任務をしていた。森の中で大量の資源が不自然に失われていたり、突然大きな木が倒れたりと怪現象が多々あったらしい。何があったもんかわからないし森は広い。だから人数は多い方が良いと思い4人で来た。
マゴ「大丈夫っすよ。ライ先輩って野生感ありますから」
ライ「どゆこと?!ねぇ?マゴちゃん!」
かれこれ2時間くらい探索して解決はした。探すと森で勝手に資源を集め売り捌いていた女を見つけた。だが、能力で大量の化け物を作り出し逃げられてしまった。あんな能力者が今まで見つかっていなかったとは…。僕らはその女を探していた
にしてもこの2人元気だな
ケルト「もう暗いし、危ないから帰らないか?あんな能力目立つだろうし」
メクル「目立つがあんなの使用者が遠くから作り出したらどうしようもないじゃないか」
マゴ「流石に距離の長さは決められてんじゃないっすかね。だってズルいじゃん」
ライ「マゴちゃん。ズルいのが能力なんだよ」
間違ってはいない。
マゴ「ん?なんかあそこ人いません?」
マゴが指を指す方には確かに人がいた
…ん?
ケルト「あれって…」
ーーーーー
…これはどうなるんだろう。俺が悪い気がしてきた。というかそう見えるだろう
ライ「なんで…なんでユラくんバレル達といるの?」
多分任務で来ているのだろう。あの4人が揃って行動なんてないからな。さてどうしよう
ユラ「待った。話そう。話せばわかる」
横目でバレル達を見ると「どうしよう」みたいな目で見てきた。なんとかしろよ、なぁ
メクル「…まぁそんな座って仲良さそうにしてたらユラが寝返ったと思うが…」
ユラ「いや、誤解だ。俺はシデラさんを助けにきて戦いになったんだ」
ライ「まぁそうだろうね…」
ユラ「で、デルマが思ったより強くて倒せる気がしなかったしお互い満身創痍だったんだ」
ライ「うんまぁそうだろうね…強いもん、デルマさん。」
ユラ「だからなんで能力消すの?って聞い…」
……待ってこの話って
ライ「うん?能力を消す?」
…やったわ
隊長に謝りつつ能力消滅の話をした。全部。
ごめん、隊長。
ユラ「でこの中にあるんだって。」
メクル「待て待て待て、えーと…」
マゴ「こ、この中!?危ないじゃないっすか!?」
ライ「…え、じゃあ待ってシデラさん助けるには能力消滅させなきゃって事?」
バレル「んや、わいが退けば良いんや。」
ケルト「じゃあ退けよ」
バレル「そしたらわいがまた迷惑かけるやん。もうこの体で終わらせたいんや。…まぁこの岩はぶっ壊せないからまた考えなおしやけど」
デルマ「そうだな…はぁ…また遠くなる」
みんなが困惑している中空から人が飛んできた
ウルウ「よぉ、元気かの?」
聖花「こりゃ…豪華なメンツだ」
隊長と聖花だった。
ユラ「ど、どうしたんですか?2人とも」
聖花「私は隊長の監視役」
そう言って隊長をガッシリ掴んでる。肩からギチギチ音がするが大丈夫かアレ
ウルウ「あー…まぁ端的に言おう。お前ら!こんなかの能力消滅装置出すのじゃ!!」
聖花「聞いてないよ!?」
聖花聞いてないんかい
バレル「ちょちょ…能力消滅させる気ですかい!?そりゃまぁわいらは助かるけど」
ウルウ「消さんわ。能力は便利じゃからな。それに…まぁこの話は別に良いか。とにかく能力消した方がデメリット多いのじゃ。でもこんなもんがある限りわしは怖くて夜しか寝れん。だから管理しようって事にしたんじゃ。」
なるほど…そっちの方がこの人にとっては都合がいいのか。
聖花「それと…バレルさん」
バレル「は、はい」
聖花「あなたの体は用意します。副隊長に頼めば人くらい作れるでしょ。だからシデラさんは返してね。アルパが可哀想だから。」
バレル「えぇ…」
気持ちはわかる。でも
ユラ「いいんじゃねぇか?生きれるなら生きとけ。損しかないわけじゃないんだから。」
聖花「で、デルマさん」
デルマ「お、おう。」
聖花のオーラにやられてビクビクしてる
聖花「貴族もどきは潰したから。ちゃんとした貴族は貴族もどきに捕まってたよ。自分達を貴族と認知させただけで世界の認識までは変えられないみたい。だからあなたには居場所があるから。」
とんとん拍子で話が進むな…
え、じゃあもう争う必要ないじゃん。
メクル「…えーとじゃあ後僕らがしなきゃ行けないのは…」
ウルウ「ここ、破壊、中身、入手。頼んだぞ。じゃ、わしら帰るから」
そう言ってバレルとデルマは引っ張られて帰っていった。
デルマ「あ、お前ら!中に守護者が…」
聞き取れなかったが何か言いながら連れられて帰っていった。引っ張る必要あった?アレ
ユラ「じゃあ…メクルチームでやれって事か」
ライ「不安だけどね…」
俺達は岩の前で各々混乱しつつも、向き合うのだった。




