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【最初の魔法使い】  作者: コトワリ
第3章 最悪の魔法使い
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第五十一話 西と東

あれから一時間、どうやらすべての予選が終わったようだ。予想通りな結果もあれば意外性のある結果もあった。


ウルウ「さて!予選の結果じゃ!李地!スクリーンに!」


李地「もう出していますよ。テンション高すぎです、隊長。」


その会話と共に大きなスクリーンに各グループの予選結果が映し出されていた。


『本選出場者』

Aグループ・ユラ

Bグループ・久慈カタミ

Cグループ・聖花リネ

Dグループ・御手洗ソウシ

Eグループ・雪川メクル

Fグループ・三島タルタ

Gグループ・睦月紫陽花

Hグループ・フクマスク


半分ほどが知らない名になるとは思わなかった。フクマスクに関しては誰も知らない。ただ実力は確かのようだ。そして注目する点はもう二つ…


ユラ「あれ、ケルトとマゴ負けたのか?」


メクル「らしいね。まぁ三島と睦月さんは強いからね。」


ユラ「知ってるのか」


聖花「ふつうは魔警隊員は知ってるよ。あの二人は本部にいてもおかしくない実力だから。私も勝てはするだろうけど苦戦しそう…」


リネにそこまで言わせるのだから本気で強いのだろう。実際魔警で二番目に剣を使いこなすケルトに5属性の力を操るマゴが負けているのだ。もし本選で当たることがあったら手を抜かず本気でやることになるだろうな…。


ウルウ「フクマスクの正体は本選までないしょじゃ!」


李地「さて、それでは魔警最強決定戦予選を終わります。少し休憩が入ってから本選を始めるのですが…ここまで勝ち残った皆さんに一つ情報を与えましょう」


李地さんはそう言って奥の方へといなくなった。


ユラ「なんだ?」


ライ「…このタイミングは優勝賞品の公開だね…」


とてつもなくよどんだ声が下の方から聞こえてきたので見てみるとそこには落ち込みに落ち込んだライがいた。そういえば久慈さんに負けたんだっけ。


聖花「大丈夫、ライちゃんの仇は私がとるよ」


そう言いつつすんごいニマニマしているリネ。今まで負けてたのが悔しいんだろうがその喜び方はどうなんだ、おい。


ユラ「別にリネが倒したわけじゃないけどな」


ライ「そうだそうだ!!」


聖花「いいもーん。久慈さん倒せば実質ライちゃんにも勝ったことになるもーん」


あんまりよろしくない理論を得意げに語っている。能力には相性があるから一概にそうとは言えないのだが。


メクル「お、副隊長帰ってきたぞ。」


李地「お待たせしました。それでは!今年の魔警最強決定戦の優勝賞品を発表いたします。」


ウルウ「わしも知らん」


李地「毎年私が勝手に決めてますからね。そして、今年の優勝賞品は…こちら」


そう言ってスクリーンに映る李地さんの手には青色のきれいな指輪があった。


ウルウ「これはなんなのじゃ?」


李地「これはあらゆる精神干渉系の能力の効果を防ぐ…と思われている指輪です。」


人によってはかなり最悪な指輪だな。俺だと…『糸』の操りとかが効かなくなるのか。まぁあってもなくてもって感じだが保険としてほしい。


ウルウ「思われている?」


李地「はい。少し前アルパチームとメクルチームにより古代の洞窟へと入ることができたとき、中を調べていると見つかったものです。どのような効果があるかわからず色々試してみた結果精神干渉系の能力が効かなくなっていました。この指輪を「スピリットリング」と名付けています。」


ウルウ「なんかちょっと不安な指輪じゃが…それでも効果はすごいの。まだ他にも隠された力があるかもしれんしな!」


そうか…何かほかにあるんなら確かめてみたい。ますますほしい。


李地「その通りです。それでは、これにて予選大会を終わらさせていただこうかと思います。午後から本選をはじめさせていただくので皆様ぜひ、ご覧になってください。そして」


ウルウ「本選出場者たちよ!本選に向けて少しでも気持ちを落ち着かせておくんじゃぞ!それじゃ皆の者!お昼ご飯じゃー!!」



こうして、魔警最強決定戦は一時、休憩になった。


ーーーーーーーーーーー


聖花「んやーあの指輪は欲しいなー」


お昼という事でリネと昼食を食べていた。今日はリネがお弁当を作ってきてくれていたのでそれを食べている。ちゃんと食べれるもので安心した。最近なんか腑抜けになってきている気がするが元はと言えば天才少女なのだ。基本なんでもできる。


ユラ「そう…もぐ…なのか?…うま」


聖花「ちゃんと飲み込んでから話しなよ…」


ユラ「リネには言われたくねぇ」


現在進行形で食いながら話すリネには言われたくない言葉だった。


聖花「うまうま。さすが私。で、指輪はやっぱほしい。精神干渉系は防ぎようがないからね。」


ユラ「まぁ普通そうか。」


精神に干渉してくるタイプの能力の防ぎ方は能力にもよるが基本ないといっても過言じゃない。ただしその能力者よりも多くの能力を持っていた場合、その能力は効かなくなる。とはいえ今の世の中複数能力保持者は中々いない。持っているやつは皆バケモンだ。


聖花「ま、私はユラに常に精神を奪われてるからやっぱりいらないかも。」


ユラ「そうかい」


聖花「そっけないふりして照れてるの好き」


そういうのを口に出すんじゃねぇよ…。

俺は黙ってリネの頭を撫でた。


??「聖花ちゃん、あんた…」


その声に気が付き前を見るとひとりの女性が立っていた。髪色は紫。長い綺麗な髪だった。とても上品な人だなぁというのが第一印象だった。


聖花「よ、アジさん。元気してた?」


??「恋の人なんて…って君は…」


どうやら困惑しているようだがそれは俺もだ。


ユラ「リネ、どちらさま?」


聖花「この人は西側の魔警、『緑光魔警備隊』の隊長さん。睦月紫陽花さんだよ。私はアジちゃんって呼んでる。」


睦月「許可した覚えはないでござんすよ。私はその呼ばれ方、あんまり好きじゃないんやから。」


不思議な話し方の人だな…。


睦月「何ゆえこんな場所で…はしたない…」


聖花「誰もいないんだからいいでしょ。あ、アジさん。この人は私の恋人のユラだよ。さっき予選で見てたでしょ。」


ユラ「よ、よろしくお願いします…」


睦月「あら、ちゃんと行儀の正しい人じゃありませんか。少し安心したでござんす。」


聖花「私が行儀悪いってか、あん?」


睦月「他様に見せるような真面目な聖花ちゃんの方が私は好きでありますよ。ユラさん。この子はひどくわがままでしょうがよろしくお願いしますよ。」


ユラ「えと…はい。ところでリネとはどういった…」


聖花「親…みたいな?」


睦月「そうでござんすね。聖花ちゃんの親代わりに少しならさせていただいているものでござんす。」


ユラ「お、親!?」


これは、娘さんを僕にください演出ができるのか!?


睦月「とはいえ衣食住の世話をしていただけで親らしいことは一ミリもしてないですがね…。」


聖花「一応はありがたく思ってるよ。おかーさん」


睦月「聖花ちゃんにはしっかりとした母親がいたんでございますがね…詳しいことは聖花ちゃん本人から聞いてあげてください。それじゃあ私は邪魔にならないよう去るとします。じゃあね、聖花ちゃん。」


聖花「んー」


少し歩いたところで睦月さんは止まって振り返った。


睦月「本選じゃ、手加減はしないですからね」


そう言って睦月さんはいなくなった。なんか…情報量が追い付かないな。わからん、わからねば。


聖花「…私の両親に関してはまた今度話すよ。アジさんは私の親同然ってのはホントの…ってどうしたの」


ユラ「娘さんを僕にくださいがしたかった。」


聖花「もう私はユラのものだよ。」


真顔で言えるのだから恋愛慣れしてるようにしか見えないがこれがリネだ。


ユラ「そういえば緑光(りょくこう)魔警備隊って聞き覚えなかったな。」


聖花「ここの魔警は『魔警備隊本部』ってのが正式名称。そんでもって魔警備隊は西と東、そして南に大きな監獄。この四つが魔警のすべてなの。西はさっき言ってた『緑光』。東は『(あけぼの)魔警備隊』

そして南の監獄が『天地魔警監獄所』。略して魔監獄。」


ユラ「ぜんっぜん知らなかった…。なんか世界が広まったわ…」


そんなに大規模だったのか…。魔警備隊がなくなったら世界は大きく変わってしまいそうだ。


聖花「西の隊長と東の隊長が集まってることなんてそうそうないよ。まずウルウ隊長が会おうとしないもん。」


ユラ「待った、東は誰なんだ?」


聖花「三島タルタ。東最強の男だよ。私はあんまり好きじゃない。ユラは好き。」


ユラ「腑抜けたな、リネ」


聖花「腑抜けないほうが好き?」


ユラ「どっちも好き。」


聖花「もう…」


東最強だか西最強だか知らないが愛する人が見ているんだから勝手やろうじゃないか。愛情ってのもまた最強の一つなのだから。

やっちまったこと

・睦月さんのしゃべり方。やばい。どうしたらいいんあれ。

・ユラと聖花をいちゃいちゃさせすぎ。まぁ…いいっちゃいいんだけども。

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