第十八話 素
聖花「で、何の話してたの?」
俺達は近くのファミレスで食事をしていた。
別にわざわざ美味いもの食べる必要もないし
何より聖花さんが「ここがいい」ってよだれ垂らしながら肩をバンバン叩いてきたから異論は出せなかった
肩が痛い。
ユラ「メクル、言ってもいーよな?」
メクル「もちろん。知ってる人だからね」
そう言うと聖花さんきょとんとした目でこっちを見てきた。俺はさっき話していた事を聖花さんに伝えた
聖花「あぁ…そうだね。もう7年になるか」
その瞬間の聖花さんは、子供らしさは無く、大人のような顔をした。
だが、頼んだ食事が来たら目がきらきらしだした
聖花「…ごくっ。…話はあとね」
メクル「意義なし」
聖花さんはラーメン、メクルはパスタ、俺はグラタンだ。
メクル「…ユラってグラタンがあったらグラタン頼むよね。なんで?」
ユラ「好きだからな」
過去に縛られているとは言えなかった
聖花「そーゆー…ズルッ…メクルだって…うまっ…いっつも…ゴクッ…パスタじゃん」
ラーメンを楽しみながら話す聖花さん
いつもの清楚なイメージがぐっちゃぐちゃだが
それだけ信頼されてるというのは嬉しい
…まぁ多分隊長の面倒見たから信頼されたのだろう
メクル「食べながら話さないでくださいよ…それにパスタはいろんな種類があるから飽きないからです。それに対して聖花さんはずっと同じ味のラーメン。人の事言えないんじゃないですか?」
聖花「…ごめん」
聖花さんはしゅんとした
メクル「わかったならいいです」
どっちが上司なんだか。そう思い俺は笑った
一通り食べ終わった(聖花さんは+1ラーメンにデザート食べてるが)俺らは話に移った
聖花「で、シデラの話だよね」
メクル「はい」
聖花「最近バレルが現れたって話を聞いたけど…見た目はやっぱりシデラだったんでしょ?」
メクル「そうでした…」
悔しそうに言う
ユラ「なぁ、捕まえたバレルの方はどうなったんだ?」
バレルらしきやつがシデラさんに乗り移ったのなら
捕まったバレルはなんだったんだ
聖花「消えたんだ、突然。学校で倒れていたやつも同時にね。ビリオネに聞いたけど何のことやらみたいな感じだった。お金もらっただけだったからね」
消えた…一体どんな能力なんだ
メクル「僕はとにかく調べた。シデラさんに乗り移ったバレルを探したんだ。バレルの顔写真を指名手配すると、何一つ情報が入ってこなかったのに、シデラさんの顔写真にすると、50〜60ほどの情報が入ってきた
もちろん、言われた場所に行ったけどいなかった。」
聖花「あー…あれね。シデラを犯罪者扱いしたくなかったんだけど、もう手がなかったんだよね」
コーヒーを飲みながら話す
…子供っぽいのに飲んだり食べたりするものは割と大人なんだよな…
ユラ「さっきメクルにも言ったが、俺はお前を助ける。全力でな。貸しも借りも関係なく、だ。」
メクル「…ありがとう。嬉しい話だが、あれからバレルの情報は入っていない。ここ2〜3年も音沙汰なかったんだ。シデラさんは救いたいが…」
…まぁ今すぐ助けることができなくもない。けどそれで良いんだろうか
そんな俺の悩む気持ちを察したのかどうかしらないが聖花さんはこう言ってきた
聖花「全力なんでしょ、助けてあげて。シデラには私も助けられたしね。頼んだよ伝説さん」
ユラ「…わかってる」
聖花「よし!お開きにしよーか。奢るから」
メクル「え、いや良いですよ。」
聖花「いーの。年上が払うもんなんだから」
…ん?
ユラ「おい、メクル。お前何歳だ」
メクル「27だ」
聖花「精神的にだよ」
ユラ「貴方には一番言われたくねぇな」
聖花「てへ」
それでも払ってくれる聖花さんは、18歳とは思えない、大人な感じがした
店員「○○円になりま…え、もしかして聖花さんですか!?ファンなんです!」
レジを見ると、聖花さんを知ってる人が店員だったらしく、喜んでいる様子が見てとれた
…まずくないか?今、素じゃないか?
聖花「私のことを知ってくれているんだ。嬉しいな。こんな夜中までお仕事、偉いね。じゃ、頑張ってね」
店員「は、はい!」
そうして俺達のところに来て
聖花「なにー?ぼーっとしちゃって。いこーよ」
そう言っててたてた歩いた。
俺達はそれについていった。
メクル「流石聖花さんだ、演技がプロ並みだ」
ユラ「…どっちが素なんだか」
聖花「どっちでもいいじゃん」
気楽な人なんだかなんなんだか…
…それでも良い人なのは違いないな




