番外編 メクルチームの夏祭り
我らメクルチームはお祭りを楽しむことにたけている。毎年必ず参加しており、ほぼすべての屋台を回っている。それはなぜか…
ライ「んやぁ~…今日この日のために頑張っていると言っても過言じゃないですなぁ」
マゴ「魔警の上位チームは『全屋台でなんでも一つ無料券』もらえますからね。」
この無料券。日々労働に明け暮れる僕たちにはありがたい。屋台の人たちも魔警に助けられありがたい。
メクル「これがウィンウィンってやつか…」
ケルト「メクルもこの日はめちゃくちゃ食べるよな。」
メクル「そりゃあね。楽しまなきゃもったいないじゃないか。それに僕は…」
ライ「あ!!ユラだ!」
僕の声はライの大きな声にかき消されてしまった。
マゴ「ライ先輩、今日はユラさんは任務で魔学校の友達と遊んでいるんですから邪魔してあげないでくださいね。」
任務で遊ぶとは。よく見ると聖花さんがユラをにらんでる。何かしたのかあいつは。
ケルト「俺たちは俺たちで楽しもうぜ」
ライ「そうだね。花火ももうすぐだし!早く屋台まわりきるよっ!!ついてきな!俺の相棒!」
マゴ「私は黄色でもないですし電気も出しませんよ…」
そう言いながらマゴは雷のごとく走り去っていくライを追いかけた。
ケルト「今年もはぐれたな」
メクル「いや、ライの服に発信機を付けた。今年は大丈夫だ」
ケルト「仲間を信頼してなさすぎる」
メクル「去年結局次の日のうちの部屋で再開することになったのを覚えていないのか…?」
ケルト「あれはひどかった…」
自由すぎるのも問題だ…
僕たちははぐれた二人を探す気もなく屋台を楽しんでいった。
ケルト「いやーくったくった」
メクル「もう夏祭りは来年までいいや…」
ケルト「まったくだ…」
一息つき座って休んでいると、ケルトが話す。
ケルト「…メクル。今日来たメール。見たか。」
メクル「…見た、けど見てないことにするよ」
隊長から来た「魔警の危機」、というタイトルのメール。
そんなタイトルのメールを今日こんな日に見たいやつがいるか?いやいない。
ケルト「それもそうだな。でも仮に緊急だったらどうするんだ」
片手に持つラムネの瓶を口へと傾けながらケルトは言う。
メクル「いいよ、だって…」
その時、大きな花火がほかの花火を引き連れて打ちあがった。僕はその綺麗な花火ではなく周りの人々の表情を見ていた。
メクル「正直、悔いはない。」
ケルト「なんだそりゃ」
ケルトは苦笑しながらも、花火を眺めた。
あの時ライに遮られた言葉を心の中で思う。
僕は夏祭りを楽しむよりも、夏祭りを楽しんでいる人が見たい。
だって唯一僕が目にできる、僕の努力の結果だから。




