第三十二話 犬じゃん
「…ん」
博士のラボ…だな。ここは。
あの後…俺は…
頭痛が…
周りには…誰もいないのか。
部屋を見渡した。
ふと隣のベッドを見ると
最強が寝てた。
俺とアムでやっと倒したアイツが。
…髪の色が白…
そこでグラを思い出した。
アイツはどこに?
カラカラカラ…
扉がゆっくりと開いた。
ドク「おっと。起きましたか
おはようございます。
アレから2週間経っています。」
にしゅうかん⁉︎
そんなに…
ドク「なんであんな事になったんですか?」
ユラ「何の事だ…?」
ドク「ほら、あの後あなた黒い炎を出して
暴れ散らかしたじゃないですか」
…?
黒…?
………確かに黒い炎は出せる。らしい
赤い本に書いてあった。
だが出そうとした瞬間、とてつもない
体力の消費が始まる。
だから出す事はまずなかった。
もっと本に慣れてからだと。
そうすることにした。
そう…考えたのだが一向に無理だった。
…そうだ、だから俺は…
記憶が戻ってきた。
アレが…暴走することが
黒の炎の操る条件だったのだ。
疲れていて、体力が0に近い
あの瞬間が。
本には〈体力を極限まで無くした状態〉と
書いてあったのだ。
まさか暴走するとは…
ユラ「暴走を止めてくれてありがとな」
ドク「いえ、とめたのはー
そう言おうとした瞬間ドアが大きく開いた。
グラ「あー!起きてる!」
またガバッと抱きついてきた。
痛い。
ユラ「離れろっ…!」
グラ「やだ」
はぁ…あきらめよう。
よく見るとアムも来ていた。
アム「はっはっは!仲が良いな!」
アムが大声で笑った
すると…
???「うるさい…」
起きた。最強が。
グラ「あ、起きたね。シロ」
ユラ「シロ?」
グラ「うん!僕がつけた。名前ないって
言うから。」
犬じゃないか…それ。
ユラ「前から起きてたのか?…シロは」
シロ「うん…あの後…1時間…後くらい」
ユラ「おぉふ…イチジカン…」
俺の336倍…
化け物か
ユラ「てか…お前は俺達を倒さなくていいのか?そうゆう命令だったんじゃないのか?」
シロ「そう…だけどグラが…やめろって」
そんなんでいいの?
ねぇ。シロくん。
グラ「僕の可愛さに惚れたね!」
ユラ「そんなやついないだろ」
グラ「…潰そうか」
ユラ「ごめんなさい」
グラ「そうそう。クラリタって人が
本くれたの」
そう言ってグラは黒い本を持ってきた。
俺の本は赤で、シロは緑だ。
黒…だからアムのかな。
ユラ「クラリタって誰だ?」
ドク「あなたの暴走を止めてくれた人です。
本を持っていて黒い炎を出してましたよ?」
ユラ「黒い炎…ねぇ」
クラリタ…誰なんだ。
アム「何にせよ!本くれたんだ!良いやつ
だろう!それに多分俺の本だろうし!」
すっごいニコニコしながら本を手に取ったアム
これで本持ちは4人か。
中々増えてきたな…
ふと見るとアムが絶望している。
ユラ「どうした?」
アム「よ、読めない…だと」
ユラ「え?いや…黒…だし…もしかして字が単純に読めない…」
アム「そんな訳なかろう⁉︎」
グラ「……よ、めるぞ?」
ユラ「え?」
グラ「…あれ?」




