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【最初の魔法使い】  作者: コトワリ
第3章 最悪の魔法使い
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第三十七話 限界点と臨界点

ユラ「龍は炎を!死神は物理攻撃!」


俺の声に合わせて二つの大きな力は動き出す。すべてを焼ききれそうなほどのブレスはソウシさんを襲う…が、能力『黒曜の月』によって攻撃は通ってもなかったことにされてしまう。


ソウシ「強大な力だ…。だが僕の能力の前ではどんな圧倒的な力も無意味だよ!」


死神の鎌による攻撃も少しよろけただけで避けてしまった。


ソウシ「よっと」


ソウシさんは少し死神の鎌を引っ張った。するとフィールド能力の力が発動する。真逆の事が起きるため、死神は少し引っ張られただけなのにすごい勢いで飛ばされてしまった。

そんな隙も逃すまいと俺は近づき攻撃をしていたのだが…


ユラ「化け物だな」


ソウシ「お互いさまだよ」


避けられてしまった。全身に目でもついてるのかよ…。能力自体も強いがこの人自身の身体能力面も半端じゃない。的確にその時一番優れた力の方向、使い方をしてくる。長年の経験が出ているんだろう。

だが、経験という場では負けてられない。


ユラ「炎流六閃 業火爆千!」


爆発する無数の炎の斬撃を飛ばす。だが当たってもすぐさま回復していく。真逆の事が起きていく。


ソウシ「わからないのか?この攻撃も、結局は回復する。意味がないよ。」


その通りだ、ここまで力のすべての攻撃をしてきた。

狙い通りに…!


ユラ「ふっ!」


俺はできる限り最小限の力で叩いた。


ソウシ「ぐっ!?」


ソウシはその時初めて苦痛を受けたような顔をした。やられっぱなしじゃないんだよ!


ユラ「真逆になるんだろ?それはソウシさんも変わらない。弱い攻撃をすればその分強い攻撃になる。」


ソウシ「さすがだ…。その思考に行くものはいたが実際できたものはいなかった。どうしても力が入ってしまうものなのに。器用だね。」


ただ…さっきソウシさんは真逆の力を外すこともできると言っていた。反射神経の化け物みたいなソウシさんにはもう通用しないだろう。今ので倒し切れていれば…。


ソウシ「だが、もう策はないようだね…。魔獣たちも立ち尽くしてしまっているじゃないか。」


ユラ「ここからだよ、ここから…」


ハッタリをかますが本当にもう策はない…。すべてがなかったことにされてしまう。真逆に…俺の炎も真逆の…ん?

真逆になるんだよな…?


ソウシ「僕の魔獣も見せようか。」


ユラ「なんだって…?」


そうか、この人もステージ4に!?


ソウシ「ステージ4」


ソウシさんがそう言った瞬間、後ろに大きなフクロウが現れた。


ソウシ「さぁ、やってくれ」


フクロウはその大きな翼を動かし、羽を飛ばしてきた。


ユラ「羽…?その程度なら…」


構わず進もうとするとその羽が俺の頬を切った。


ユラ「…!龍!俺の前へ!」


その声で龍は俺の前へと移動する。あの羽、切れ味がおかしい。そこら辺の刃物なんかより切れるぞあれ…!

なんにせよ、このままじゃじり貧だ…。龍もいつまでも耐えられるわけではない。さっき考えたことをやりたいが…


ソウシ「これで終わりだな…。フクロウ。やってしまえ」


ユラ「やらせるかよ!死神!掻っ切れ!援護する!」


ソウシ「まだやる気か…?」


死神はフクロウの羽を切った。フクロウはよろよろと落ちてきた。


ユラ「グラティカル・ワン」


フクロウを中心に全方向から重力を浴びせる。フクロウは大きく声を上げて消えていった。


ソウシ「あらら…。やるね」


ユラ「そりゃどうも…」


だがもう俺の龍も死神も限界だ。そう思い、俺は二体を本へと戻す。


ソウシ「もうおしまいでいいかい?」


いつでも決着をつけられるだろうに余裕を見せてくる。こんなにも勝てないと思ったのはかなり久しぶりだ。負けを認めるか?

答えはもちろんNOだ。


ユラ「最後に、いいか?」


ソウシ「もちろん。来なよ」


ユラ「その言葉、後悔するなよ」


俺は能力の準備を始める。「四つ」の能力の同時使用の準備を…。この技は俺が80年で編み出した最高の技だ。これ以上はない。複数の能力の同時使用…。威力はすさまじく、ぶつける相手がいなかった。というか使うことになるなんて思っていなかった。ステージ5の火力はそう思わせるほど、最強だったのだ。だが、現に今ステージ5の力でも勝てる気のしない相手が出てきた。


ユラ「耐えてくれよ、最強」


ソウシ「…?」


本来能力を複数使おうとすると、大量の体力を奪われるが俺は本の特典でそのリスクはない。だが複数の使用は疲れるのだ。同時に四つの事をしようとしているようなものなのだから。例えば本を読みながらゲームの周回をして、その上アニメを見ながら英語を聞く。頭が混乱してしまう。

だからこれをものにするのには本当に時間がかかった。

それを見せられるのだ。少しわくわくしている。


ユラ「いくぞ」


ソウシ「あぁ、来ると…


言い切る前には、俺はもうソウシさんの前にいた、いやもう攻撃へと移っていた。


ソウシ「…!?」


重力の力で一気に近づき、さらに重力を相手にもかけて絶対に避けられないようにして

水の力による推進力で速度を上げ、実質的に火力もあがり

闇の力による強大なその攻撃力を最大まで拳にまとわせ

炎の力でその最高の力を、速度を、限界まで補強する。

これが俺の必殺技


ユラ「黒重邪炎鏡水(こくじゅうじゃえんきょうすい)!!!」


ソウシ「ぐっ…最後の切り札と言ったところかっ!?だが、その強大な力…も?」


ユラ「はぁぁぁあああ!!!」


ソウシ「なんだ…!?!?」


俺はその左手をソウシさんにぶつけ続ける。『黒曜の月』により治っていく速度よりもさらに早く削り取っていく。


ソウシ「なぜだ…!?ここまでの攻撃、能力で逆にユラ君自身に反射されていてもおかしくないはずなのに…!なぜだ!」


ユラ「知るか…よぉおおお!!!」


そして、その拳は本来弾かれるはずだった力さえも弾く。本来回復するはずの傷をも増やしていき、俺は殴り飛ばした。


ソウシ「ごはっ…ぁあ!!」


ユラ「はぁ…はぁ…」


さすがに…勝ったろ


ソウシ「『臨界点』!!」


ユラ「あ?!」


ソウシ「ふっ…はっはっは!この能力を使ったのは君が初めてだ!能力『臨界点』。ある一定のダメージをくらうと発動してすべての傷を癒し、さらに身体能力、肉体強化までされる。ここからが僕の第二ステージというわけだよ!さすがだ、ユラ君。これは僕の負けだよ」


…勝手に終わらせないでもらいたいね


ユラ「ソウシさん…知らないんですか?」


ソウシ「え?」


ユラ「俺は腕二本あるんですよ?」


ソウシ「そ、そうだね。見ればわか…はっ!?」


ユラ「最高火力なんだからもう一発撃たなくてどうするんですか!!!」


俺は力を貯めていた「右手」の方をソウシさんに向けて放った。さっきの攻撃は左手だ。


ユラ「もう一回だぁぁぁああ!」


振りかぶり、俺は

重力の力で一気に近づき、さらに重力を相手にもかけて絶対に避けられないようにして

水の力による推進力で速度を (以下省略)


これが俺の必殺技だぁ!


ソウシ「な、なにぃいいっ!?」


さすがに二回も来るとは思っていなかったのかソウシさんはびっくりするぐらいのびっくりする顔でその攻撃をくらった。多分死んでないと思う。

長くも実際は短いその戦いは、俺の負けず嫌いで終わった。

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