第十六話 過去の魔警4
俺の能力は『マグマ化』。属性能力ではないが、ほぼ属性能力に近いものである。空気中のあらゆるものを溶岩に変化させつつ、体からも溶岩を作り出す。この能力のおかげでここまでこれた。だからこそ俺の実力は高いが、能力なしでは一般人より少し強い程度になる。
アルパ「メクル、一応ここは廃学校だ。あまり使いすぎるなよ」
メクル「わかってますよ」
俺は一般魔法「スピード・レベル3」を使う。
一気にバレルに近づき、回り込み、殴る。
…が
バレル「遅い」
殴った先にバレルはいなく、後ろから声が聞こえてくる。後ろを振り向いた時には…
もう吹き飛ばされていた。
メクル「…?」
何をされたか理解できなかった。だが次の瞬間、激痛がほとばしった。
メクル「がっ…?!」
これが…銃の能力…!?事前に聞かされていたが想像以上だ。スピードのレベル3なら銃弾を避ける程度までは速くなれると思っていたが…
バレルは銃弾よりも速いと言うことになる。
考えてるうちに、目の前にバレルが来ていた
バレル「この程度か?アルパの弟子よ」
メクル「…やられっぱなしじゃアルパさんに顔が立たねぇよ」
もう俺は準備していた。バレルの上空には…
メクル「砕けろ」
バレル「!?」
バレルが上を向いた時には、溶岩の固まったものがバレルの頭を砕く。上空に打ち、冷え固まったものだ。何も熱だけがマグマの強みじゃない。
バレルは倒れた…が、すぐに立ち上がりそうだったので俺は体勢を整えて、離れる。
アルパ「メクル!こっからは2人同時に行くぞ!一気に攻める!」
メクル「はい!」
俺はマグマを固めたものを手に纏わせ、構える
バレル「…中々やるな。だが…」
その瞬間、とてつもない殺気が俺を襲う
バレル「これからが本番だ!」
その声が近づいたと思ったら、もうすぐ近くに
そして拳で撃ち抜かれる。
さっきも食らったが打撃が拳銃並みだ。
しっかりガードしないと手がダメになる
アルパ「おらぁぁっ!」
いつにもなく大声でバレルを殴り飛ばす。
魔警一の怪力だ。能力、『声力』。声を出せば出すほど力があがる。はっきり言ってアルパさんに合いすぎた能力である。
バレル「ぐっ!馬鹿力が!」
バレルも負けじとアルパを撃つ。
アルパ「なんのぉぉ!!」
両者拳をぶつける。力はほぼ互換。あまり近づいていないのにも関わらずこの気迫。恐ろしい
アルパさんの弾丸のような力と、バレルの弾丸そのものの力。近づくことすらままならない
バレル「はぁ…はぁ…」
アルパ「ふぅっ…」
一旦離れ、息を整える。
その隙を攻める。正直2対1なんて卑怯だがそんな事言ってられない
バレル「お前に使う力はない!」
手を大きく広げ、叫ぶ
バレル「バズーカ!」
直感。それが身体中をほとばしり、咄嗟に避けられた。
とてつもない威力と音が鳴り響く
アルパ「危なかったな!アレ食らってたら全身なくなってたぞ」
メクル「…つ、強すぎる」
これが銃の能力…。溶岩すら無くなりそうだ
アルパ「うっし!行くか」
アルパさんはバレルに走り向かう。
情けないが…僕はこれ以上力になれる気がしない。足を引っ張りそうだ。
アルパ「休んどけ!」
今の声も力となる。何言っても全部力に。
バレル「ガトリング!」
連続で殴るバレル。
アルパ「ガード・レベル5!」
バリアを作り出すアルパさん
両者拮抗している
そこに…
シデラ「メクル!大丈夫やったか!」
シデラさん達が来てくれた。ビリオネを倒したのか。
聖花「アルパ!今行く!」
レイパー「私も行きます」
聖花さん達が戦いに参戦する。これでバレルも倒せるだろう
ライ「メクル!私達は行かなくて良いの?!」
メクル「邪魔になるだけだ。見てたらわかる」
シデラ「残念ながら、メクルの言う通りやな」
レイさんの剣の能力。アルパさんの馬鹿力。
そして…
バレルが聖花さんを殴る。それを聖花さんは手のひらで受け…
聖花「もらうよ」
起きたはずの衝撃を吸い取る。
そして、バレルに向け
聖花「やっぱいらない」
衝撃を放ち返す。
バレル「ぐはっ…!」
聖花さんの能力は『反射』。衝撃を好きなだけ貯める「吸収」、好きなように放てる「放出」
の二つを兼ねた能力。衝撃を手のひらで受けなくてはいけないが、聖花さんの素の桁違いの動体視力、反射速度、空間把握能力が欠点を無くしている。
聖花「よし、捕獲」
いつのまにか終わっていた。これが3大チームの頭の力。
バレル「なんてことだ…。もっと時間があれば…」
縄で縛られたバレルがぶつぶつ言っている。
アルパ「まぁまだあまり使いこなしていなかったのが幸いだな。十分強いが、技量が足りない」
あれでか。少し落ち込む
アルパ「ま!お前ら!落ち込むな!誰も怪我はほとんどないんだから!がっはっはっは!」
大声で笑うアルパさん。この人を見てると暗い気分が清々しくなる。
聖花「そだね。ちょっと考えすぎだったかも。あんまり強くなかったね」
そうして大きな欠伸をする聖花さん。…こんな人だったっけ
レイパー「聖花様…」
聖花「いーじゃん。つかれた」
アルパ「相変わらずだな、聖花は。疲れると本来の年齢通りになりやがる」
こっちが素って事か…
ケルト「俺は元の聖花さんの方が…」
ライ「ケルトのキッチリした人が好きな性分なんなの?」
こうして、バレルの捕獲任務は解決した
が…
ーーーーーー
わいは廃校に最終点検をしに来ていた。
重要任務後はしなくてはいけない。
バレルは最重要人物ゆえにリーダー2人がついていった。つーことでわいはメクルと点検をしていた。
メクル「はぁ…何もできなかったな」
さっきからメクルがずっとこの調子なんや。
かなり落ち込んどるんやなぁ…
シデラ「そんな落ち込むなて。あの人達がおかしいんや」
実際その通りなんよな
メクル「そっすかね…」
シデラ「そうなんや」
元ウルウチームの2人。人々を脅かすとんでもない殺人鬼も、あの2人の前では赤子である。
そんな話をしながら点検を終わらせた。
シデラ「うっし、帰るか」
メクル「はい」
歩き出した瞬間…
わいは「撃たれた」
ーーーーーー
メクル「……!?シデラさん?!」
突然シデラさんが倒れた。周りを見ると…学校の奥で人が倒れていた。シデラさんを最低限回復させ、見に行くと…
紙があった。そこには
「もらっていく」
嫌な予感がして戻ると
シデラさんはいなかった




