第四十八話 反撃開始
クラリタを倒したからと言ってその後何もしなくてよくなるとは限らないらしい。世間を騒がしている能力者問題は止まらない。最近二つの事件が起きたらしい。一つが人が操られるという事件。その操られている人には意識はなく、無造作に人を殴ったり、犯罪を犯したりしているらしい。
人を利用するような奴は許せない…
グラ「こいつ…クズだね…まだそんな悪い能力者がいるのか…」
ユラ「いや、多分この先なくなることはないんだと思う。能力と付き合っていくんなら、仕方のないことだ。それに、見ろ。こっちの記事。」
二つ目は反FW勢力。FWは俺たちのチーム名だ。簡単に言えば俺たちを倒したがる奴らが集まったということだろう。理由は「気に食わないから、FWを倒して能力で世界を支配したいから」らしい。ばかばかしい限りだ…。そして驚くことにその反FW勢力の写真には本を持った姿が載っている。
本を持っているってことは割と強いのか?
グラ「まぁこんな奴ら、簡単に倒せるよ。僕らなら」
ユラ「それもそうだな」
グラに聞いたが能力にはステージがあるらしく、グラはステージ3に到達していると。
アムなんかはもうほぼその域に達していると思うんだがグラからすると全然らしい。ステージ2とステージ3では全く違うらしいのだ。
グラ「ユラくんも早くステージ3にいけるといいね」
ユラ「その前に二つの事件の解決だな。ステージ3はゆっくりしたらでいい」
グラ「そだね」
ユラ「アム達を呼ぶか。シロ、頼む」
シロ「うん」
そうしてアム達を呼び、今後のことについて考えた。
まず反FW勢力に関してだが今のところ悪さはしていないし放っとけば戦いに来るでしょう、と博士が言っていたのでひとまずは放置だ。先に操り問題を解決させるという話になった。
新聞によると操られるのは夜、一人の時。
なので博士、アム、シロの三人とグラ、俺の二人に分かれて今まで被害にあったという場所に行くことになった。
グラ「操りの能力かぁ…便利だなぁ」
ユラ「お前もお前で犯罪者みたいだな」
グラ「でも悪用しなきゃ…いや悪用する以外の使い方ないね」
ユラ「ダメじゃねえか」
そんな会話をしながら夜道を歩いていると…
前方に男の人影が見えた。…何か様子がおかしい。
グラ「あのー!危ないですよ。このあたり」
ユラ「グラ!よけろ!」
その瞬間男はナイフをグラに降ってきた
グラ「うわっ!」
間一髪、当たらなかった。
グラ「あぶな…ユラくんありがとう…」
ユラ「おう、でだ。あれは…操られているか、狂乱者か…どっちだと思う?」
グラ「前者でしょ」
そういってグラは空気の塊をその男にぶつけた。
男は倒れた。その瞬間に俺はその男を押さえつける。
???「なんだ…同じ能力者なのか…」
そう言って中年…いやそれ以上くらいの年齢の男が出てきた。
グラ「おじさん…あなたが最近の事件の犯人だね?」
???「いかにも。私だ。まさか能力者だったとはな。カップルだと思ったよ」
グラ「か…か…カップルだなんて…そんな…」
ユラ「カップルなわけないだろう。それよりなぜ操って襲わせた。」
なんかグラが視線を向けてきている気がするが気のせいだろう。
そんなことより理由だ。
???「この男はむかし私を散々こき使ってくれた元上司でね。恨みを晴らすべく、殺害の容疑をかけようとしたのさ」
なるほど、完全に私利私欲のために能力を使うタイプのようだ。そして…俺が一番嫌いなタイプだ。
そう思い攻撃を仕掛けようとした。
???「ふん…意味はない。操ってしまえば攻撃なんぞ来ないのだからな」
そう言って手のひらをこちらに向けてきた。
グラ「ユラくん!?操られるよ?!」
だが俺は落ち着きながら…
ユラ「おい、操られる前に二つ聞かせろ」
???「まぁいいだろう」
ユラ「まず…なまえはなんだ?」
阿井「…阿井だ」
ユラ「じゃあ阿井さん。二つ目だ。能力をいくつ持っている?」
阿井「…二つだ。もういいか?じゃあな。私の操り人形として働いてもらうぞ。」
その瞬間、阿井の手のひらから波動のようなものが俺に当たった。
だが…
ユラ「残念だったな、阿井さんよぉ」
俺は操られなかった。
阿井「な、なに!?なぜ操れない?!」
その後も何度か当ててきたが効かなかった。
今なら、あの本の情報になっとくできる。
『能力数による格差』
ユラ「阿井さんよ、ひとつ教えといてやるよ。」
そうして俺は一拍開け
ユラ「能力の数が上回っていれば、相手の能力は効かないんだよ。阿井さんは二つだよな?俺は…
四つだからな」
変化の炎、黒い炎、暴走、瞬間移動。俺にはこの四つがある。
俺はオレンジ色の炎をだして、言った。
ユラ「反撃開始、だな」




