第十二話 三大チームリーダー、2人目
朝起きると俺はソファの上だった。そうだ、昨日は確か隊長が俺の布団を奪って…
ふと見ると気持ち良さそうに寝てる隊長が
いた。
ユラ「隊長、起きてくだ
言い終わる前に、俺の部屋の扉が開いた。
???「あ、隊長。やっと見つけた…」
そう言って知らない女性がずかすがと入って来て、隊長のほっぺをぺしぺしと叩く。
???「起きないか…うーん」
ユラ「ちょっとどいて」
俺はその女性の前に出て、隊長に手のひらを向けた。そして水を顔にぶっかけてやった。
ウルウ「なんじゃ!?何が起きたんじゃ!?」
そう言って周りをキョロキョロし
ウルウ「あ、なるほど。朝か」
清々しい顔で日光を見る隊長
???「あなた能力火じゃなかったの?」
ユラ「あぁ、水もあるんだ。」
女性は少し首を傾けた。疑問に思ったのだろう
ウルウ「ん?おぉ、聖花ではないか」
聖花「おはようございます、隊長」
この人が…聖花。三大チームのリーダーの1人
ユラ「あなたが聖花さんだったんですね」
名前にそぐわずなんだかだらしない感じの人
パーカーが大き過ぎて履いてるかわからないぐらいデカイ
聖花「そだよ。私が聖花。あと敬語にしなくていいよ、堅苦しいのは嫌い」
ユラ「…俺もだ」
そう言うと聖花は俺に向けてにっこりして、隊長を引っ張った
聖花「隊長、行きますよ」
ウルウ「…うい」
そうして半ば引きづられていくように隊長は部屋を出ていった
隊長は最後まで助けて欲しそうな目を向けてきたが見なかったことにした
…じゃあ、俺も行くか
ーーーーー
用事の前に魔法学校近くの食堂で朝ごはんを食べていると…
聖花「ありゃ、また会ったね」
ユラ「…なんか朝と違うな」
そこには名前にそぐわしい、可憐な女性がいた
さっきパーカーだったのに今はぴっしりとした
学生服を着ている。
ユラ「…学生だったのかよ」
聖花「悪い?まだまだ若い16歳だよ」
ユラ「いや、別に…」
そう言って俺が食べているおにぎりを見て
どこかに行ったと思ったらおにぎりを持って戻ってきた。食べたくなっちゃったんだろうな
聖花「隣良いかな?」
もう座っちゃってるけどな
何故か朝出会ったばっかりの人とおにぎりを食べてると
女子「あ、聖花さん!今日も美しいですね」
聖花「ふふ。ありがとう。」
とか
男子「あ!聖花様!おはようございます!」
聖花「おはよう。今日も元気だね」
だとか。
ここは魔法学校の近くだから学生が多いのだがそのほぼ全員が聖花に声をかけ、尊敬の眼差しを向けている
そこで俺はふと気づいた
ユラ「…なぁ、もしかして」
聖花「…そゆこと」
味噌汁を音もたてず飲んでから、小声で聖花は言った。
ユラ「わかった」
多分だが朝のあのだらしないのが素で
今は優等生を演じてんだろう
そりゃあこの歳でリーダー。しかも美人
優秀ってのは大変だなぁ…
そんな事を思いつつ、先に食べていた俺は食べおわったので…
ユラ「じゃ、俺もう行くから」
そう言って食器を片付けてこようとしたら
服を引っ張られた。
聖花「待ってて」
ユラ「なんで…」
聖花「上司命令」
にっこりとこっちを見て言って来た。
仕方ねぇ…
俺は聖花が食べ終わるまで待ってやった。
その後店を出て、学校に送れと言ってきたのでしぶしぶ了解した。
聖花「悪いね、付き合わせて」
ユラ「良いさ。1人で行くより2人で行った方が話し相手がいて良いだろ」
聖花「食堂でも待たせて悪かったね。普段ならあれくらいばくばく行くんだけど人目につくところだとね。パクパクになっちゃう。」
ユラ「なんで優等生のふりを?」
聖花「んやー…やりたくてやってるんじゃないんだよ。周りが余計な妄想をするからそれに合わせなきゃで…」
ユラ「別にいいんじゃないか?合わせなくて」
俺がそう言うときょとんとした目で俺を見て聖花は笑った
聖花「にはは。そだね。合わせない方が楽だもんね。…そーしちゃおうかなぁ。…にしてもユラくんはそう言う事を言ってくれるから好きだよ」
聖花はそう言って俺に微笑みかけた。今朝あったばかりなのにこの話しやすさ。素は人懐っこい優しい人なんだろう。
にしても今のところ三大チームのリーダーにクセのある人しかいない気がする
歩いていくと、学校に着いた
聖花「ありがと、またね」
ユラ「じゃな」
俺はそこで彼女と別れた。…にしてもなんでついてこさせたんだ?
その後俺は魔警に帰りやっと用事へと辿り着く
ユラ「メクル、過去の話は…お前から直接聞きたい。教えてくれ、何があったかを」
俺の目線の先にいる男は、俺がそう言った瞬間
雰囲気が変わり、言った
「わかった」




