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【最初の魔法使い】  作者: コトワリ
第3章 最悪の魔法使い
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第五十五話 恥ずかしい…

 仕事を放棄した隊長に代わったアルパさんが、第四試合を進めだした。これで本選トーナメントの半分の試合が終わることになる。


アルパ「まずは我がアルパチーム随一の戦闘員!『王』の名にふさわしい力を実力を持つ、久慈カタミだぁあああ!!対して…!」


アルパさんは持っていたマイクを隣のクロンさんにパス。もはやクロンさんも何も言わなくなっていた。


クロン「対するは名前、年齢、見た目、能力までもすべて不明。戦った人々は何が起こったかわからないと皆口々に話す。今大会のブラックホース、フクマスク!」


魔警三大チームのリーダー二人の声で、場は大きく盛り上がった。が、フクマスクが一体だれなのかという疑問の方が大きいらしく今までよりかは声は小さかった。盛り上がった半数はクロンさんのファンだろう。


間木「クロンリーダー…かっこいい…」


ほらな


俺は目線をリングの上に戻す。リングの上には久慈さんとマスクをかぶった人が向かい合っていた。


アルパ「それでは…第四試合、はじめ!」


四試合目が今始まった。まずはどっちが出るか…


久慈「…いやあんた副隊長でしょ」



李地「…なんでわかったんですか?」


そう言ってフクマスク…いや李地さんはマスクを外した。マジか…李地さんだったのか。通りで見かけないと思った。


久慈「なんでって…え、わからないひといるわけなくない?」


久慈さんがそういうと俺の周りのみんなが揃ってうなずいていた。

お、俺だけ?わからなかったの…?


聖花「副隊長は毎年この大会にサプライズを入れるけどまさか自分から参加するなんてね…。バレバレなんだから堂々と出ればよかったのに。そう思わない?」


ユラ「え、あ、ほ、ほんとにな!そう思うわ…はは。」


…恥ずかしい


李地「さて、それじゃあまぁやりましょうかね」


久慈「うん、やろう」


そうして両者は向かい合い、にらみ合った。李地さんの方が強いとは思うけど…久慈さんの方は何分未知数だから勝敗の行方は予想できない。


久慈「キングソード!」


先に仕掛けたのは久慈さんだった。能力『王』。その真髄はわからないがとにかく高威力の攻撃をできる能力だ。アレを防ぐには並大抵の防御じゃ防げない。


久慈さんは作り出した光り輝く剣を、李地さんに向けて振りかけた。


李地「もらいます」


だが、李地さんが向けていた手に剣が触れたと思った次の瞬間、あったはずの剣がくるりと布のように李地さんの手のひらにまとまってしまった。久しぶりに見たが相変わらずめちゃくちゃな能力だな…。


久慈「『まとめる』能力…副隊長とは何回も戦ってるけどいまだに弱点が見つからない…うー…」


李地「見つからないんじゃなくてないんですよ。はい、返します。」


ただ防ぐだけではない。相手の攻撃をそっくりそのまま返すことができる。それが『まとめる』能力。


久慈「キングシールド」


ただしその力はマイナスにもならないがプラスになることもない。相手の攻撃をそのまま相手に返したところで結局は同じ威力で相殺されるだけだ。


李地「ほら、ガンガン行きますよ。」


久慈「お、珍しくやる気だね。乗るよ!」


久慈さんのシールドがなくなったところを狙い李地さんは久慈さんに一気に近づき肉弾戦に持ち込んだ。李地さんはいつも研究ばかりに見えるがアレでしっかり格闘技も一通りできるのだ。隙がない。いつものイメージで忘れてしまうが…


クロン「さすが魔法警備隊副隊長。あの久慈が押されている…。」


アルパ「あん?!押されてねぇよ!勝ってる勝ってる!おい、そこだ!久慈、頑張れ!」


クロン「実況に私情をいれないでくれよ…アルパ。」


アルパ「…お前が間木の試合、陰から見てたの知ってるからな。」


クロン「なっ!?」


…実況しろよ。

状況は李地さんが優勢というところだった。久慈さんも戦闘能力はスバ抜けているがそれ以上に副隊長が強すぎる。


聖花「…私は久慈さんが勝つと思う。」


ユラ「そうか?俺は李地さんだと…」


俺がそう言おうとした瞬間、理事さんが突然大きく久慈さんから離れた。


久慈「キングレイズ!」


その時、久慈さんの周りに神々しいオーラが出現した。見ただけでもわかる。あの力のエネルギー循環…!あれは強い!


李地「ほう…また新しく力を手に入れましたか。」


久慈「まぁ…っね!!」


久慈さんは一気に離れた李地さんい追いつき拳を突きつけた。


李地「ぐっ…!素晴らしい…力ですね…!」


久慈「悪役みたいなセリフ言ってる場合?」


気づくと李地さんはもうリングの端にいた。


李地「おっと…インパクト・レベル5」


すると、今にも落ちそうだった李地さんから強い衝撃波のようなものが出た。その押し出される力によって久慈さんは飛ばされてしまう。


久慈「…!!キングショット!!」


その勢いでリング外に出る瞬間、技を放ち威力を消した。かなりハイレベルな戦いだ…。


久慈「戦うたびに知らない一般魔法使わないでよ…」


李地「これが科学力ですよ。」


一般魔法作った本人なんだからそりゃいろんな種類持ってるし作ってるんだろうが…少しずるい気もする。


ユラ「てか、久慈さんの李地さん仲良いの?」


聖花「うん。師弟関係だよ。」


睦月「私と聖花ちゃんみたいなもんやね」


聖花「私とアジちゃんは家族だよ。」


睦月「あら♪」


リング上とは打って変わってほんやかとした空気が流れていた。


久慈「今まで何戦してきたっけね…」


李地「745戦740勝5敗、僕が勝ってます。」


久慈「じゃあ、今日は5が6になるね」


久慈さんは手を組み力を貯めだした。


李地「そんなの、わざわざ見てる必要はないですよね。」


李地さんは久慈さんが何かやろうとしているのを止めようとしたが近づくにつれて速度が遅くなっていった。


李地「な…に!?」


久慈「私は私なりに『王』について向き合ってきたんだよ。それでわかったんだ。『王』の真髄。」


そう言って久慈さんは観客席側を向いて、大声で話した。


久慈「皆!私に力を貸してくれ!私の力は皆のその力だ!私が…私が皆に今日最大の戦いを見せると誓おうじゃないか!」


その言葉は、久慈さんだからこその力強い言葉だった。その言葉に観客のほぼ全員が久慈さんに感化され、大きく声を上げた。


李地「…まさか『王』って応援してくれる人の数だけ強くなったりします?」


久慈「応援じゃない、共に戦うものの数だけ私は強くなるんですよ。李地副隊長」


その時、久慈さんは初めて李地さんに…師匠に敬語で話した。雰囲気は別人だ。

この第四試合。別に何かかかっているわけでもない、ただの一大会の一試合。なのにもかかわらず、今この雰囲気は緊迫として興奮に包まれている、物語のような状況になっていた。


久慈「キングブレイド!」


さっきのキングソードとは遥かに大きさも、太さも、光具合も違う大剣が現れた。これ俺の龍よりでかいんじゃないか?


李地「…わー」


もはや李地さんは観客目線。


久慈「強くなったんですよ、私は」


その大きな力に副隊長は逃げることも防ぐこともせず、ただただまっすぐに、その攻撃をくらった。




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