表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【最初の魔法使い】  作者: コトワリ
第3章 最悪の魔法使い
182/183

第七十二話 わぉ

 さて…どうしようか。今俺の部屋には俺と、二人の女性がいる。もうこの文面だけで現実から目をそむきたい。リネとシリアスな展開で帰ってきたら俺の家で世界二位兼隊長の期間限定秘書であるニアがエプロン姿で料理していた。

俺は懸命に説明した。リネも16歳だが精神年齢は大人だ。理不尽に怒らずしっかり話を聞いてくれた。


聖花「隊長の秘書さん…ね。お試し期間みたいな感じでやってるんだ…へぇ、ふぅん…。」


腑に落ちてはいないようだが。それもそうである。だって俺の部屋にいる理由はわからない。俺だってわからない。なんでいるんだこの人。


ユラ「で、何してたんだ。」


ニア「お料理」


ユラ「見ればわかる。なんで俺の部屋なんだ。ニアの部屋は隣だろ。」


聖花「え待って隣聞いてないねぇねぇねぇ。」


ユラ「だぁー!あとで説明する!今はこっちだ!。」


聖花「私よりそっちの女優先…へぇ…。」


ニア「お熱いね。」


ユラ「あん?誰のせいだと…」


一変喧嘩売ってやろうかと思ったが負ける負ける。勝てるわけない。だって世界二位。無理無理。

はっはっは、笑っちゃうよ、もう…。


聖花「まぁいいや。ユラで遊ぶのはこれくらいにして…。で、ニアさん?だっけ。」


ニア「うん。ニアでいいよ。」


聖花「…ニアさんは最近なんで隊長の秘書を?」


ニア「実は魔警さんの隊長さんに雇われて。」


聖花「雇われる?秘書に?」


ニア「うん。私からしたらいきなりのお話だったから。だから体験期間中に本格的に秘書やるかどうか決めるって話で落ち着いた。」


流石世界に名をはせる何でも屋。誤魔化しも自然だ。ただ本当に素性は知られていないようだ。リネは結構物知りの方だがニアを見てもあのドゥタラ家だとはわからないようだ。こんな調子だったからそう見えなかったがれっきとした裏社会の者なんだと再確認する。


聖花「そうなんだ…。まぁ隊長も仕事多くなってきたしね。猫の手も借りたい気持ちなのかな。それじゃあ、ニアさん。よろしく。自己紹介してなかったね。私は…。」


ニア「魔警備隊聖花チーム所属、聖花チームリーダー聖花リネさん…でしょ?」


聖花「そう。私って有名人!」


ドヤ顔でそう言ってこちらを見てくるリネが愛らしく抱きしめたかったが今はニアがいる。ほんとなんでいるんだ。


ニア「にしてもユー君。彼女さんいたんだね。言ってよ。そしたらこんなことしなかったのに。」


聖花「いやいいよ。さっきから美味しそうな匂いがして気になってるんだけど。」


ニア「あ、見る?もうちょっとでできるの。ハニートースト。」


聖花「食べたい。」


ニア「いーよー。」


…女子ってわかんない。

その後俺たちはニア特製ハニートーストを食べて会話をした。ニアが俺の部屋にいたのは単純に暇だったかららしい。リネと会話するニアはとても楽しそうだった。年齢的にはニアはリネより年上だと思うけど、なんだか同級生に見えた。ドゥタラ家が何か、俺は詳しく知らないがもしかしたら友達と楽しく談笑することもなかったのかもしれない。

もしかしたらこれも潜入の演技なのか、とも一瞬思ったが多分そんなことはない。リネはそういうとこ気づきやすい。相手が何か隠れて企んでいたりする時、リネは敬語になる。学校で敬語なのはキャラ設定だが相手が侮れないと判断した時も敬語になると最近わかった。でも普通にため口で、特に何も言わないし、何より俺がニアはこれが素なんだと信じたい。


ニア「へぇ、西の魔警備隊に行くの?」


聖花「うん。ニアさんも行く?」


ユラ「さすがにそれは…」


気づけば俺達が行く修学旅行の話になっていた。俺が魔学校に潜入任務しているのはニアに伝えている。


ニア「私はこの国のことよくしらないから魔警本部以外はよくしらないや。どんなところなの?」


聖花「うーん…騒がしいかな。一言でいえば。あと食べ物がおいしい。ユラ、まわるからね。」


ユラ「リネは故郷なんだし食べ飽きてるんじゃないか?」


聖花「私はユラと食べたいの。」


ニア「目の前で見せつけるねぇ…というか、リネっち西の方が故郷なんだ。」


リネっち。三大チームのリーダーをこう気軽に呼ぶのも、三大チームそのものを知らないんだろう。世界は広いな。

リネもそう呼ばれることに一瞬驚いたがすぐ笑顔になった。リネには対等に会話してくれる友達はすくない。だからニアのこういう対応はきっと彼女にとって嬉しいんだろう。


リネ「もういいや、ニアで呼び捨てで。」


ニア「いいよー。好きに呼んで。でもいいなー。私も修学旅行行きたい。」


契約中だろ一応。


リネ「だから、来ればいいじゃん。」


ユラ「どういう案件で隊長秘書が魔学校の修学旅行に来るんだ。」


リネ「職務としてだよ。」


ユラ「職務?…あぁ。なんかわかった。隊長も来るのね。」


リネ「そ。あのイベント好きが来ないわけないでしょ。仕事さぼれるんだから。」


あんなのが隊長の隊って…。


ニア「じゃあ私も行けるんだ!いつ?」


ユラ「来週だ。ニアは…引率の手伝いとかいえば俺達と周れるんじゃないか?」


聖花「そうだね。そうしよう。贅沢を言えば、ユラと二人が良かったな…。」


ニア「その時は二人で旅行すればいいじゃん。」


聖花「天才、ニア、クレバーだね。」


ニア「えへへ。」


バカみたいな会話をして、時間を過ごす。引率が世界二位か。なんて安全な修学旅行なんだ。なんて不安しか感じない修学旅行なんだ。

そうして時間は過ぎていき…気づけば夜に。良い時間なのでお開きにしようとしたが…。


ニア「そろそろ部屋に戻ろうかな。邪魔しちゃってごめん。」


ユラ「いやいいよ。ハニートーストおいしかったし。また来て。リネも…リネ?」


聖花「…今日こっち泊まっていこうかな。」


さっきから何を悩んでいるんだろうと思っていたがそういうことか。俺のベットの上で考える人のポーズしだしたから何してんだとニアと話していたのだ。


ユラ「了解、隊長に言っておきなよ。」


ニア「おぉ、これはますます私お邪魔だね。それじゃ修学旅行楽しみにしてる…ね?」


ニアの動きが止まったのには理由がある。なぜかじぃーっとリネがニアを見ていたからだ。」


ニア「どしたのリネっち。」


リネ「今日はリネと寝る。」


ユラ「何!?おいニアよくも。」


ニア「私が悪いの!?」


リネ「んや、単純にもっと話したい。ユラとは毎日話してる。」


なっ…んだとっ…!これがNTR…というやつなのか…!?

俺が肩を落としがっくりしてるリネが鼻で笑っていった。


リネ「ふん…ユラの事はいつまでも大好きだから。ニアともっと仲良くなりたいの。…言わせないでよもう…。」


ユラ「ぐはっ…!?」


心臓を打ち抜かれれば誰だって瀕死である。耳に響く物理攻撃、心に響く精神攻撃。愛の致死量5倍は上回ってる。

なのでそこで俺の意識は落ちた。


ーーーーーーーーーー


全く…大げさなんだから。と思ったらほんとに意識が落ちてるから呆れる。

第一大好きとかほかに人がいつところで言わせないでほしい。恥ずかしい。

まぁ私が勝手に言いたかっただけなのだが。


聖花「ニア、私の彼氏だめかも。」


ニア「私、最初の魔法使いのイメージ変わっちゃった。」


聖花「私も。」


そうして私達はニアの部屋に移ってお風呂に入ってご飯作って食べて。ニアは本当に料理がうまい。私の胃袋を掴むとは…危なかった。今日ユラと一緒に帰らねばユラの胃袋がつかまれそのまま…ないか。『大好き』で失神するユラが浮気はないな。でもニアの顔整ってるし…ワンチャンあったかも。


聖花「ニアって何歳なの?」


ニア「23だよ。まだまだ二十代。」


聖花「そう。ユラは年上好きじゃないよ。残念だったね。」


ニア「いらない。」


聖花「そっか。」


笑った。ニアは素直な人だ。私の前でもとりつくろわず、おびえず、褒めてこない。さっきこの国じゃないと言っていた。そりゃそうだろう。だからこそ、私が三大チームのリーダーという事は知らない。結局私の名声もこの国だけだ。さっき知ってたのも多分隊長に聞いてたんだろう。淡々と言ってたから気づいた。私はこの空間がとても心地よかった。


だから、この空間にちょっとヒビを入れるのにためらった。


聖花「ニアの本名、ドゥタラ・ミリニアム。でしょ?」


ニア「…わぉ。」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ