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【最初の魔法使い】  作者: コトワリ
第3章 最悪の魔法使い
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第九話 帰ってきたら女の子と魔王がいた

 なれない新しい環境で疲れて家に帰ってきたら脱獄してきた囚人がいた。これだけ聞くと俺は何を言っているんだって感じだが本当の事だから困る。…ただの脱獄犯だったらまだ楽だったんだけどな。


ユラ「コンと同じ、能力を使いこなせていないか、またほかの理由があるか、もしくは俺の思い過ごしか、さてどれかな…」


脱獄犯、遊佐を見た感じ犯罪を犯すような奴ではない気がするのだ。もちろんただの勘だ。

確かめるくらい良いだろう。困るのはどーせお偉いさんなんだし。…あとでアルパさんに怒られそうだから謝る準備しとこう。そんなことを考えてやっぱり突き出そうかなとか考えてると遊佐が風呂から上がってきた


遊佐「服…なんで女の子のものなんですか?…そうゆう趣味…でしょうか…?」


ユラ「違う!断じて違う!そんな趣味は俺にはないから!」


マユラに変装した時用の服である。男性用の服でも似合うは似合うのだがちゃんと可愛いマユラを作る時には必要なのだ。服もまぁ作れなくはないがそうすると実質全裸になるから嫌という理由のほうが大きいか…。


遊佐「別にとがめているわけではありませんよ…?そういった趣味があっても私は…」


ユラ「ストップ、もういいから。本題入ろう」


遊佐「そ、そうでしたね…すみません。それで…話って?」


俺は建前もなく聞きたいことをそのままぶつけた。


ユラ「…遊佐は犯罪なんて犯していない、違うか?」


遊佐「あぁ…確かに同じ監獄の人にも良く言われますけど…悪いのは私なんです。こんなおっとりした感じですが…。」


さっきは突然の事過ぎて遊佐もあわてていたが風呂に入って落ち着いたせいかさっきよりまったり感が増している。


ユラ「言いたくなかったら言わなくてもいいが…何をしたんだ?」


遊佐「それは…」


…まぁいきなり知らん奴になんで捕まったのかなんて言いたくないか。

ひとりの時とは違う静かさが部屋を漂う。そんな静寂を一つの音が破った


ぐ~


遊佐がおなかを抑えて赤面してる。そういえば俺も食ってなかったな。仕方ないちゃんと作るか。

これでも一応お客さんなわけだしな


ユラ「待ってろ」


遊佐「え…はい…?」


俺は余りもので適当にご飯を作った。作ったのは久しぶりだったが我ながらいいものができたと思う


遊佐「お、おいしい!?」


ユラ「そんなに驚かれると逆に傷つくぞ…料理できなそうみたいに言われてるみたいで。」


遊佐「い、いえ…そんなことは…」


ユラ「あるんだな」


遊佐「まぁ…でも本当においしいですね」


この子良い意味でも悪い意味でも素直だな


ユラ「そういえば俺の名前言ってなかった。ユラだ。よろしく。魔警に来て2か月くらいだ」


遊佐「だいぶ新人さんなんですね。ユラさんですか。名前、一文字違いですね!」


そう言ってにっこりと笑う。

くっ…!かわいい!


ユラ「さて…と。」


二人とも食べ終わったのでコーヒーを作って遊佐に渡した。またびっくりした顔をしていたので俺ってそんなに料理下手に見えるかなぁとちょっと落ち込んだ。


ユラ「遊佐の能力は何なんだ?俺はほ…」


炎、と言おうとして口を閉じた。もし80年前の魔法使いだとバレたら多分尚更緊張して何も言わなくなってしまう。心苦しいが弱いふりをさせてもらおう


遊佐「ほ?」


ユラ「いや、女に化ける能力だ。見てろ」


そう言って俺はマユラになる。これくらいなら本がなくてもできなくはない。


遊佐「わぁ!すごいですね…!かわいいです」


目をキラキラしながら見てくる。「だからこの服が…!」と誤解までなくなった。

…何回見ても何回考えてもこの子が犯罪者には見えない。

『意思』の能力があれば一発で分かるんだがな…


遊佐「教えていただいたので私も教えますね」


遊佐はそう言って椅子から立ち上がり手をお椀の形にした。

すると…


遊佐「召喚・ピクシー」


遊佐の手の中から小さな妖精のようなものが出てきた


遊佐「私の能力は『空想召喚』。空想上の生き物を召喚することができるんです」


ユラ「空想…召喚?」


遊佐「はい、例えばこの子なら私や周りの人の傷を癒すことができるんです」


妖精は元気に遊佐の周りを飛び回っている。コンのように意思はないんだろうか。


ユラ「それはまた強そうな能力だな」


能力の世界、質が優先されるがその質の高いものを数多く生み出せるこの能力はかなり強い。

だがデメリットもあるようで…


遊佐「ただ…あんまり強い子を出すと体力がどんどんなくなっていっちゃうんですよね…この子ぐらいなら大丈夫なんですけど」


能力というのは強すぎると大抵デメリットがある。ないのもあるがそれはかなり少ないだろう


ユラ「教えてくれてありがとう。信頼されたみたいで嬉しいよ」


遊佐「いえいえ、お互い様ですよ」


笑顔が心に突き刺さる。…そろそろ聞くか


ユラ「遊佐、お前は監獄に戻りたいか?」


遊佐「え…」


ユラ「いや、わかってる。脱獄したんだからそれはもちろん戻りたくないんだとは思う。ただ、お前はちゃんと反省しているんだ。そこが俺は気になる」


脱獄してくるような奴が反省しているだろうか?反省しているんだったらそのまま刑期を全うするのが普通ではないだろうか。


遊佐「…お風呂ももらってご飯まで食べさせてもらっちゃいましたし…そうですね、わかりました。」


そうして遊佐は話し出す。

能力のデメリット。それは必ずしも一つとは限らず複数ある場合もある。

遊佐はこの能力をうまく使い、ちゃんと制御できていたらしいのだが2年前あるものを召喚してからなんと【二重人格】になってしまったようで…


遊佐「友達が…友達が悪い人に絡まれてて…すごく強い人で仕方なく私も制御していたものを解除したんです。強い子を出してしまったらその代償に私の心の中に住み着くようになってしまって。」


ユラ「なるほどね。捕まった理由もなんとなくわかったよ。」


コンと似たような気配を感じたのはやっぱりそうゆうことだったようだ。


ユラ「ちなみに何を召喚したんだ?」」


遊佐「そ、その…魔王を…」


ユラ「…は?」


すると遊佐はその場にいきなり倒れてしまった


ユラ「ゆ、遊佐!?どうし…」


すると遊佐は素早く立ち上がり見下ろすような形で声を発した。…いや、厳密に言えば…


遊佐?「フハハハハハ!小僧!この女の心を掴むのがうまいな!そうさ!遊佐の心の中に住み着いた魔王!それが我だ!」


コイツが魔王…。なんか似たしゃべり方のやつが80年前にいたな。


ユラ「お前が遊佐に悪さをさせているのか?」


見た目はちゃんと遊佐なので頭がこんがらがる。


魔王「そうさ!珍しいものに目がなくてな!友人を助けたんだ、好きにやらさせてもらっている!」


ユラ「お前はどこから来たんだ?あと声うるさい。またばれて捕まるぞ」


魔王「そ、それは困るな…。小声で話そう」


そう言って小声で話し始めた。なんかコイツ…


魔王「我は魔界から来たんだ。魔界というのはつまらないものでのぉ。それに比べてここは良いところだな。サシミというものはおいしくてなぁ…」


魔界なんてものがあるのか…!?能力はどこまで世界を広げるんだ…


ユラ「一回遊佐に戻ってくれない?」


魔王「いいぞ」


そう言ってまたその場に倒れこんだ。

すると次はゆっくりと立ち上がり申し訳なさそうな顔をしながらこちらを見てくる。


遊佐「すみません。魔王さんも悪い人ではないんですが常識のない方でして…暴飲暴食が重なり無銭飲食で捕まって…」


ユラ「なんか…想像してたのと違うけど大変さは今話した感じよくわかったよ」


遊佐「ほんとに…そうなんですよね。今回もつまらないって私の体の主導権奪って勝手に脱獄して…いい迷惑ですよ」


口を膨らませながらぷんぷんと今までの苦労を言葉にしていく。

こりゃコンより大変かもなぁ…


ユラ「遊佐、刑期何年だ。」


遊佐「6か月でしたかね…」


ユラ「なるほど…」


俺はおもむろに電話をあるところにかけた。遊佐は戸惑いつつもコーヒーを飲んでる。…色々あったから肝が据わってんのかな…


ユラ「ちょっと待ってろ。」


すると5分もかからずある奴は俺の部屋に入り込んできた


ウルウ「ケーキぃ!!!」


遊佐「…え!!??」


ま、困ったことは信頼できる上司に頼るもんだよな


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