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【最初の魔法使い】  作者: コトワリ
第3章 最悪の魔法使い
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第五十二話 ご迷惑をおかけします

あれから一時間後、今魔警最強決定戦の本選が始まろうとしていた


ウルウ「あーあー。マイクテストー」


もう本選開始まで時間はない。もうほとんどの観客、結果を見に来た選手たち、そして本選出場者たちが集まっていた。

各々座っていたり立っていたり。俺をにらんでいるやつもいる。…なぜ?

リネは俺の背中にもたれかかっている。リラックスしたいらしい。…なぜここで?


メクル「一回戦で当たらないといいな。」


ユラ「俺はいつでもいいんだがな。…ソウシさんとは当たりたくないが。」


メクル「それはよくわかる…。正直言って勝てる気がしない。」


ユラ「イメージできるやつのほうがすくないだろう。なんにせよ、誰に当たろうが苦戦はするだろうしな。」


メクル「そうだね。隊長格が二人、三大リーダー格が二人。実力不明が一人。…最強が二人。」


ユラ「俺を最強枠に入れるなよ。」


メクル「ユラが入らなきゃ誰が入るのさ。最初の魔法使いさん?」


ユラ「はいはい…。」


そんな感じに緊張感のない話をしていると隊長の声が響き渡った。


ウルウ「諸君!お待たせしたの。これより、魔警最強決定戦本選を開始する!」


隊長の一声に、場の人たちが盛り上がる。魔警はこの世界でも屈指の能力者たちの集まりだ。その最強決定戦というのは誰しもが興味のでるものだろう。


ウルウ「李地は諸事情で少々席を外しておるぞ!なので本選では…三大チームのリーダーの一人!クロンが来てくれたぞ!」


その言葉にウルウ隊長の時とは違う、黄色い声が飛び上がった。クロンさんはイケメンだからなぁ…。その分ファンもいるのだろう。


クロン「よろしくお願いする。毎年のごとく、私は出場しないので呼んでいただいた。」


ウルウ「一人食堂でコーヒー飲んでたんじゃ。暇そうだから呼んだ。」


クロン「私にとって貴重な休日だというのに…。隊長直々ならば断わらざるをえない。」


ウルウ「はっはっは。これが権力じゃ」


そんな感じでオープニングトークっぽいものが進む。隊長が権力に目覚めかけている。危ない。


クロン「隊長。そろそろ始めましょう」


ウルウ「うぉっ、そうじゃったな。それでは、本選の説明をさせていただく。本選はトーナメント形式に行われていく。勝ち残り形式じゃな。組み分けはこちらでランダムに決めさせていただく。そして、その戦いを上り詰めたものこそが今大会優勝者じゃ!」


クロン「毎年の優勝者は聖花かライだが…今回はそのライが予選で落ちている。そしてランキング一位、さらには伝説の能力者まで参戦している。この戦いの結果予想は難しいな。」


ウルウ「その通りじゃ!…ちなみにクロンは誰が勝つと思うんじゃ?」


クロン「王道で行けばソウシさんでしょうが…私はあえてメクルを押しますかね」


予想外の言葉に隣にいたメクルが驚いた。


メクル「え、僕?」


ウルウ「え、メクル?」


全く同じ反応をしてるな。


クロン「彼には何か…特別な力を感じる。事実過去に勝てなかったバレルに勝てているのですから。何かしら成長を得たのでしょう。本を手に入れているようですがそれ以上の大きな力を私は感じます。」


ウルウ「はーん…お主賭け事当たらんの?」


失礼なことを二人に同時にいう隊長には頭が上がらない。


ウルウ「さてと、それじゃあまぁ組み分けの発表と行こうかの。クロン、これを押すんじゃ」


クロン「はい」


クロンさんが隊長から渡された赤いボタンを押すと、大きなスクリーンにトーナメント戦の組み分けが映し出された。


『魔警最強決定戦本選トーナメント表


第一試合「ユラvs三島タルタ」


第二試合「御手洗ソウシvs雪川メクル」


第三試合「睦月紫陽花vs聖花リネ」


第四試合「フクマスクvs久慈カタミ」』


「一位とやるのはメクルリーダーか…終わったな」「聖花リーダー!!」「一試合だけ結果がわかるな。」「三島さんが相手なら伝説だろうが勝てるだろ!」「フクマスクが誰かわかるかな…」「聖花様-!!」


観客席から様々な声が上がるがほとんどがメクルに関してのようだ。…いや同じくらいリネへの声もあったな。


ソウシ「おや、メクル君か」


メクル「終わった…」


さっきまでとは違う顔をしてどん底を見ている。下を見ても何もないぞ。


ユラ「まぁまぁ…心の準備ができてよかったじゃないか。」


メクル「負ける準備なんかしたくないさ…」


ソウシ「僕は全力を出せるわけではないから意外といい戦いにできるかもしれないよ?」


メクル「そのゼッタイ負けないって顔!ひどい!」


…見てられん。そんなことより俺は最初じゃないか。気持ちを引き締めなければ。


聖花「ユラ、タルタは…」


ユラ「全力出してでも勝つよ。安心してくれ」


聖花「違うの、タルタは…」


???「おいおい、情報を与えないでくれよ。フェアな戦いにならないじゃねぇか。」


すると金髪の男が近づいてきた。もちろん、この状況で誰かわからないなんてことはない。


ユラ「あんたが…三島タルタか?」


タルタ「あぁ…。よろしくな。」


意気揚々としている威圧感のすごいやつだな…。俺と同じくらいにしか見えないが…外見的に。


ユラ「いい戦いにしよう。」


そう言って俺は握手しようと手を向けたが…


タルタ「ふん…一方的な試合になるだろうよ」


そういって準備の部屋へと歩いて行ってしまった。


ユラ「…あんまり良いやつではないな」


聖花「そうだね…。ユラ、本気でやってね。」


ユラ「俺が負けるってことか?」


聖花「最悪…死ぬ。」


ユラ「へぇ…」


リネは俺の強さをわかっているはずだ。そのうえでこんなことを言ってくるのだからタルタというやつは相当やるやつなんだろう。こりゃ気をつけなきゃな…。


聖花「そして…タルタは…」


ユラ「まだあるのか?」


さすがに自信がなくなって…


聖花「私の大ファン…」


ユラ「…勝てる気がしない。」


一回戦敗退どころか人生から敗退しそうだ…。


そんな緊張をもって俺も準備の部屋へと向かった。


ーーーーーーーーーー

それから十分後、第一回戦が始まろうとしていた。


ウルウ「それでは!これより魔警最強決定戦本選第一回戦を始める!選手の紹介をさせてもらおう!」


その声が響き渡るとき、俺たちは互いにリングの上に上がった。ルールは予選と変わらず、決められた範囲外に出たら、または負けを認めたら結果が決まる。予選と違うのはさっきの二回りは大きいリング。これくらいだろう。


ウルウ「東最強の能力者!すべてを消し去る最強の能力を持つ!三島タルタ!対するは…」


そう言って隊長はにっこにこでクロンさんにマイクを渡す。やらせたいんだな。


クロン「はぁ…対するは一年たたずに魔警本部の中で圧倒的な信頼、そして実力を持った伝説の能力者。ユラ!」


珍しく声を張り上げてクロンさんが言った。なんか申し訳ない。


ウルウ「両者準備はOKじゃな!?それでは…第一試合!開始!」


戦いの火ぶたが切られた。


タルタ「一瞬で終わらせよう。過程は無駄だ。」


そう言っていきなりタルタは俺に近づき攻手のひらを押し付けてきた。近接系の能力か?まずは相手の能力を知らないと…。


ユラ「結果がすべてじゃないんだぜ?!」


そう言って俺はタルタの手のひらを炎の剣で受ける

次の瞬間、俺の剣は跡形もなくなくなりタルタの手のひらは俺の腕に触れた。

そして、走る激痛


ユラ「ぐあぁあ!?!?」


俺はその痛さに叫び、一度離れた。


タルタ「なんだと…?」


なんだ…!?何の能力…これは!?

俺は掴まれた部分を見ると焼き切られたような跡がついていた。自動治癒でも少しづつしか回復しない…。なんの能力なんだ?


クロン「三島…いきなりやったな」


ウルウ「ふははは、ユラのやつ、さすがに常人じゃないの。あれをくらってあの程度なんて」


ユラ「こ、この程度!?十分精神的に死にかけましたけど!?」


どういう事なんだ?俺は真っ白な頭のままタルタを見ると…なぜか頭真っ白にしてそうだった。


タルタ「お前…どうなってるんだ」


ユラ「こっちのセリフだ…。なんの能力なんだ?」


タルタ「…俺の能力は『ブラックホール』だ。ありとあらゆるものを吸い、消滅させる…。はずなのにその程度で済んでいるのはなぜだ?」


ブラックホール…なるほど。本来だったら腕の一本くらいなくなっていたのか。この差は能力数の差だろう。それでもこのダメージ…。だてに東最強名乗ってないってか。


ユラ「はーん…なるほどな。能力さえわかっちゃえばこっちの勝ちさ。要するに近づかなければ…」


タルタ「ふん…わざわざ俺が行く必要はない」


そう言ってタルタは手のひらを俺に向けた。その瞬間、すごい勢いで俺はタルタに向けて吸い込まれていった。


ユラ「そりゃそうか!!」


俺はとっさに『煙』の能力を使い目くらましをした。だがその煙も一瞬にして吸われてしまう…。


タルタ「そんなもの!俺には関係な…!?」


それでもそんな一瞬の隙でも俺にとっては十分だ。


ユラ「チェックメイト!」


瞬間移動で一瞬にしてタルタの背後へ。勝った!


ユラ「《グラン・ゼロ》!」


俺は重力弾をタルタに向けて放つ。死なない程度に。


タルタ「ぐっ…はぁあぁあああ!」


だが、俺の重力弾はタルタを飲み込んだと思った瞬間に吸収されてしまった。


タルタ「はぁ…はぁ…やるじゃないか」


ユラ「嘘だろ…ブラックホールをなめてたぜ…」


タルタ「俺もお前をなめてたよ。」


よくよく考えれば『重力』の能力の上位互換みたいなものか、ブラックホールって。これは…どうしようかな…。


ユラ「さぁ続きをやろうぜ」


タルタ「…あぁ」


とはいえどうしたもんか…そうか、吸えないくらいのバカみたいな力で…。いやそれソウシさんの時もやったな。


ユラ「《魔王零双破》!」


タルタ「ふっ…ん!」


闇の力も吸いつくされていく。だがさすがに高威力の攻撃だ。ブラックホールですら少し吸いきれなかったようだ。


タルタ「貫通してくるなんて…どんな能力だ。」


ユラ「現段階最強の能力だよ。」


『闇』を使いこなせる奴はもういない。俺が使ったって所詮真似事だ。

炎の能力で行くしか…


タルタ「もう手はないのか?このままでは俺の勝ちだぞ。」


ユラ「はん、お前も少しダメージくらってんじゃねぇか。」


タルタ「ヒール・レベル5」


ユラ「あ、ずるい!」


タルタ「お前なんて自動回復じゃないか。クソが…俺の聖花様まで奪いやがって。」


おい待て今それ関係ない…。


タルタ「もうめんどくさい!本気で行かせてもらおう!」


そう言ってタルタは本を取り出した。


タルタ「重力場生成!」


リング状に大小さまざまな小さいブラックホールができた。


ユラ「ぐっ…が…?!」


俺は全方向から引っ張られる。このままじゃ裂ける!


ユラ「一旦逃げるか」


俺は空に飛び少しはマシになった


ウルウ「ここまでユラを追い詰めるとは…タルタもやるのぉ」


クロン「これはどっちが勝ってもおかしくないな。」


ウルウ「大体そんなもんじゃろ、本選なんて。」


そんな呑気な話を聞く余裕すらない…。あいつに勝つには死角から一撃であいつ自身にダメージを与えなければいけない。それはさっきの重力弾のようなエネルギーではなく物理で、だ。それはタルタに触れることになるが全身にブラックホールの能力を常に使っているとは考えにくい…。このめちゃくちゃな重力場にも耐えられるような何かがあれば…


ユラ「あいつを使うか…」


俺は空中からあるものを「召喚」した。


タルタ「そ…それは!?」


ユラ「『ステージ4 魔獣召喚・水龍』」


水の魔獣、それは火の魔獣と似て非なる龍だった。その体は火の龍とは違く、柔く、もろい。ただし絶対に傷つかない。まるで水のような生き物だった。


ユラ「降らせ、豪雨を」


水龍は重力をものともせずリング上を動き回った。その時、リングの上だけに前が見えなくなるほどの雨が降る。


タルタ「また目くらまし…!ならば全方向に重力場を作るだけだ!」


そうだよな。お前はブラックホールを作る。その力に似たものを、俺は使えるんだよ。


ユラ「はっ!そんな構えなくていいさ!真正面から不正していくだけだよ!」


能力同士の力が同程度、そして同系統または相反するものの時に起こる世界のバグ。

タルタの能力の本質は強力な重力。なら同じくらいの重力を向ければ…!


ユラ「ステージ5!魔獣武器化!」


俺は重力の能力の魔獣を武器化させる。大きな鎌をタルタに向ける。まさか切り札を使う羽目になるとは思わなかった。


タルタ「その…その重力の力は!?」


ユラ「ロクラブル・ガロン!」


鎌の左右に超強力な重力波を生み出し、その重力波を覆うようにさらに重力をかける。

そして起こる、二つの大きな重力弾。まるで「ブラックホール」のようなその重力は、同じ大きさの力に出会う。そして起こる、世界のエラー。すべてを創造しすべてを破壊する。


タルタ「がっ…ぐほがぁ…」


その無限の力にタルタはリングはおろか、観客席まで吹き飛んだ。


俺は周りへの被害を考えリングの周りに一応炎の結界を張っていたが…。


ウルウ「あーもう!ユラの勝利!やりすぎじゃ!」


全然食い止められてなかった。隊長が吹き飛んだエネルギーの時を止めていたのだ。


ソウシ「フィールド展開『黒曜の月』。…よし、ウルウ。もういいよ」


そして隊長が解除したエネルギーは消えていった。それどころかボロボロになったリングまで元通り。相変わらず時間を操る親子だな…。


ユラ「…ま!勝ったからよし!}


ウルウ「良くないわ!!」


その後、隊長直々に説教を受けた。ステージ5の代償により今にも倒れそうだったがその倒れる瞬間に俺の時だけ戻らされた。地獄か。

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