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【最初の魔法使い】  作者: コトワリ
第3章 最悪の魔法使い
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第三十話 特定能力専用魔本

李地「この化け物は魔学校で攫われたカンという放送委員が暴走した状態で何らかの能力によって改造された人間です」


副隊長に呼ばれて俺とリネは研究室に来ていた。そしてドッジボール大会で現れた化け物の正体について説明してもらったのだが…


ユラ「ちょ、ちょっと待ってください。一気に話しすぎです。えーっと…」


聖花「要するに…一般生徒が改造された…ってことか」


李地「まぁ簡単に言ってしまえばそうですね。ユラさん、暴走、または人間を改造できる能力者を知っていますか?」


ようやく理解が追い付いてきた。だが人間を改造…。一瞬ゼンツが思いついたがあいつは生きているものを改造する能力のはず…

一応言っておいた方がいいか

俺はゼンツの事について話した

この話はまだ隊長にしか伝えていない。国を滅ぼした黒幕だったから報告したのだ。まだ広めないほうがいいと考え、隊長にしか言っていなかったのだ。隊長もそう言っていた。


李地「なるほど…ゼンツさんですか。確かに一番可能性がありますが生命活動しているものには作用しないということなら関係ないかもしれませんね。」


聖花「…多分だけど、暴走状態だともしかしたら死んでいる、って判定になるのかも」


リネが副隊長の話を遮って話した


ユラ「リネ?」


聖花「…もう素で名前で呼ぶんだね」


李地「あ、そういえばそうでしたね。おめでとうございます」


ぱちぱちと適当に副隊長は手をたたいた


ユラ「話ずれてるから。はぁ…それで?」


聖花「私、暴走したでしょ?あの時、完全に心臓が止まってた」


ユラ「そうなのか?」


暴走時は心臓が止まる…。俺が『暴走』の能力を使ったときにはそんな感覚はなかった。

俺のあの暴走はまだ疑似的なものなのか…


聖花「うん。多分ね。ただまだユラにちゃんと好きって言ってなかったから「なにくそっ」って思ったらちょっと意識戻った」


李地「…聖花さんが魔警に入ってから私いますが根性の強さだけは変わらず化け物ですね…。私ちょっと怖いです」


ユラ「それは思います」


聖花「ユラまで…」


リネはしょぼんと壁にもたれかかってしまった


李地「とにかくこれで分かりましたね。暴走状態で改造させたのはゼンツということがわかりました。あとは…」


ユラ「強制的に暴走させる手段、ですね。リネはなんか覚えてないのか?」


聖花「うん、覚えてない」


もう少し思い出す素振りくらいしてほしいものだ


ユラ「…そういえばカンはもう大丈夫なのか?」


李地「それが…まだ化け物の姿のままです。いま隊長が時間を止め続けてくれています。化け物自体も昏睡しているのでかなり止められていますがきっと隊長はもう限界だと」


そうだったのか。一回あの後会った時そんな素振りはなかったのに…。もう少し頼ってほしいものだ。


李地「何か戻す手立てを考えていますが…現状壁にぶつかってます」


戻す、という観点では昔から考えていたことがある


ユラ「リネが本をもってステージ2に入れば戻せる可能性があります」


聖花「え?私?」


ユラ「あぁ、俺の予想だがリネの反射の能力はあくまで自分にしか付与できない。そうだろ?」


聖花「…そうだよ。他人には付与できない。私の『反射』ができることは二つ。あらゆるものを反射させる力、反射の力同士をぶつけて身体強化する力。その二つ」


身体強化…。反射と反射をぶつける。かなりの芸当だ。俺のやる矛盾を引き起こして能力同士をぶつけるのとは違う、純粋に混ぜた力か。


ユラ「そこに本を持てば他人にも付与できるはずだ」


聖花「…それができたら私最強になっちゃう」


李地「なってもらった方が魔警副隊長としては安心ですが」


ユラ「その力をカンに付与すれば反射で戻らないかなーって」


李地「ふむ…まぁ悪くはないですね。考えとしてはいいです。問題は聖花リーダーの本を見つけなければいけませんね。」


結局そこだ。俺の時代の本は洞窟にあったりそこらへんに落ちてたり…。ただ今の時代の本、というものの価値を知っておきたいな…


ユラ「副隊長、本について現時点で分かっていることを説明していただけませんか?復習を含めて。」


李地「いいですよ。学生さんですものね、今の二人は。それらしく教えましょう」


そう言って副隊長は手をたたいた。その瞬間、黒板が宙に現れ机と椅子が二つずつ現れた。

相変わらずおかしい研究室だな…


李地「説明しよう」


聖花「あ、私も言いたい」


李地「あなたは残念ながら生徒です」


聖花「くっ…」


ユラ「何言ってんだあんたら…。早く説明してくださいよ…」


そうして李地さんは説明を始めた


李地「正式名称は「特定能力者専用魔本」。名前通り個人専用の能力を強化できる本です。できることは主に三つ。【能力の強化】【魔法の情報開示】【能力の複数保持】。能力の強化についてのステージは10段階。『ステージ1・能力取得』『ステージ2・能力追加、強化』『ステージ3・覚醒』『ステージ4・魔獣召喚』『ステージ5・魔獣武器化』6以降はわかりません。現時点で5まで到達しているのはユラさん、そして一位のソウシさんですね」


一位…話によれば確か魔学校エルと化け物にされたカンを倒したということだった。その後は真のところにいるらしい。今度会いに行ってみるか


李地「魔法の情報開示は能力についての情報が不定期でページ上に現れる。情報源は不明。能力複数保持はその名の通り。能力を渡したい、もらいたいという条件で能力を受け渡せる。例外として能力者が死んだ場合その能力は近くにいたものの本に入りこみます。」


…殺して能力を奪う、そんな奴は今の時代にはいなくてよかった。


李地「そして次に本の入手方法に関してですが昔、ユラさんの時代は自然に生成されていたようです。どうしてかは謎ですが。今は作ることができます。」


ユラ「そうなのか!?」


李地「はい。魔本生成者が作っています。現時点では一週間に一冊のペースで作れています。ただ誰が本に適正かは完全ランダム。いちいち判断もしてられないのでそこは能力判断師が能力を見る能力『世界の観測』で見るついでに適正者を探しています。」


真の能力初めて聞いたな。そんなかっこいい名前だったのか。


李地「なので聖花リーダーに適正する本ができるまで待たなければいけません。が、そこまでに隊長が持つとも限らない」


聖花「なんか私が本持ってなくてごめんね…」


ユラ「リネは悪くないよ。…ちなみに全部の本確かめたのか?」


聖花「確かめてない。リーダーはちゃんと調べなきゃなんだけどめんどくさくて」


ユラ「お前が悪いな」


聖花「手のひら返しがひどい」


李地「まぁ聖花リーダーには自分の本を探ししてもらいましょうかね。普通やらなければいけないことなんですが…」


聖花「だって何千冊とあるんだよ?花の十六歳が終わっちゃう。」


ユラ「本で不老不死かできるぞ」


聖花「行ってくる」


そう言って聖花はすごい勢いで走り去っていった


李地「現金な人ですね」


ユラ「ほんとですよね」


リネは素直なんだがまっすぐすぎるんだよなぁ…。そこも可愛いのだが


李地「まぁ本の説明に関してはこんなものですね。」


ユラ「よくわかりました。ありがとうございます。」


本を作れる人物がいる。今度会いに行こう。行くところがたくさんあるなぁ…

そういえば…


ユラ「副隊長、国立魔法書館ってどこにありますか?」


李地「ここから車で20分くらいです。一般魔法なら10分ほどで行けると思いますが…何か用事があるんですか?」


ユラ「少し調べものを」


李地「あそこならユラさんがいた時代の文献もあるでしょうしね。何か新たにわかることがあるかもしれませんね」


ユラ「はい、それじゃあありがとうございました。もう行きます」


李地「あ、最後にちょっと」


ユラ「はい?」


李地「聖花リーダーの話ですが、あの人昔は疑心暗鬼でしてね。人を中々信じず、よく一人でいました。そんな聖花リーダーが人を好きになる、というのは昔を知っているものからするとあり得ない話だったのです。だから…」


ユラ「わかってます。決して悲しませたりさせません。」


李地「…なら、よかったです。引き止めてすみません。それでは」


そう言って李地さんは研究室の奥に行った。李地さんが笑うところは初めてみたかもしれない。人の事を気にしてないように思ったが思いやりのある人だったんだなと考えながら俺は用事のある場所に向かった。


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