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【最初の魔法使い】  作者: コトワリ
第2章 再来の魔法使い
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第二十六話 俺の結論

2つの黒い力がうねるようにデルマに向かう。相棒の最高の技。…あの時点での。


デルマ「なんちゅーもんを…!?」


デルマは剣を消し、光を放つ


デルマ「ヒュンフ・波!」


まさか…そこまでの力が!?

おかしいだろ…闇だぞ!?

二つの力は混ざり合い、相殺した


デルマ「はぁ…はぁ…くっ…」


流石に無理があったのか倒れ込む


デルマ「本を咄嗟に使って良かった…」


ん?よく見ると本を持っている。…アイツもしかして…

俺はデルマに近づき身体を治す。とは言え体力は無理だ。


デルマ「…敵だろ、何してる」


ユラ「いや…少し話してみたくなった」


闇と同等の力ってなんだ?対になるのは光じゃないのか?それが気になったのもあるが、なんだかコイツらは悪い奴じゃない気がしてきた

少なくともデルマは。


ユラ「なぁ…あんた」


デルマ「デルマだ」


ユラ「デルマの能力はなんだ?」


バレル「ボス!言わんくて良いっすからね!?てか早く逃げません!?死にますって!?ねぇ!?全力が敵わなかったんっすよ!?」


なんか動揺してる。騒がしいやつだな…うちの隊長みたいだ。うるさかったから水ぶっかけた


バレル「冷たい!」


ユラ「水かけたからな」


デルマ「そうだ、うるせぇ」


笑いながらデルマは言った。


ユラ「笑ってた方がいいよ」


デルマ「ありがと。で、私の能力だったな」


そう言うと手を上に向け、言葉をまた出す


デルマ「私の能力は【聖】。この世でも数少ない属性能力者さ」


聖、か…闇と同じ原理なんだろう。能力的には


バレル「そうだったんや…知らんかったわ」


ユラ「知らなすぎじゃね?」


デルマ「話さないからな」


バレル「離さないからな!?そんな…ボス。いきなり困るやん」


バゴン!


凄い音がしてバレルは気絶した

デルマがぶん殴ったのだ


ユラ「…なんか、バレルが悪いやつに見えないな、これ」


デルマ「…おかしいのはお前らなんだよ」


そうして、デルマは自分達の目的の真意を話し出した。


ーーーーー

あれは…そうだな。私が専属魔法使いをやめる5日前くらいだったか。私達専属魔法使いは名前通り貴族を守るんだ。貴族、と言ったってそんなに数はいない。5、6人くらいさ。世の中は貴族がいて、それを守る。そう言った仕組みが「いつのまにか」あったんだ。誰も違和感を持たなかった。貴族が昔何かをした訳でもなく能力が偉大な訳でもない。それなのに私達は「貴族」というものを守っていた。

実際、能力が力の世の中には存在していた方が良いものだったのかもしれない。人の上に誰もがなれるという世の中はすぐ壊れるからな。

魔警がこの世の中の柱。貴族が屋根みたいなもんだと思っていた。貴族が守っていると。

…だが、その実態はゴミのようなものだった。

ある日1人の貴族が話しているのを偶然聞いてしまったんだ


「4代目の寿命もそろそろだ。5代目を用意しなきゃだな。」


「そうだな。にしてもこの能力、デメリットがデカすぎるよな。確かに【民衆の洗脳】ってのはとんでもないけどよ、寿命が1日に1年減るってのはなぁ…」


それを聞いた時、何を言っているかわからなかった。頭にノイズが起こったような。そんな感じ。その時はあんまりよく考えていなかった。

ただ、頭から離れなかった。


そして、貴族のトップが変わる日だった。

貴族の住む場所は私達ですら入れない。私達は外を鉄壁にするだけだ。

だが、その日私は貴族の1人「多田」という者に会いに行った。能力者の暴走で両親を失った私を拾ってくれた人だ。人を傷つけるしか脳の無い私を。

その多田が貴族のトップになると聞いたので挨拶しに行こうとしたのさ。だが…中に入って驚いた。そこには貴族の趣はなく、だらしない生活基準だった。


何かの間違いかと思いうろうろしていたら声が聞こえてきた。多田のものだった


多田「はぁ…俺なのか。次は」


???「お前がゲームに負けたのが悪い。残念ながらデルマちゃんは貰うからなぁ」


多田「くっそ…」


???「まぁ人生再チャレンジのキップを握れただけ良かったじゃねぇか。【民衆の洗脳】能力の初代に感謝すんだな」


…貴族は存在しなかった。ただ貴族という概念を全人類に認知させたのだ。私は驚きを超えてバカらしくなった。何だったんだ。私が敬ってきたものは。悲しくなった、虚しくなった。


ーーーーー

ユラ「…そんな能力が」


デルマ「私は信じられなかったが、目で見てしまったからな。あんなもん貴族じゃない」


…寿命が削れるような能力があったのか。

昔、空気を操るあの子が言っていた。能力は力じゃなく呪いだって。その通りなのかもしれないな。


デルマ「なぁ、ユラ」


ユラ「ん?」


デルマ「たまに思うんだ、神は私に何をさせたかったんだろうって」


それは俺も思ったことがある。


デルマ「だが思って気づくんだ。神じゃなく能力がこんな結末にしたんだと。」


ユラ「だから能力を消そうって?」


デルマ「あぁ。」


なるほど…能力がこんな結末、か。

確かにそうなのかも知れない。

能力はいらないのかな

問題しか生まない。

…だけど、それでも。俺だって80年考えた

能力について。なけりゃ良かったのかと

根本的に考えた。その結果ある結論に至った


ユラ「デルマ、確かに能力はろくなもんじゃないよ。あらゆるものを失う。でもな」


デルマは不思議そうに俺の話を聞く


ユラ「能力で、人が笑顔になる時だってあるんだ。俺は笑顔を生み出すものが存在してはいけないとは思わない。例え災厄でもだ。これは俺のわがまま、自己満足」


そして…80年間、何一つ成長してない俺の結論だ。







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