番外編 長老家族
魔学校の夏休みに入った俺は隊長の仕事を手伝いに来ていた。最近ちょっと金が尽きかけていたので隊長の頼んだところ働けばその分やると言われたので働いている。ちなみにお金の使いどころはリネとのデート代である。あの子、めちゃくちゃ食う。割り勘で破産仕掛ける量って何。
ユラ「そういえば隊長って何歳なんですか?」
ウルウ「…なんじゃ、藪から棒に…」
ふと気になったのだ。隊長は能力でほぼ不老となっている。実際のところ急激な若返りを真が半分肩代わりしているので今の幼い姿を保っているのだが。
ユラ「いや、隊長って不老じゃないですか。」
ウルウ「女性に年齢を聞くんじゃないぞ…。まぁ教えてやってもいいのじゃが…わしだけっていうのはフェアじゃないの。」
ユラ「それもそうですね…。」
ごもっともだが何も意見は思いつかなかった。
ウルウ「80年前の母上の話を聞きたいの。」
ユラ「あぁ、わかりました。」
とはいえそこまで真と過ごしていたわけではない。だが十分に俺たちは仲が良かった気がする。なんだかんだ馬が合ったのだろう。
そして俺は思い出せる限りの思い出話を隊長に話した。
ウルウ「ほぉ…なんというか…変わっとらんの。」
ユラ「そうなんですか…」
真は真だな。
ウルウ「昔の母上が変わってなくて安心はしたがつまらぬ。」
ユラ「そんなこと言われましても…ちゃんと教えてくださいよ、年齢。」
ウルウ「わかっとる。えーと…確か…64じゃったかの。」
ユラ「…え?」
ウルウ「64じゃ。なんじゃその顔…。」
ユラ「結構現実的な年齢が出たもので。」
ウルウ「まぁ100超えなきゃ変なしゃべり方じゃからの。この話し方は母上が今のうちに慣れておけと言われてから始めたのじゃ。」
ユラ「それで…こうなったと。」
ウルウ「…ま、話そうと思えば話せる。正直キャラづくりのところあるからね。」
その言動に違和感どころか恐怖を覚えた。
ユラ「うわっ、なんかやだ。」
ウルウ「やだって…ただまぁそうじゃろ?こういうのきゃらほうかいって言うんじゃろ。だからもうこのしゃべり方で固めているんじゃ。レアじゃぞー?さっきのわし。」
ユラ「レアだ…ん?ちょっと待って。隊長が生まれたときってソウシさん何歳?」
ウルウ「わしが生まれたときはー…37じゃったかの?」
…37に、今64歳の隊長が?
ユラ「…ソウシさん113歳じゃないかそれ。」
ウルウ「そうじゃな。」
…年上じゃん。
ユラ「…113?待て待て、人間の平均寿命舐めるなよ」
ウルウ「ユラは知らんのか。まぁ父上の能力知ってる者も少ないからのぉ。父上の能力、知ってるじゃろ?フィールド内の者は全て真逆になるんじゃ。それは父上を中心にな。その効果を1番間近に受けてるんじゃぞ?」
ユラ「…それで歳を取らないと」
ウルウ「能力を使ってない間と使ってる間でちょうど相殺されてるんじゃ。不老ってわけじゃないんじゃぞ」
ユラ「なんて家族だ…」
その後の仕事がほぼ手つかずになるほどの衝撃を受けたのだった




