第十三話 過去の魔警 1
7年前…
メクル「はぁ…はぁ…くっ…!」
僕は目の前の上司に向き直し、剣を振る
だが…届かない
アルパ「ていっ!」
強くも優しい一撃が僕を吹き飛ばした
メクル「いててて…はぁ…」
アルパ「落ち込んでても強くはならない!何度でも!何度でも!だ!」
この頭が筋肉でできていそうな人が僕の上司でもありリーダーでもある、アルパさんだ。
その昔は伝説のウルウチームにいたと言うとんでもない人。僕はこの人に憧れ、魔警備隊に入った。入ったのは今から3年前。新人から色々なチームを渡り歩き、ついに憧れのアルパさんに近づけた。でもその頃にはもうウルウチームは解散していた。アルパさん、聖花さん、クロンさんの3人は自分のチームをつくった。副隊長の李地さんは昔こそキレもので素晴らしい人だったのだが、ウルウチーム解散からはめっきり人が変わってしまった。
ケルト「よし、メクル。交代だ」
メクル「…まだ」
ケルト「満身創痍だろ…」
ケルトは僕の幼なじみ。僕と同じくアルパさんに憧れていたんだが…今では聖花チームの副隊長、レイパーさんに憧れている。
アルパ「うーむ…メクルはもしかしたら剣は向いていないのかもしれないな」
メクル「そ、そんな!?」
頭をがっくりと下げる俺を見て、笑いながら近づいてくる人がいた。アルパチーム副隊長のシデラさんだ。
シデラ「まぁまぁそんな落ち込むなや!別に剣がダメやからて魔警が務まらん訳ではないんや、現にアルパは拳やし、わいなんか狙撃やから」
そう言って励ましてくれる…が
メクル「僕には力も狙撃の才能もないんですよ…励ましていただきありがとうございます」
落ち込みつつも礼はする。めちゃくちゃ睨みながら。
アルパ「ま、一旦頭冷やしてきな。次はケルトだ。レイパーに近づきたいんだろ」
ケルト「はいっ!」
後ろから気持ちの良い、硬化された拳と剣がぶつかる音がする。この頃の一般魔法はかなり応用の効くものが増えた。…まぁ一般魔法も苦手なのだが。僕がここまで来れたのは知識と能力のおかげだ。だからこそ、ここが限界だと身に染みる。
魔警の屋上まで行き、空を眺める。僕にはやはり、魔警備隊なんて向いていないんだろうか…
その時、スマホがなった。
メクル「はい、アルパチーム、メクルです。」
ライ「やや、どーも。聖花チームライです」
菜歌ライからだった。チームは違えど、同年齢の魔法学校でも3年間全部同じクラス。ケルトと同じ、幼なじみだった。
メクル「菜歌か、どうした?」
ライ「相変わらず名前で呼んでくれないメクル君にお仕事だよ〜。すぐにうちのチームのとこ来てね。あ、ケルトもね。アルパさんには言っておいてるから」
メクル「俺とケルトだけか?」
ライ「メクル君、一人称」
メクル「あ」
最近、俺から僕に変えたのだった。印象が良くなるってアルパさんから言われて変えているのだが慣れない。
ライ「君達2人だけだよ。うちのチーム4人でしょ?6人くらいは欲しいのよ」
メクル「わかった、少し遅くなる」
ライ「らじゃ」
電話を終えた。レイさんもいるだろうからケルトは大喜びだろーな
そして僕はケルトと聖花チームの部屋へと向かった。チームにはひとつ部屋が用意される。流石に聖花さんは実力者だからかなり豪華な場所だ。あまり年月が経っていなかったりするチームにも、しっかり部屋が用意される。魔警の懐に毎度驚かされる。
ケルト「聖花さん達だけじゃ解決しないって事は相当なんだろうな」
メクル「多分な。無事、アルパさんに吹き飛ばされる日常に戻る事を願うよ」
ケルト「成長して帰れよ」
そんな話をしながら扉の前につくと、何やら声が聞こえてきた。男女の争いのような声が飛び交っている。
扉を開けると…
聖花「だから…アルパはいらないって」
アルパ「うちの2人連れて来んなら俺らでもう合同チームでいいだろ!?」
うちのリーダーが喚いていた。




