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【最初の魔法使い】  作者: コトワリ
第3章 最悪の魔法使い
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第六十七話 夏の終わり

8月23日


タク「夏だー!!!」


テンス「海だー!!!」


聖花「わーい…」


タク「…」


テンス「おい、タク…」


頑張ってテンションを上げたタクとテンスだったがリネのその落ち込みっぷりには勝てなかったようだ。


今日は魔学校のクラスメイトで海に遊びに来ていた。全員、という訳ではないのだがそれでもほぼ過半数が来ている。理由はタカナのとんでもコミュ力のせいである。


そしてもう一つ、こんなにリネが落ち込んでいる理由は…


フミ「だ、大丈夫よ、聖花さん!水着忘れても遊べなくないんだから…!ね!ね!」


俺に一生懸命視線を送られてもな…。多分こうなっている原因は俺にある。

昨日とっても楽しみそうに自慢気に「水着楽しみにしておいてね!ね!」と叫んでいた。

多分見せられなくてこうなっているんだろう。


クロ「あー…そのワンピースも可愛いぞ。」


そう言った瞬間リネは顔を上げた。


聖花「ほんと?…ですか?」


クロ「あぁ、そう思うよな?な?」


最後の一撃をリネの親友に任せる。


赤紫「え?あ、あぁ!そうだね。私もめちゃくちゃ可愛いと思うよ!リネ!」


と、割と気合の入った水着を着た赤紫が言った。


聖花「…」


別の意味の最後のいちげきになってしまったようだ…


クロ「よし、聖花さんはもうだめだ。代わりに俺たちが全力で遊ぼう。」


タク「だな!よし!行くぞクロ!砂浜へ!」


フミ「まだ泳げないの?!海来たんだから海に入ろうよ!?」


タク「泳ぐだけが海じゃない!だろ?テン…」


テンス「はっはっは!気持ちいいなぁ!」


もうとっくに泳いでいるテンス。そうか、タク泳げないのか…

仲間意識が芽生えた。


聖花「…えい」


タク「えわぁああ!?」


リネが能力でタクを海まで弾いた。


フミ「聖花さんナイス!よし、ケイキ、あそぼ!」


ケイキ「え、まだ海の家言ってないぃ…!」


タカナ「よし、じゃあ私たちはガチ勝負だ」


ダン「望むところだ。ルカ、測定頼む」


ルカ「らじゃ」


あっちはあっちで何してるんだ…

もう色んな所でいろんなことが起きている。相変わらずこのクラスは騒がしいな


ライ「引率で来たのは良いがこれまとめれなくないか?」


今日はおまけでライせんせーも来ている。引率とか言って車を出してくれたが多分遊びたかっただけだと思う。何も言ってないのにボールとか浮き輪とか持ってきている。


ライ「おいおい、危ないから私も混ぜてくれ!」


何が危ないんだ。そのニッコニコな笑顔、眩しすぎる。


全力で海に飛び込みライフセーバーににらまれてる先生を横目に、俺はリネのところへ行こうとすると…。


環「クロくーん。あそぼー」


クロ「環か、何して遊ぶんだ?」


環「そりゃもちろんビーチバレー。」


アオサ「環ちゃんは大好きですからね…」


クロ「いいぞー。メンバーはどうするんだ?」


環「この4人。」


その場にいたのは俺と…環と、アオサと…


聖花「…む?」


環「聖花さん、やろ」


聖花「え、私この服…」


環「行けるでしょ、三大チームのリーダーさん」


いや流石にそれは無理じゃないか?動きにくいだろうし…汚れたら…


聖花「まぁ…いいですけど。」


いいんかい。


アオサ「せ、聖花さん!?綺麗なワンピースが汚れちゃったら…」


聖花「能力使うから!」


そう言ってVサインを出すリネ。テンションが上がってきたようだ。


環「よしじゃあやろー!」


そうして俺たちは遊んだ。遊び終わって能力なんかじゃ取れないくらい砂の付いたワンピースを着て三角座りをリネがするのはあと少し。


ーーーーーーーーーーーーー

お昼時になり、俺たちはご飯を食べた。


タク「うまぁあ!!」


テンス「おい、タク。はしゃぎすぎるなって。全く…うまぁああ!?」


ダン「うるさい!」


夏場という事であまり席が空いておらず、男女で別れることになった。


タク「にしても聖花さんの目死んでたな。」


クロ「そうだな…あそこまで落ち込んでいるのは見たことがない。」


ダン「にしてはビーチバレー勝ってた。」


クロ「後半の執念はすごかった…」


もう失うもののない人って強いんだな…


フミ「まだ食ってるの…?私たち先いってるよー」


ケイキ「私も残りたいぃ…」


タカナ「ダン!待ってるからな!勝ち逃げはさせない!」


ダン「おう」


女子たちはもう食べ終わったようだ。


テンス「早いなぁ。」


ダン「俺達より多く頼んでいた。」


タク「よく食うなぁ…」


クロ「だべりすぎなんだよ俺たちは。」


タク「それもそうだな。さっさと行こう。」


ライ「ちょーっとマテ、おまえたち。」


食べようとしたとき、よっぱらった変な人が来た。


ライ「私を置いていくなー…あー。」


クロ「…誰だろうか」


タク「知らん、テンス知ってるか?」


テンス「こんな関わったら絶対めんどくさそうな人は知らない。」


ダン「一応引率じゃなかったのか…」


俺たちはその変な人をそこに置いていき、海へと戻った。


ライ「ま、まっへー…ごほ」


これはメクルに報告だな。


各々遊んでいるうちに、どんどん人が増えてきた。夏真っ盛りだからだろう。

そのせいで全員がどこにいるかわからない状況が生まれてしまった。

いや、言い訳か。俺が迷ったのだ。情けない。

とりあえず海辺でぱしゃぱしゃやっていると羽咲ルカがいた。


クロ「あれ、羽咲さん誰と話して…」


遠すぎて聞こえないしよく見えない…が、あれはナンパか?


「ちょっと遊ばない?俺たち二人とさ」


ルカ「その…友…いや…えっと…」


「んんー?よく聞こえなかったけど、俺達と遊びたいって言ってた?」


「だな、俺もそう聞こえた!じゃあ行こーよ。ほら」


一人の男が、羽咲の手に触れるその瞬間。


クロ「ちょっと、俺の女になんか用?」


ルカ「…!!」


「ん…?君はこの子の友達なの?君、もしかして彼氏さん?」


「なっはっは!釣り合わねぇー!」


クロ「…行こう。」


「おーいおいちょっと待てよ。その子は俺達と遊ぶって言ってたんだよ。なぁ?」


「あぁ、そうだな。という事で彼氏君。ちょっと一人で待っ…


一発入れてやろうかという瞬間、隣の女の子が一発入れてた。


クロ「ちょ…!」


ルカ「いこ。」


羽咲は俺の腕を強引に引っ張り、人混みの中へと潜った。

さっきの男たちからは追いかけてくる気配もなく、すぐに離れられた。

そうしてあまり人のいないところまで行き…


クロ「もう良いんじゃないか?」


ルカ「…うん」


そこでやっと、羽咲は手を放してくれた。腕にあとが少し残る。


ルカ「ありがと」


クロ「いや、いいんだ。俺も悪かった。気分の悪くなるようなことを言ってしまったかもしれない」


ルカ「…俺の女?」


クロ「あぁ。羽咲さんは…」


ルカ「ルカでいいよ。私もクロって呼ぶ」


クロ「…ルカはダンと付き合ってるのかなって。思ってたから。」


学校での休み時間。ルカはよく教室で本を読み、ダンはタカナ達と一緒に遊んでいてあまり接点のないように見えるがよく一緒に話していたり一緒に帰っていたりしていたのを見たことがある。俺はてっきりそう思ったのだが…。


ルカ「ふふっ」


そう言ってルカは笑った後、すぐにそっぽを向いた。


クロ「…何かおかしかったか?」


ルカ「私とダンは…兄妹だから。」


クロ「そうだったのか。」


ルカ「うん」


それなら納得だ。…さっきの笑い方どこかで…


ルカ「それじゃあ付き合う?」


クロ「なぜそうなった。」


なぜそうなった。思わず口にも出したし心でも言ってしまった。


ルカ「じょうだん」


クロ「そ、そうか…」


真顔で冗談を言うタイプなのかこいつ。面白すぎるだろ。

内心大爆笑している俺に、とんでもない発言が聞こえてきた。


ルカ「聖花さんと付き合ってるもんね。ユラ。」


クロ「!!…付き合ってないさ。それに俺はクロだぞ。どっかの大英雄じゃない。」


なぜそのことを…まさかどこかで見られていた?俺がクロからユラになる瞬間を…。

もしくはリネとの会話を聞かれたか?

俺はとにかく、『言い訳』した。


ルカ「そう…そっか。違ったか。そっかそっか…」


そう言ってルカは浜辺を歩き出した。俺もそれに付いていく。


クロ「…どうして俺がユラだって思ったんだ?」


ルカ「…雰囲気?」


勘、ってことか?それでも普通別の人間が化けているなんて発想に至るのか?


クロ「雰囲気ね…まぁ、俺も最初の魔法使いには憧れたから、その影響かもしれない。」


ルカ「そう…。じゃあ、今から言うのは私の独り言。」


ルカは一拍おいて、言った。


ルカ「ゼンツを止めて、絶対に。」


俺はハっとして、ルカを見ると、海に合う悲しげな表情で笑っていた。


クロ「おま…えは…エ…」


俺が言葉を発そうとした時。


聖花「あ、いました。」


タク「お?!おぉお!やっと見つけたぜ!」


リネ達が俺とルカを探していたようだ。俺たち以外はもう集まっていた。


タカナ「探したぞ!こんなとこまで来てたのか!」


ダン「ルカ」


ルカ「うん、ごめん」


…ルカ、やはり…

そうして俺たちの夏は終わった。


ライ「ちょっと待って…マゴ…ごめんって…」


マゴ「なんで私がわざわざ!わ!ざ!わ!ざ!」


ライ「うう…」


そうだ、この人ビール飲んでたわ。


聖花「ごめんねマゴちゃん…。私免許なくて…」


マゴ「成人してませんもん!そりゃ!成人してる人もしてるか微妙ですけどね!」


ライ「ごめんって~…」


タク「マゴさん、こえぇな…」


テンス「あぁ、もっと大人し気だとおもってたぜ…」


夏、もうちょっと続きそう。





車内


聖花「そういえばクロ君、ルカさんと何を?」


タク「そうだ!二人とも何してたんだ!」


ダン「そうだ!俺はお兄ちゃんだぞ!」


テンス「ダン、言いたかっただけだろそれは…」


クロ「それは、ルカがナン…


ルカ「クロ君が告白を、俺の女になれって」


クロ「ルカ!?!?」


聖花「へぇ…」


クロ「違う違う違う違う!!!」

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