第十五話 能力ドッジ一日目 (2)
司会「さぁさぁ!始まりました!魔法学校4年の部!魔法ドッジボール大会!司会はこのわたくし!道寺路照がお送りいたします!」
本格的に始まった魔法ドッジ大会。各クラス10人ずつで能力ありのドッジボール。
三日間にわたって行われて今日の一日目は一組対二組、三組対四組だ。
司会「では!まずは第一回戦、一組と二組の皆さんグラウンドの試合場へと並んでください!」
司会の指示に従い合計20人の学生が集まる。その周りにギャラリーの後輩先輩の入り混じる学生達。
先生方。そして参加する者たちにとってもっとも大切なギャラリーとなる各企業や魔警関係者。この人たちにアピールするためにもみんな本気でやるだろう。
こっちのチームのメンバーはこの十人だ。
仲間になってくれた黄白
無限の力のガザル
爆発の能力を使うといういつもイライラしている様子の南原ジョウ
沼の能力を使う大柄だが優しい印象の沼芽ゴロン
いつも明るくクラスの主要メンバーのフミ
運次第の能力を使うという尖交環
鬼の能力とは裏腹ないつも元気な性格のタカナ
あまりクラスとは馴染まない草薙ダン
波を操るというこの岩の地面での戦いでどうする気か正直わからない岸崎ニカサ
ニカサ「俺は速攻外野かな…」
ゴロン「…ごめん何もいえないや」
なんか近くで悲しい話が聞こえてきたがまぁ大丈夫だろう
司会「では皆様知っているでしょうが一応ルール説明をさせていただきます!。基本的には一般的なドッジボールと何ら変わりません。当たれば外野に、そして外野が相手チームの内野の敵にボールを当てれば復帰。先にボールを持つのは先にジャンケンで決まっており、二組です。ここまでは普通です。ですがここは魔学校!もちろん各々能力を使ってもらって構いません!
ただし一般魔法は禁止なのでそこはしっかり頭に入れといてください!試合時間は五分間!最終的に内野にいる人数で勝敗が決まります!では皆さん位置について…」
線で定められたその空間を静寂が包む。そして…
司会「スタート!!」
司会の大声とともに試合は始まった。
次の瞬間、二組のほうから豪速球が飛んできた。
ゴロン「うわっ!」
ニカサ「ぐっ…」
いきなりのダブルヒット。そんないきなり!?
フミ「くっ…やらせない!」
だがフミがボールが落ちきる前に滑るように拾った。ボールが地面に落ちる前ならアウトにはならない。
環「フミないす!」
フミ「えへへー」
フミの能力は『猫』。その俊敏さはこのドッジボールではかなりのアドバンテージだろう。
ガザル「いきなり投げてきやがったな…アジマキのやつ」
クロ「知り合いか?」
ガザル「あぁ…。一年前同じクラスだったんだ。あんまりいいやつではないよ。」
言っては悪いが俺もそう思う。なんか顔がそう。第一印象がガザルと一致してなんか安心した。
アジマキ「けっけっけ…。運がよかったなぁ?ガザルよぉ」
ガザル「お前ならやると思ったよ…。フミにすぐ動けるよう言っといてよかった」
フミ「はいよー。この後も指示お願いね」
うちのクラスの司令塔はどうやらガザルのようだ。前落ち込んでいたが今ではライに励まされて元気そうにやっている。
タカナ「よっし!んじゃまぁ二人でガンガンやっていきますか!ガザル!」
ガザル「おう!」
それからは二人がガンガン投げ、ボールを取り相手チームの人数を減らしていった。
司会「おーっと!?一組、いきなりもう猛攻撃だぁーーー!!やはり『鬼』と『無限力』の能力は強い!」
そして4人も倒してしまった。こちらは誰もやられていない。危ない時もあったがフミやダンがうまく助けていた。ダンの能力は移動速度上昇らしくフミのように俊敏に動いていた。
フミ「草薙くんやるじゃん!」
ダン「ふん…。まだ半分だ、気を緩めるな」
フミ「…勝負事だとやる気だね…」
五分間の半分くらいが過ぎた。そろそろ相手方も仕掛けてくるだろう。
アジマキ「やばいな…。仕方ない。二回戦で使うつもりだったが…。おい!照山!」
照山「了解」
次に瞬間、照山と呼ばれた女子が光り輝いた。
ガザル「くっ…眩しい…!?」
アジマキ「はっはっは!今だ!シンジ!」
シンジ「おうよ!」
そして俺たちが眩しがっている間にボールが俺たちを襲う。
タカナ「くっ…!ガザル!ごめん!」
フミ「見えない…!」
ニカサ「へぶっ…」
タカナ、フミ、ニカサの三人がやられてしまった。
このままじゃマズイ。岩で壁を作るか?
いや、やめたほうがいいだろう。敵は前にいるわけではない。さっき外野も倒したから四方八方にいるのだ。逆に逃げ場をなくしてしまう。
黄白「よっと…ごめん!遅れた!」
次の瞬間、俺達全員を囲むように透明な殻ができた。
アジマキ「あぁん!?…赤紫のか!確かもろいのが弱点だったはず!おい!シンジ!『摩擦』の能力で削れ!」
シンジ「こんなのすぐですよ!」
黄白の能力は書いたものの具現化か。中々強いが時間がかかるしそこまで耐久性がないのが弱点だな
黄白「みんな体制整えて!行くよ!」
すぐに透明な殻はなくなってしまったがこっちはもう立ち直った
司会「さぁさぁ!あと一分!二組ここから追い上げなるか!?」
現在ボールは二組に。あのシンジというやつ摩擦でボールをめちゃくちゃ早く回している。
次の瞬間、アジマキが大量に現れた
アジマキ「さぁいけ!残像軍団よ!」
ガザル「まずい…!」
アジマキの作った残像でもうどこにボールがあるか、誰が持っているかわからない
赤紫「だめ、よけれない!」
ゴロン「いたっ」
黄白とゴロンが当たった
ダン「とどけっ…!」
ダンが落ちたボールを取ろうとしたが一歩間に合わなかった。さらに少し触れてしまって落としたのでダンもアウトだ。
ダン「くっ…!すまない」
司会「おーっと!?ここで三人も一組からアウトが!現在四人!対して二組は六人!形勢逆転だぁ!」
残り時間は少ない。ここからの逆転はきつい気がするが…まだガザルは残ってる。
ガザル「ダンがボールを残してはくれた。まだあきらめるな!」
ジョウ「だが当てようにも残像まみれだそ?」
内野にも外野にも残像がまかれている。こんな数残像をばらまけるなんてアジマキとかいうやつしっかり実力があるようだ。
アジマキ「ほーら!はやく投げろよぉ!」
ガザル「くっ…!」
ガザルは投げたが当たったのは残像だった。
アジマキ「はっはっは!残念だったなぁ!」
そうしてアジマキははシンジや外野に投げさせ、ジョウ、ガザルにあてた。
ガザル「ぐあっ!」
ジョウ「うっ…」
生き残ってるのは俺と環だけだ。
残りは25秒。
あまり動けない俺とさっきからよけてばかりの女子。無理か…!?
環「…クロくんだっけ。君、ボールいったん私に渡せない?」
クロ「え…わ、わかった。やってみ…
シンジ「話している暇があるのか?!」
その時ボールが環の顔に当たりそうになった。
瞬間、俺は反射的に能力を使った。
使い慣れていた能力を。
俺は炎を一瞬出してしまい、その速度で環を守りつつボールをとれた。
クロ「(やばい…!?)」
環「ありがと」
その瞬間、環は俺からボールを取り二組のほうへと投げた。
環「えいっ」
その球は決して早いわけでもなく、ふんわりとした誰でもとれるようなボールだった。
アジマキ「けっけっけ!こんなボール簡単に…
とれる、とその場の誰もが思った…が
ボールはアジマキの手に当たりうまく取れず弾んだ。
シンジ「ちょっ…!」
シンジがそのボールを取ろうとするがその手すらもはじく
「あっ…」 「えっ…?」 「うおっ!?」 「わっ!」
照山「あっちょっ…!!??」
ボールはまるで意思を感じさせるような動きで残りの二組全員に当たっていく。
その後、ボールは地面へと吸い込まれ、ぽとん、という音がした。
その信じられない光景にギャラリーは黙ってしまった。
ビーーーーーーーーーーッ!!!!
大きなブザー音が鳴り響き、試合の終了が伝えられる
司会「しょ…勝利したチームは…一組!!二組がまさかの全滅です!!」
司会の声でその場の全員が我に返り、とてつもなく大きな声が響いた。
「マジかよ!?」 「なんだよあれ、能力か!?」 「すげーっ!」
様々な声が俺たちの周りを走り回った。
環「よっ。やったね」
クロ「お、おう…。すげぇな。『運』の能力」
環「ためてたから、最後まで。お互いお疲れ様。あとボールとってくれたの。かっこよかったよ」
そう言って環は駆け寄ってきた一組のやつらの元へと走っていった
司会「これにて第一回戦!一組対二組の試合は終わりまぁーーーーっす!」
ガザル「おい!クロ!よくやっ…ど、どした。そんな顔して」
クロ「いやその…疲れたのとうれしいのと驚いたのが一気に…」
これが…青春か
まだ別に大会は終わっていないというののなんか終わった気を出している俺だった…
上手く書けたろ、これは。




