第二話 ドキドキ自己紹介
学校生活の必ずやるあの行事。その名も「自己紹介」。ここですべてが決まる。どう話すか、何を話すか。
それでその人の第一印象が決まってしまう。慎重にかつ大胆にいかなければ青春は逃げていく…
まぁ俺の場合それは目立ってしまい逆効果なのでフツーに陰キャを目指す。それにほとんどのやつが3年生からただ進級しただけだから全員が全員初対面というわけじゃないのだ。
総勢20名。普通の学校に比べればそこまでいないほうだ。
俺は自分の自己紹介どうしようよりもターゲットの二人組がいないか探していた。ほかのクラスにいる可能性もあるからいない可能性も十分ある。よく見極めなければ…
築地「じゃあ一番の…甘味から」
甘味「はぁーい!えーっとぉ…甘味ケイキです!あんまり馴染むのはうまくないんだけど…仲良くしてね!能力は『スイーツ』です!あまあまな力で魔警で役立てるよう頑張りますっ!」
名前通りの能力だな…
築地「魔警をなめてんな…」
甘味「えへへ」
そうして自己紹介は進んでいく。
一人ひとり見ていくとなかなか興味深いやつらがいた。
まず一人が…
ドラ「竜崎ドラだ!!よろしくな!能力は『ドラゴン』!火を出したりできるぜ!」
ドラゴン…軽く国くらいなら消せそうだ…。一応可能性は持っておこう
次のやつは…
ガザル「板垣ガザルだ…。よろしく…。能力は『無限力』だ…」
板垣がそういうと周りから驚きの声が上がった。
「無限!?」「特級レベルじゃねぇか!?」
その能力はライが一度きりしか使えないと言っていたが能力として持ってるやつがいたとは…
かなり強いだろうが…正直そのように感じない。もしかしたら嘘だったりするのだろうか
最後に…
ニャム「にゃむ…年齢性別不詳。よろ」
こいつが一番なんだかわからない。スライムみたいに伸びている。猫みたいなやつだ…
そして能力を言わなかった。別に言う言わないは人の自由だが唯一言わなかったのだ。何か隠しているのかもしれない。…ただの変な奴なのかもしれないが
そして俺は…
クロ「大河クロです。よろしくお願いします。能力は『地面操作』です」
クラスの半分が絶対聞いてないなとよくわかった。聖花が隠れても親指を立てて「いいね」と口パクで言ってくれたからまだ救われた。何が「いいね」なのかはわからない。
ちなみに能力に関しては炎じゃ怪しまれるので『岩』の属性魔法をさらに弱体化させるように見せて『地面操作』と偽った。さらに今俺は本を持っていない。つまり岩の、ステージ1しか使えないというわけだ。何かあった時のために一応攻撃の対策はしているが正直不安だ。
まぁ副隊長から保険としてあれをもらったから多分大丈夫だろう
そうして自己紹介は終わり…
築地「さてと。これで全員だな。じゃあ初日から授業はないから安心しろ。基本戦闘訓練、救助訓練、補助訓練の三つをこれからやっていく。知識的なもんは三年までだ。ここからは実力で示していけ。わかったな?」
「はい」と元気な声が教室に響く
築地「この返事が弱音にならないことを願っているよ。…さて、私は救助訓練を担当させてもらう。ほか二人の担当を紹介させてもらおう」
そうしてドアが開き、知らない人が一人、見知った顔が一人入ってきた
ガンテン「皆さんこんにちは。補助訓練の担当をさせてもらいます。宗治カンテンです。」
そしてもう一人は…
ライ「はいどうも!メクルチームの戦闘役!菜歌ライです!よろしくね!戦闘訓練の担当やらせてもらってまーす」
そういえばあいつ魔学校の教師だったな…。
聖花「なんかユラ君をしごけるって自分からうちのクラスに来たらしいよ」
クロ「んだと…!?」
なんてめんどくさい…いや、俺はいまユラじゃないんだ。わからないは…
ライ「おやおや?大河くんだったかな?初日からよそ見とはなかなか不良だねぇ?」
わかってるなあいつ
クロ「…させん」
聖花「お気の毒に」
クロ「思ってないだろ」
聖花「うん」
そんなこんなで全体的な自己紹介は終わり、全校集会があった
お決まりの長々としたどうでもいい話が続き、半分寝ていたが校長先生が出てきて一気に目が覚めた
ウルウ「こんにちは。生徒の皆さん。我が魔学校校長兼魔警隊長のウルウじゃ!」
あの人校長だったのか!?
すげぇ人だなマジで…
ウルウ「今ここにいる人全員が新しい生活が始まり緊張でいっぱいじゃと思う。だが、それは自分だけではなく、隣の仲間、教師、もちろんわしもじゃ。わしだって今緊張している。そんな緊張は魔法警備隊に入ったら日常茶飯事じゃ。まだお前らの物語は始まったばかり!こんなところで挫けず頑張ってほしい。
以上じゃ」
思ったよりいい話だったので驚いた。テキトーに済ませるのかと思っていた。
あの人も大変だなぁと考え、おれはまた睡眠に入った。何回聖花に起こされたか…
クロ「つかれた…」
机に突っ伏していると変装が解けかけるから俺は顔を上げた
ツル「ふふ…お疲れ様。クロくんなんかライ先生に目つけられてたもんね」
クロ「おう…なんでだろうな、ほんとに」
何がしたいんだあいつは
ツル「まぁ一緒にがんばっていこ!」
そうしてツルが手をだしてハイタッチを求めてきたので俺も答えようと手を挙げると、なぜか横からの手にさえぎられた。
聖花「木京さん、だったっけ。この人借りてもいいですか?」
ツル「あ、聖花さん!えっと…ど、どうぞ…」
俺に選択権はないようで手をつかまれて俺は連れていかれた。
クロ「ちょっ…聖花?」
聖花「一緒に帰るよ、ほら」
もうちょっといたかったのだが仕方ないか…
さっきからクラスメイトとの視線が痛い。
そうして俺は聖花と帰った。帰り途中何も言ってこなかったので恐怖だったのだがちょうど見つけたクレープ屋さんでクレープ買ってやったらニコニコになった。
ユラ「ふぅ…もういいだろ」
聖花「お疲れ様。どうだった?学校」
ユラ「疲れたな…とにかく。」
聖花「私そこの生徒会長だったんだ。三年。」
ユラ「お、おう」
聖花「どう思う?」
ユラ「…お疲れ様です、聖花様」
聖花「…今日ユラくんが話しかけてくれなくてさみしかったなぁ…」
ユラ「いやだって事件の…」
聖花「さみしかったなぁ…」
そんな会話が帰るまで続いた。
俺は心の中のイマジナリー隊長に叫ぶ
隊長!俺!今回の任務初日から心が折れそうです!
ヤメタイ!!!
クラスメイトは全員出します




