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【最初の魔法使い】  作者: コトワリ
第3章 最悪の魔法使い
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第五十四話 魔警の全貌

クロン「しょ…勝者!聖花リネ!」


その声がドームに響くころには、私はアジさんの攻撃をさらに自分で強化したものをくらって伸びていた。


聖花「威力…間違えた…」


睦月「あんた…計算してないんですか…?」


負けた方が勝った方を心配するという何とも不思議な構図になっていた。


聖花「えへへ」


睦月「まったくもう…私は回復系の能力は持ってないんでござんすよ…。よっこらせ。」


アジさんは半ば呆れながらも私の肩を持ってくれた。


「聖花様ー!」「さすがです!」

「よくやった!!」「惚れなおしました!」「好きです!」


戻るときには多くの歓声に包まれた。それはもう騒がしく、なんなら傷に響いた。うるさい。


睦月「聖花ちゃんも有名になりましたね。」


聖花「そりゃ私は可愛いからね」


睦月「その性格は可愛くないでござんすがね。」


聖花「うるさいな…」


裏側に入り観客席から見えなくなる時、私はみんなに向けて…


聖花「ちゅっ」


投げキッスをした。

その後は何も聞こえなかった。


睦月「ませたもんで。」


聖花「静かになるからね。」


ちなみに静かになる理由は言わずもがなだろう。多分ユラにやったら心臓の音まで聞こえなくなることだろう。…冗談にならないから困る。


ーーーーーーーーー

第三試合終了から10分後


ユラ「ほふやった」


聖花「なんでそんなぼろぼろなの…?第一試合のケガがまだ治ってないの?」


ユラ「我を失いすぎただけだ。」


俺は持ち前の回復能力で自分の過ちを治した。もう少し自重しよう。…だとしても最近俺の扱いがみんな雑になってきている気がする。

俺は隊長にボロボロにされた後、試合がめちゃくちゃ見やすい特別席にいた。基本的に三大チームや出場者。東西の魔警のお偉いさんや実力者が座っていた。

なのでもちろん…


タルタ「あ、聖花様!…とユラの野郎…。」


睦月「聖花ちゃんもう大丈夫なの?」


この二人もいる。俺はさっき知ったからあんまり感動はないがこうやって東西の魔警の隊長が集まっていることは結構すごいことなのではないだろうか。


ユラ「タルタ…その…やりすぎた。すまん。」


タルタ「ふん…そこまでダメージをくらったわけではない!衝撃も『ブラックホール』で吸ったからな!」


睦月「へぇ…?結構満身創痍だったじゃないか。」


タルタ「そんなことねぇ!!断じてな!!」


仲が良いんだな。


聖花「アジさんとタルタは今日一人なの?」


睦月「私は一人さ。あんまり多く連れると緑光が動かないからね。」


緑光は西の魔警備隊の事だな。


タルタ「俺はメジロを連れてる。」


ユラ「メジロ?」


タルタ「うちの副隊長だ。俺の護衛の為とか言ってついてきたが本音はここらの観光だろう。俺たちはあまりほかの場所へ行ったりはしないからな。物珍しいんだろうが…。」


睦月「信頼されてないね。」


タルタ「一人のお前に言われたかないわ!?」


西と東ってのはよくケンカしてるもんだと思っていたが全然仲がいいな。こんな二人が魔警を支えてさらに中央にあの優秀なウルウ隊長がいる。魔警がどれだけ屈強な場所かわからされた気がする。


ウルウ「今なんか、わし褒められた気がする。」


ユラ「おわっ…ってウルウ隊長。」


ウルウ「よ!司会飽きたから来たぞ。」


聖花「隊長…?仕事の放棄はダメですよ。」


睦月「あんたが言えたことかい。」


タルタ「聖花様は悪くない!」


魔警の錚々たる人物が集まり、少しばかり視線を集める。


ウルウ「タルタ!お主は久しぶりじゃな!」


タルタ「おう、ウルウ。元気だったか。」


ウルウ「もちじゃ!」


この二人は似ている気がする。タルタも比較的身長が低いからかな。


タルタ「…ん?紫陽花には最近会ってたのか?」


ウルウ「ちょいとな。緑光の副隊長に用事があっての。その時あったのじゃ。」


聖花「…!隊長…あの人に会えたんですか?」


ウルウ「うむ。父上と行ったらしぶしぶ出てきてくれたぞい。」


睦月「うちの副隊長はソウシさんの大ファンだからね。」


ここは次元の違う話だな。次の試合でも見よう。

そうして視線をリングに移すが、まだ準備中らしい。次の試合は…アルパチームの実力者、久慈さん対…フクマスク…。誰なんだろう結局。予選の時は常に紙袋をかぶっていたらしい。よくとれないもんだな。


ユラ「久慈さんの戦いをしっかり見るの初めてかもなぁ…」


『王』の能力だったか。未知数すぎて俺が勝てるかわからない。《次期》の能力は複雑すぎるんだよなぁ…。

その時、俺の隣にメクルが座った。


メクル「やぁ、ユラ」


ユラ「メクル…そういえばお前…!よくソウシさんに勝てたな!」


そうだ、そうだった。第二試合、俺が気を失っていた時にメクルはソウシさんに勝利してたんだった。


メクル「ユラは見てなかったのか?」


ユラ「いやその…気を失っちゃって。」


メクル「…?勝ったのはユラだったよな?…まぁいい。という事はユラは僕がソウシさんと戦ったことについて詳しくは知らないってことかい?」


ユラ「あぁ。なぜか気を失ったせいでな。教えてくれよ!あのソウシさんにどうやって…」


俺が少し興奮気味にメクルに聞くと、メクルは手のひらを俺に見せてきた。


ユラ「な、なんだよ?」


メクル「次僕が戦うのはユラ…君だろ?」


ユラ「え?…あ」


そうか。勝ち進んだ先にソウシさんがいるんだなぁと決めつけていたがメクルが勝ったから準決勝ではメクルとやるわけか。


ユラ「…つまり次の試合相手に情報は与えないと…」


メクル「その通り。…誰かに聞いても無駄だよ。」


リネに聞こうとしていた俺の心を読んだのか!?


メクル「きっと、何が起きたかわからないだろうから」


…?どういうことだ?


聖花「いやほんとにわからないんだって。」


気づいたらリネが俺の肩に顔を乗せていた。ここまで接近されて気づかない俺は罪深いな。


タルタ「ユラ…殺す…」


睦月「やめとくれよ。初めてあの子が好きになった人なんだから。」


ウルウ「おい、アジ。そりゃおーばーきるってやつじゃ。タルタが陸に打ちあがった魚みたいになっとる。」


ちょっと離れたところから保護者と不審者の会話が聞こえてくる。なんかタルタの扱いが分かった気がするぞ。


ユラ「わからないって…見てたのにか?」


聖花「うん…。最初の方はソウシさんが優勢だったんだけどさ。メクルが本を開いてからソウシさんは何もできずに場外に飛ばされちゃったんだ。」


ユラ「へぇ…」


メクルの能力は『雪』と『溶岩』じゃなかったのか?そんな相手を吹き飛ばすような…。

俺の思考は大きな元気な声にかき消された。


アルパ「さーあ!お前ら!本選一の興味にまみれた試合!久慈vsフクマスクがはじまるぞ!司会は俺!アルパと…」


クロン「…クロンだ。」


テンション真逆な司会によって、今第四試合が始まろうとしていた。


ウルウ「わしの仕事!」


ユラ「自分で放棄しただろが」






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