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【最初の魔法使い】  作者: コトワリ
第3章 最悪の魔法使い
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第五十七話 試練

 聖花「はぁああ!」


最初に仕掛けたのはリネの方だった。この場を盛り上げたリネのテンションは今最高潮だろう。


メクル「…」


対するメクルは向かってくるリネに対してただただ棒立ちだった。リネの『反射』で場外に出されたら負けだというのに。


聖花「避けも…しないんだね!!!」


リネが反射の力を手にまとわせた状態でメクルに触れようとした。

その時、不思議なことが起きた。さっきリネが「メクルの試合は何が起こっているかわからなかった」と言っていたが…


ユラ「わ…わからん」


リネがメクルに触れたと思ったその瞬間、メクルがリネの後ろにいたのだ。そしてその瞬間メクルはリネによって弾かれた。自分でも何を言ってるかわからないが本当にその通りなのだ。今のこの瞬間に何か多くの事が同時に起きているようだったが…それを理解できているのは実際に戦っているリネとメクルだけだろう。


聖花「…わかんないな。メクル。あなたの能力は『溶岩』と『雪生成』じゃなかったの?」


メクル「聖花リーダー。僕だって一人の魔警隊員として成長したんですよ。」


聖花「そう…」


どうやらリネもわかっていなかったらしい。


ユラ「何が起きているんだ…?」


考えに考えたがわからなかった。


メクル「次はこっちの番ですよ」


聖花「!!」


メクルが消えたと思った次の瞬間、リネがはじいていた。だがリネの表情を見るに故意的に弾いたわけではなさそうだ。多分常に全身に『反射』の能力を発動させているんだろう。


聖花「瞬間移動…?」


メクル「似てはいますが、別次元のものですよ。…その反射、いつまで持つんですか?」


聖花「勝つまで・・」


メクル「嘘はつかないほうがいいですよ。」


メクルは攻撃の手を緩めない。溶岩をリネに浴びせ続けた。リネの反射は物質的なものは全てはじくが…。


聖花「…はぁ…はぁ…あっつ…」


その伝わってくる熱までは防げない。ゼロ距離で反射しているわけではなさそうだがそれでも溶岩なのだ。その暑さ…いや、熱さは尋常じゃないだろう。


聖花「くっ…!」


一度リネは大きく横へと動いた。そしてその行動にメクルが気づく前にやろうと一気に前へと踏み出す。


聖花「…!?」


が、リネがメクルに視点を向けたときには、そこにメクルはいなかった。


メクル「火山弾」


大きく重い攻撃に、リネは顔をしかめた。


リネ「ぐっ…あっっっつい!!!」


だがすぐにその攻撃を場外へとはじいた。火山弾は副隊長特性シールドによって観客席へとは向かわなかった。


ソウシ「僕よりも善戦してるじゃないか。さすが若きリーダーだ。」


声が聞こえてきた方を向くとそこにはソウシさんがいた。そういえばメクルとの試合から話してなかったな。


ユラ「ソウシさん…その…残念だったな」


ソウシ「はっはっは…まぁ、ちょっと応えたね。彼…メクル君は今僕より強いかもしれない。」


ユラ「一回負けたからって…ソウシさんは『無限守』も神器も使ってなかったでしょ。唯一無二のフィールド能力だって…」


ソウシ「ユラ君、リングの周りをよく見てみなよ。」


ユラ「…?」


そう言われたので見てみた。


ユラ「え…あれって…」


ソウシ「そう…彼はフィールド能力を使っている。」


あの陣、間違いない。ここからじゃ遠目だしソウシさんのと比べると色がかなり薄いがそれでもアレはフィールド能力だ。そんなまさか…


ユラ「フィールド能力って…」


ソウシ「僕の場合二つの能力が合わさってできたんだ。」


ユラ「そうだったんですか?」


ソウシ「あぁ。『黒曜の月』は『黒雲』と『月光』の能力が本を手に入れたときに合体しちゃって。なんかできてた。」


ユラ「んなテキトーな…。」


てか黒雲と月光ってなんだよ。かっこよすぎだろ。


ソウシ「メクル君もそんな感じかと思ったが、彼、溶岩も雪も使えているじゃないか。」


ユラ「フィールド能力はまだまだ謎…ってことか。」


ソウシ「そうだね…とにかくこの試合は、メクル君の勝ち、かな。」


…認めたくはないが認めない!

よくわからない文章ができてしまったがリネが負ける姿なんか見えないからな。


俺は座ってる席から立ち上がって苦戦しているリネに向かって、叫んだ。


ソウシ「ユラ君のそういうところ、好きだよ。」


ユラ「そりゃどうも、元一位さん。」


ソウシ「言ってくれるじゃないか、伝説のたらしさん。」


ユラ「いやそれはもうただのクズじゃん。」


ーーーーーーーーーー

こ…ここまで強いなんて…。


聖花「くっ…」


メクルが成長してるのはわかっていた。ランキング一位が負けたのだから私が敵わないのも何となく察していた。それでも…それでもこの差は広すぎる!


メクル「もう終わりですよ、聖花リーダー」


聖花「やだ!」


メクル「わがままだなぁ…」


あっつい…この暑さが冷静さを欠けさせてくる。あーもう…汗が…


聖花「あんな啖呵を切っといて…負けるのか…」


これは私の黒歴史ランキングベスト一位に入るな。

諦めかけていたその時だった、


ユラ「リネ!!!頑張れよ!!!」


観客席から大好きな人が叫んでくれた。待ってましたよその声を。


メクル「ユラ…それはずるいよ。」


聖花「何がずるいって?」


私はメクルがユラに気を取られていたその瞬間を見逃さなかった。相手がどんな能力であれ、勢いつけて反射しちゃえば関係ない!場外に出せば私の勝ちだ!


私は手のひらを、メクルに当て・・・・


メクル「残念。」


られなかった。…いや、正しくは当てるのをやめた。


メクル「!?なっ…んだ!?」


メクルの能力が何かは知らないけどとにかくこの場のどこかへと移動することは確かなんだ。だから…


聖花「《空間反射》を複数、この場のあらゆる場所に張り巡らさせた。さすがに…辛いけどね。負担が。」


素晴らしい倒置法だ。こんな冗談を考えられているのもアドレナリンのおかげだな。きっとこの試合が終わったころには私は倒れる。勝って倒れるか負けて倒れるか、だ。


そうしてメクルは反射に反射を繰り返され…私の目の前へと来る。そうなるように配置したのだ。

私はさっき止めた手をタイミングよく振る。それだけ。


聖花「おわ…りっ!!」


私の手のひらはついにメクルを触れた。


メクル「なっ!?」


そうして勢いよくメクルは場外へと…


メクル「あ…危ない…まだまだだな…僕も…。」


聖花「…へ?」


後ろにメクルがいた。


メクル「この勝負、僕の勝ちだね」


聖花「はぁ…わかったよ。」


私は一気に力が抜け、能力の無理な使い過ぎにより倒れましたとさ。



ーーーーーーーーーー


ウルウ「勝者!雪川メクル!!!!」


隊長の何度目かわからない大きな声に、何度目かわからない大きな声で観客は声を返した。

ただし過半数は地べたに這っていた。リネが負けたからだ。俺ももう少しで這いそうだった。


ウルウ「まさか聖花が負けるとはのぅ。確かに父…ランキング一位を倒していたとはいえメクルは今回どれだけの力をつけてきていたのじゃ…」


クロン「ですがまだ使いこなせているようには見えなかったな。今後あれ以上に強くなると考えると…これは三大チームが崩れるかもしれない…」


ウルウ「なんじゃと!?…でも確かにそうかもしれんの…。全然不思議ではない。」


隊長とクロンさんが感想を述べている中、俺の心は天へと向かっていた。

リネが…負けた。


ソウシ「まぁ…妥当だね。…ん?」


俺は落ち込むよりも早く瞬間移動でリネの元へと行っていた。もはや反射的にである。


メクル「おわっ…ユラ。」


ユラ「よう。…リネは…寝てるだけか。」


俺はリネをおんぶした。かるっ。駄菓子といい勝負だなこれ。


メクル「過保護なもんだね。」


ユラ「メクル、その能力。いつ手に入れたんだ?」


メクル「最近だよ。休暇から僕はある人のところに修行に行っててね。それでもこの能力を手に入れたのはホントに最近。ユラ達を助けたときから一週間まえくらいだもん。」


ユラ「うちのリーダーさんは強くなったもんだな…。」


メクル「ユラにも今なら勝てるかもしれない。」


ユラ「言ってろ。…じゃあこれちょっと置いてくるから。」


メクル「大切にしてるんだかしてないんだか…じゃあ、決勝で会おう。」


ユラ「おう。」


そうして俺はリネを運んだ。


ユラ「はぁ…不安。」


あんなこと言ったが本心は少し不安である。少し、否、かなり。

メクルにすら勝てるビジョンが見えないのにその前に久慈さんに勝たなきゃなのか…

どんな試練だよ全く…。難易度高すぎるだろ…。

そんな感じで下を見ながら進んでいたら頭を撫でられた。その手は俺の後ろから。

こいつ起きてるじゃねぇか。


ーーーーーーーーーーーー


魔警備隊所有、大型ドーム場外


久慈「次は…ユラかぁ…勝てる気しないわ…」


一人、次の準備をしている「王」に二人の刺客が近づく。


久慈「…誰かな?」


エル「後ろ向いてるのに…」


ヒマル「王様なんだからわかるだろ。」


例え王だとしても、試練は降りかかる。みな平等に。





ユラは聖花の事に関するとおかしくなります。これは聖花が悪い。

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