第四十六話 予選決め
8月7日
今日は予定通り魔警最強決定戦が行われる。場所は魔警が所有している超大型ドーム。を、李地さんがさらに改造してより能力による攻撃に耐えられる場所となっているらしい。まさに今日のためにあるような場所だが普段は魔警の訓練場所になっているらしい。めちゃくちゃ広いので何チームでも入れてしまうそうだ。相変わらず能力関連の場所は馬鹿みたいに広いなぁ。
なんて思いながら俺はそのドームに向かう前にリネのいる隊長の部屋へと向かっていた。
着くとドアが開き、ちょうど間木ちゃんが出てきた。
間木「あ、ユラさん!久しぶりですね。」
ユラ「おう。リネいるか」
間木「はい。毎晩毎晩ユラさんの話しかしてこない聖花リーダーならいますよ。」
そこにはリネへの憎悪を感じるが気のせいだろう。
間木「珍しくちゃんと起きたんですよ。今日が楽しみだったんですかね」
すると次は隊長が部屋の中から出てきた。
ウルウ「楽しみ、というかリベンジのために燃えてるんじゃろう。毎年聖花はライのやつに勝てていないからの。さっき見てきたが引き締まった顔で準備しておったぞい。」
間木「そういえば毎年負けてましたね。能力の相性的に仕方ない気がしますが…」
ウルウ「戦いに仕方ないもないわい。今回は聖花は本を手に入れたからの。きっと勝てるだろうて。…まぁ優勝は難しいかと思うがの」
そう言って俺の方を見てきた。
ユラ「俺でも勝てるか危ない人も出ますけどね」
ウルウ「ユラも出ると思うぞ、と言ったら食いつきおっての。仕方なく出場させたのじゃ。はぁ…ランキング一位が大会に出てどうするんじゃ全く…。それじゃあわしは司会なのでな。準備してくる。頑張るのじゃぞ。」
ユラ「はい。」
ウルウ「間木もじゃぞ。ユラなんて倒してしまうんじゃ。」
間木「わかりました!」
なんかリネへの憎悪が俺にまでいきわたっている気がする。
そしてさっき話題に出ていた人物が現れた。
聖花「…」
本気で勝ちに行っているのか、何もしゃべらず険しい顔だった。髪はしっかり動きやすいようにおだんごになっていた。
ユラ「リネはどんな髪型でも似合うな。」
聖花「…!?ゆ、ユラ!?え、えへ、そ、そうでしょ…へへ…」
間木「あぁ…クールな聖花リーダーが…。ユラさん…ちゃんと責任はとるんですよ。」
ユラ「もちろん。それじゃ行こうか。」
そうして俺たちは会場へと向かった。さっきまで険しかった顔が嘘のようににっこにこになっているリネを見て間木ちゃんがすっごい呆れた顔をしていた。
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会場に着くととんでもなく大勢の人がいた。魔学校での大会なんて比じゃないほどに。
ユラ「すっげぇ…」
聖花「いつもよりちょっと多いね…。」
間木「そうですね。やっぱりソウシさんが出場するからでしょうか?」
聖花「まぁ挑戦したいやつらは山ほどいるだろうからね。よし、じゃあブロックの確認とバンドもらいに行こうか。」
ユラ「バンド?」
聖花「うん、まぁ見たらわかるよ。」
リネに連れられるまま受付所まで来た。
受付の男性「聖花さんと間木さんと…ユラさんですね。ではこちらを。」
そう言って腕に輪っか状の電子機器をつけられた。そこには小さなモニターが付いており、まだ何も映し出されていないようだった。
受付の男性「時間になったら指定のブロックが映りますのでその場所に向かってください。聖花リーダー、今年は勝てるといいですね」
聖花「もう負けませんよ。応援よろしくお願いしますね。」
相変わらずの営業スマイルでその場を去った。バンドはついていても違和感はないほど軽く、戦闘では気にならないだろう。
ユラ「それで…このバンドってのは?」
聖花「説明したいのですが少し人がいないところがいいですね…。会話がしにくいので。」
間木「あ、クロンリーダー!聖花リーダー。私離れますね」
聖花「わかりました。お互い頑張りましょう」
間木「はい!絶対勝ちますから!」
やっぱりなんか…いや気のせいだろう。確かに毎夜のようにどうでもいい話を上司にさせられたらそりゃイラつくだろうが気のせいだろうな。
そして俺とリネは移動を始めた。リネは魔警の有名人なのでさっきから結構視線が集まっている。俺もほとんど一応メクルチームの一員という事で視線を感じるが圧倒的にリネの方が多いだろう。
少し歩き、あまり人のいないところへと行くと…
メクル「お、ユラと聖花さん。」
ライ「よー!」
メクルとライがいた。
ユラ「よ、ケルトとマゴは?」
ライ「ケルトはレイさんのところ。マゴちゃんはコンちゃんが来てるらしいからそっちにいったよ。」
コンか。少し懐かしい名前だな。
聖花「コンちゃん来てるんだ。あとで会いに行こ。」
ライ「あ、聖花さん!」
聖花「やっほ、我がライバル。少し話そうか」
ライ「もちろん」
ライバルと言いつつも仲良く話している。長くから二人は魔警で強い部類に立っていたからだろうか何か共感できるところがあるのだろう。リネが話していて一番楽しそうにしているのはライな気がする。
ユラ「ということで大会について教えてくれ」
メクル「どういうことかはわからないけど暇だからいいぞ。」
そうしてメクルは何やらこの場所の地図のようなものを出して説明してくれた。
メクル「まず、こんな大勢から最強を決めるためにふるいにかけるところから始まるんだ。つまりは予選だな。このバンドにAからHまでのアルファベットがランダムに映る。8つに分かれることになるんだそ8つの各予選を一位で勝ち残ったものが本選に出場する。そこから魔警最強大会の始まりさ。まずこの大量にいる実力者の中から8人、強者が出てくる。そしてそこからはトーナメント制さ。そのトーナメントを勝ち残った者こそが真の優勝者。ってとこかな。ルールとしては武器の持ち込み以外は大体許されてる。能力で生み出した武器はOK。魔本も大丈夫。僕も今年は本を手に入れたから優勝したいところだね。」
そう言ってメクルは本をさすった。
ユラ「なるほどな…じゃあもしかしたら予選でランキング一位に…」
メクル「可能性はあるね。そしたらもうどうしようもない…ってことにならないようソウシさんは今回能力一つで出場らしいよ。まぁそれでも十分勝てる気はしないんだけどね」
ユラ「へぇ…?」
能力一つ?それでも本を使うのは大丈夫だからきっと普通に強いだろう。さすがにフィールド能力なんかで来られたらまた全力を出す羽目になる。それを予選で使いたくはない…。8分の1か…。
アナウンス「あーあー…マイクテストマイクテスト。よし。それじゃおぬしら。これより魔警最強決定戦の予選の組み分けをさせていたただくぞい。その前に自己紹介じゃな。」
その時、観客席の大きい四角い箱が大きく開き、中から見たことのある二人があらわれた。
ウルウ「わし!と…」
李地「私、副隊長の李地が実況させていただきます。」
観客席と出場者たちから大きな歓声が起こった。観客席には魔警という世界最高峰の能力者警備隊の最強を見に来ている野次馬に、全世界にはびこる魔警から最強を決めるという事で古今東西から実力者が集まっている。その歓声は思わず声を出している者たちも耳を塞ぐほどだった。
李地「毎年毎年ありがとうございます。今年も盛り上がっていますね。」
ウルウ「そうじゃなぁ!毎年これがわしの大きな楽しみじゃからわしも大盛り上がりしておるぞい。」
李地「今年はあのランキング一位のソウシさん。さらには去年出場しなかったライさん。そしてメクルチーム期待の新星、最初の魔法使いのユラさんまで出場しています。果たして今年は誰が優勝するのか。」
ウルウ「李地がこんなに話すのも珍しいの。さて、それじゃあそろそろチーム分けを決めて行こうかの!」
李地「はい。では出場者の皆様、腕のバンドにご注目。」
するとバンドのモニターが映り、ドラムロールが鳴りだした。そこに映し出されたのは…
『A』
Aグループ。ということだろう。ソウシさん、いないといいなぁ…
ウルウ「決まったようじゃの。…ん?なになに…ほう。皆の者。今出場人数の統計が終わったらしいぞ。
今年の参加人数は約4万人…よんまん!?」
李地「去年の二倍じゃないですか…。」
よ、四万…とんでもない数じゃな…思わず隊長の口調になってしまうほど驚いてしまった。
ウルウ「さて、今年の優勝候補、実力者たちのグループ発表は毎年恒例、やらせてもらうぞ」
すると大きいホログラム映像が空中に映し出された。…未来になってる…。でも多分きっと全部李地さん。
Aグループ・ユラ、レイパー、
Bグループ・菜歌ライ、久慈カタミ
Cグループ、聖花リネ、阿河羅アルパ
Dグループ、御手洗ソウシ、磁川ジゲル
Eグループ、雪川メクル、バレル
Fグループ、三島タルタ、志賀崎ケルト
Gグループ、睦月紫陽花、梨花先マゴ
Hグループ、フクマスク
つっこみたいところが多いが…
とにかくメクルチームの一員に恥じない成績を残そう
苗字、忘れてた




