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【最初の魔法使い】  作者: コトワリ
第3章 最悪の魔法使い
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第三十二話 かっこよすぎるだろ

ユラ「由井月…サラ」


その名前に聞き覚えはなかった。本当に裏で俺たちの事を助けていてくれていたんだという証拠だろう。そして、能力は『氷』…。確かに少し疑問ではあった。思いつく限りの中で氷の能力がないことが不思議だったのだ。闇とか光とかがあるのならば常識的な氷があってもおかしくないというのに。結構長くからのちょっとした疑問が晴れてすっきりした。


花形「ご期待に沿える答えでしたかね?」


ユラ「はい、ありがとうございます。思っていたよりも情報が手に入りました。」


花形「それは良かった」


俺はこれ以上この場所に用はないので帰ることにした。もうかなり夜更けだし。

花形さんは最後まで親切な方で、帰りまで見送ってくれた。


ユラ「それじゃあ…本当にありがとうございました。これ…」


俺はそう言って水森さんから借りていた高級そうなカードを返そうとした。


花形「いえ、こちらはユラさんが持っていていいですよ。いつでもきてください。私はあなたの味方です。」


力強い言葉で、頼りがいのある笑顔でそう言ってくれた。俺は一人じゃないんだと他人から言われた気がした。自分に言い聞かせるときとは遥かに違うその言葉の重みに俺は何とも言えない感情に陥った。



俺が魔法書館から出て、魔警に向かおうとしたら最近よく見る顔がいた。


ユラ「よう…。なんか最近よく会うじゃねぇか」


エル「…情報は手に入った?」


ユラ「まぁな」


花形「ユラさん!彼女と…後ろのものは…」


エルとその後ろに馬の顔がついた人と切り込みの入った球体の乗った人の何かがいた。

…ちょっと前から思ってたんだがこいつらって…


ユラ「エル、その人の形をしたやつ…。もしかしてチェスでも意識してるのか?」


エル「らしいよ。名前は『ピース』だってさ」


と、いうことは…ナイトとビショップってとこか


花形「なんだかわかりませんが…敵、なんですね?」


ユラ「はい。今魔警でのトップレベルで捕まえたい敵です。その分強いですから花形さんは魔警に助けを…」


花形「ほほほ、ご冗談を。」


ユラ「え?」


次の瞬間、花形さんは一気にナイトに近づいて蹴り上げた。地面に落ちてきたときにはもう動かなくなっていた。


ユラ「い、一撃…」


花形「私、一応ランキング4位なんですよ?舐めてもらっちゃ困りますね」


4位!?めちゃくちゃ強いじゃないか。しかも能力を使っている様子はなかった。『ナンセンス』っていってたか、能力名。全くどんな能力か想像できない…


花形「私はビショップの顔をした方をやります。ユラさんはエル、というお嬢さんをお願いしますよ」


ユラ「わかりました!気を付けて!」


花形「お互い様ですよ」


そうして花形さんはビショップに向かってまた蹴りを浴びせに行った。だがナイトよりは強いようで避けられてしまっていた。だが多分負けはしないだろう。そんな雰囲気を花形さんは持っている。

さて、そろそろ自分の相手に向き合わなきゃな。


ユラ「エル、今日は何の用だ?」


エル「…余計な情報を消せってゼンツが。」


目的は魔法書館だったのか。それで丁度俺が行くタイミングと合わせてついでにやろうとしたんだな…


ユラ「もう何度目だよ…。そろそろ決着つけようぜ。」


エル「毎回そのつもり」


そうしてエルは俺に向かってきた。正直まだ互角なんだよな…


エル「《カマエル》!」


確かこれは肉体強化…!ステージ3でも防げない


ユラ「その技は強いが予測はできなくなるんだったよな!?」


エル「!?」


エルが予想できないであろう攻撃を与える。それでいてよけれない攻撃を。


ユラ「グラフィネット・セカンド」


エルに、そして俺にも重力を付与して強打を与える。確実に入る攻撃。こんな簡単に決着がつく相手ではないのだが。


エル「ぐっ!!」


エルは自分の攻撃の軌道を無理矢理曲げて俺の攻撃を相殺してきた。予測はできなくても素の反応速度はリネ並みだな…


エル「やるね…」


ユラ「そっちこそ」


エルは一息ついてからまた攻撃をしてくる。基本的な能力は全て見たので対処はできる。だが簡単ではない。少しでも遅れれば致命傷をもらってしまう。


エル「《ミカエル》!」


光り輝く剣を作りだし、俺を攻撃してくる。少し前よりかは太刀筋がよくなったか?それでもやっぱりまだ剣は使いこなせてないようだ。今がチャンス。


ユラ「ステージ5!」


俺は龍が変化した剣を握り、一気に勝負を決める。ステージ5を連発することはまだできないが使った後の後遺症は減らすことができた。倒れることも一時間寝込むこともなくなった。


ユラ「炎流四閃・極 鬼華羅師!!!」


花の形をした炎の斬撃が優しくも確実に必要以上の火力でエルを包む。そろそろこの戦いにも決着を…!


攻撃が終わり、倒れているエルが姿を見せる・・・



と、思ったが…ゼンツが余計なものを送ってきていたようだ。


エル「やっぱり剣…ダメ…」


そこにはチェスのクイーンの形をしたものがいた。見たらわかる。あれはヤバい。

ほかのナイトやビショップとは別格だ。

クイーンはエルを抱えた。逃げる気だろう。

花形さんを見るがまだ戦っていた。あっちには期待できない…


ユラ「くっ…もう体がほとんど…」


ステージ5を使った後はほとんど体が言うことを効かない。能力は使えるがその使う体が動かないんじゃ意味がない。


エル「あ、もう帰るから安心し…」


聖花「あのときはよっくっもっ…!」


クイーンに抱えられていたエルだけがリネのドロップキックで吹き飛んでいった。クイーンが突然の事に慌てている。そりゃそうだろう。俺だって今困惑してるんだ。そんな綺麗にエルだけ吹き飛ばせる?ちょっとエルが可愛そうなレベルでもろに直撃していたが…


ユラ「り、リネ…?」


聖花「あ、ユラ。ほら。私の本。見つけたよ」


そういってリネは自分の本を見せてきた。

…かっこよすぎるだろ、登場が。

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