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【最初の魔法使い】  作者: コトワリ
第3章 最悪の魔法使い
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第十九話 しっぽ

 俺は一人、人の少なくなった校舎の仲を歩いていた。もう試合が始まるんだろう。さっきからどんどん人がいなくなる。俺が歩く方向の逆方向をみんな歩いていく。

さっき感じた違和感、それを確かめに俺は一人廊下を歩く。そして、自覚する。その向かう方向からの圧を。だんだん足が重くなる。その先に何が、誰がいるかもわからないというのに。


クロ「これが…」


俺は周りの人の気配をしっかり確かめながら炎による変身を解く


ユラ「これが…長年の勘ってやつなのかもな」


別に能力は使っていない。だが感じるのだ。

俺はその部屋の前に立つ。


『放送室』


…さっき聞いた放送、その放送は一日目のものとは違った。最初の咳、何分後に始まるか言わずに集合させる。そして…違和感。その声には何か…独特の憎しみのようなものが。


ユラ「考えていても仕方ない、確認しなきゃな」


俺はその扉を開いた。カチャ、とすんなり開いたがそこには…

二人の生徒が縄で縛られていたのだ。口にもガムテープが貼られている


ユラ「だ、大丈夫か!?」


俺は慌ててその二人を開放する


男子生徒「カンが…カンが連れ去られたんです!」


縛られていた縄、ガムテを取ってやると突然男子生徒は叫んだ


ユラ「待て待て、こっちの子も助けてからだ」


もう一人は気の強そうな女子生徒だった


女子生徒「ぷはっ…し、死ぬかと思った」


男子生徒「僕もだ…」


その二人の名前は男子生徒の方は鈴木、女子生徒はマヤといった


マヤ「ありがとうございます…助けていただいて。この学校の生徒…ではないですよね?」


ユラ「あぁ、関係者ではない」


鈴木「誰にせよ、ありがとうございます…」


ユラ「おう…それで、カンってやつがどうしたって?」


鈴木「そう!そうなんですよ、聞いて下さい!」


聞いた話によると試合が始まることを放送しようとしたら突然髪の長い男がドアを勢い良く開けてその場の放送部三人を脅したらしい。そして鈴木とマヤだけ縛り上げてカンというもう一人の放送部員を連れて行ったらしい。


ユラ「なるほど…状況はわかった。」


男…エルではないな。ならもう一人のほう?それとも何も関係ない何か別の事件か?なぜ放送部を襲ったんだ…


マヤ「…結局あなたは誰なんですか?」


俺が悩んでいると突然マヤが俺に疑問を投げかけてきた


鈴木「ちょっ…マヤ!」


マヤ「だって…失礼ですが怪しいですよ、あなた。なんで関係者じゃないのに学校に入って放送部なんかに来るんです?」


鈴木「助けてもらった人に失礼だろ!」


マヤ「だって…」


ユラ「そうだな、もっともだ。悪かった。これで納得してくれるか?」


そうして俺はポケットからある一枚のカードを出す。魔警でのメクルチームメンバー証明書。「メンバーカード」と呼ばれている。自分が魔警に所属しているという証明のカードだ


マヤ「あぁ…魔警の方で…えっ!?」


鈴木「め、めめめ…メクルチーム!?」


ユラ「おう。新人なんだ。」


そう言いながら俺はこの部屋に残されたものがないか探る。『意思』の能力で残った意思を感じ取れたりするかなと思って使ってみたがわからない。せいぜいこの隣の二人がめちゃくちゃ驚いているということぐらいしかわからない


ユラ「さて…と。じゃあ俺はもう行くよ。カンってやつの事は任してくれ。きっと助ける。」


マヤ「は、はい!頑張ってください!」


カード一枚でだいぶ態度が変わったな。


鈴木「メクルチームということは三日目にも出るんですね!頑張ってください!」


ユラ「いや、俺は出ないぞ」


マヤ「あれ、そうなんですか?」


ユラ「あぁ、俺は情報集めるのが基本だからな。能力もそんな感じだ。」


鈴木「能力…あ!そうだ、もう一個言わなきゃいけないことが。」


ユラ「ん?」


鈴木「僕たち、一応この縄を切ろうと能力を使おうとしたんですが…」


マヤ「あ、そうそう!使えなかったんだよね」


ユラ「何?」


能力が使えなくなった?まさか…能力でも取られたか…?」


ユラ「ちょっといいか」


俺はそう言ってその二人の体に触れる。『波動』の能力は攻撃以外にも空間認識、内部把握など様々な分野にも特化した。ここに『意思』の力も加えれば能力の有無ぐらいはわかる。さすがになんの能力とかはわからないが


ユラ「ある…な、能力は」


だがなんか・・嫌な感じがするな


マヤ「でも…あ、私『本を浮かす』能力なんですけど…」


そう言ってマヤは近くの本に念じるような仕草をしたが…本は動かない。

もう一人の男は…まさか能力が封じられる?そんな馬鹿な…


鈴木「伝えたかったことはそれぐらいです。」


ユラ「おう、ありがとう。ほいよ」


俺は波動で二人に巻き付いていた嫌な感じの何かを取っ払った。便利である


マヤ「え…あ、能力つかえる!」


本をふわふわとさせながら喜んだ様子でマヤははしゃぐ。


鈴木「あ、ありがとうございました!ほんとに…!」


ユラ「おう、じゃあな」


俺はそうして放送室の外に出る。するとすごい大声が聞こえてきた。試合が終わったんだろう。

聖花たちは勝てただろうか。


ユラ「やっと出したしっぽだ。しっかりつかんでやるよ。」


俺は手を前に出し、そのまま握るような仕草をしながら誰もいない校舎を歩いた。

あの後…


マヤ「あの人…かっこよかったな…」


鈴木「ユラさん?」


マヤ「なんで名前しってんの!?」


鈴木「書いてあった。カード」


マヤ「無駄によくみてらっしゃる…」


鈴木「そりゃ僕の能力『体の一部をすこし強化』だから。目を強化したんだよ」


マヤ「はぇ…え?あんた能力使えんじゃん」


鈴木「いや…腕を強化しても縄ちぎれなかったから恥ずかしくて…」


マヤ「はぁ…ま、4級だね」


鈴木「人のこと言えないだろ!?」


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